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2006.10.15

特許/第135条(b)(1)/抵触審査における特許クレームと中間処理クレームの判断

第135条(b)(1)の拒絶理由に応答する者は、基準日後に提出されたクレームが基準日前に提出されたクレームによって支持されることを証明しなければならない。

条文の用語である「かかるクレーム」は、特許クレームと同一であるかまたは実質的に同一の技術主題を有することが示されている場合に、追加しようとするクレームに言及しており、特許クレームとの関係において、同一性を有する異なるクレームを先に提出したか否かにかかわらない。特許法は、「かかるクレーム」に関して、基準日前にあることを要件としている。(The Regents of the University of California v. the University of Iowa Research Foundation, et al., CAFC, 7/17/06)

事実概要
The University of Iowa Research Foundation、Coley Pharmaceutical Group, Inc.および合衆国(以下、Iowaと総称)が有する米国特許第6,207,646号(以下、’646特許)は、「免疫賦活核酸分子」に関し、2001年3月27日に発行された。当該特許は、アレルギー反応を抑制する組成とその用途をクレームしており、The Regents of the University of California(以下、California)に譲渡された特許出願09/265,191(以下、’191出願)との間で抵触審査(Interf. No. 105,171)が宣言された。特に、’646特許のクレーム3は、抵触審査においてカウントとして設定され、「アレルギー反応の発生対象を減感作する方法」をクレームしており、アレルゲン(アレルギー誘発物質)を「免疫賦活核酸の有効量」の調整によって制御する方法と使用される核酸の詳細を開示している。

’646特許の発行時、’191出願は、特許商標庁(PTO)において出願審査係属中であった。2001年10月31日、’646特許が発行されて7か月過ぎた頃、Californiaは、クレーム202ないし204を ’191出願に追加した。クレーム202と203は、「免疫賦活核酸の組成」を開示し、クレーム204は、免疫賦活核酸の調整によってアレルギーを制御する方法を含む脊椎動物におけるアレルギーの処置方法を開示している。クレーム202ないし204を追加することによって、 Californiaは、’646特許との抵触を宣言することを求め、クレーム202および203に対応する組成とクレーム204に対応する方法に関して、二つのカウントを主張した。Californiaの補正に対して、PTOは、クレーム202ないし204を拒絶した。

Californiaは、クレーム202ないし204の拒絶後も、’191出願の審査を継続させ、複数の審査官と面接し、拒絶通知に応答した。2002年5月9日、’646特許発行の後、一年以上過ぎた頃、Californiaは、別途、方法クレームとして、クレーム205を’191出願に追加した。さらに、審査の中間処理が続き、審査官との面接をした後、Californiaは、クレーム202ないし204を取り下げた。PTOは、Californiaの’191出願クレーム205とIowaの’646特許の間に抵触審査を宣言した。’646特許のクレーム3には、唯一のカウントが設定されることになった。

抵触審査の予備申立において、Iowaは、Californiaに対して、クレーム205は特許法第135条(b)(1)に基づき、特許性がない旨の申立を行った。37 C.F.R. § 41.125(a)に基づき、抵触審査部は、いかなる命令においても、決定するために申立を審査するが、まず、35 U.S.C. § 135(b)(1)規定の基準日の争点に関する審査を選択した。この争点は、Iowaに有利に決定されれば、本件抵触審査において、Californiaの立場は否定される。抵触審査部は、その決定において、Californiaが提示したクレーム205は、’646特許発行から一年以上後であると認定した。したがって、Californiaは、当該クレームを’646特許発行から一年以内に提出したクレームに関連付けられなければ、第135条(b)(1)に基づき、クレーム205は抵触し拒絶される。抵触審査部は、クレーム205をCaliforniaの先行するクレームとの実体的な相違に関して、審査した。(In re Berger事件(279 F.3d 975, 981-82 (Fed. Cir. 2002)))参照。

抵触審査部は、クレーム205をクレーム202および203と比較し、次いで、クレーム204と比較した後、Californiaのクレーム205は、クレーム202ないし204と実体的な相違を含むと認定した。したがって、クレーム205は、他のクレームが有する先の出願日を確保できない。抵触審査部は、35 U.S.C. § 135(b)(1)によって、Californiaのクレーム205は認められないとの結論に達し、Iowaによる主張に基づくその申立を認めた。

控訴において、Californiaは、クレーム205とクレーム202ないし204との実体的な相違に関する抵触審査部の認定には、争っていないが、第135条(b)(1)に基づく正当な審査は、クレーム202ないし204がクレーム205と実体的な相違を含むか否かであり、クレーム202ないし204が’646特許のクレームと同一の発明であるか否かではないという抵触審査部の結論に異議を申し立てている。

確認

判旨
抵触審査部による35 U.S.C. § 135(b)(1)の解釈は、本件控訴において提示された唯一の争点であり、当裁判所が自ら審理する。In re Berger事件(279 F.3d 975, 980 (Fed. Cir. 2002))参照。
(…… 以下略)

*判決内容詳細については “I.P.R.”誌でご確認ください。

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