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2007.02.13

野崎篤志

【Cases & Trends】ラムバスに対するFTC の反トラスト法違反行為是正命令

すでに一部報道されている通り、米連邦取引委員会(FTC)は2月5日、メモリチップメーカーRambus I nc.(「ラムバス」)による米反トラスト法違反を是正するための最終命令(In the matter of Rambus Inc., Final Opinion and Order 2/2/07) を発表しました。

自ら開発・保有している関連特許について故意に報告せずに、技術標準化団体の標準設定作業に参加し続け、技術標準の正式採用後に特許権行使をするというラムバスの行為が連邦取引委員会法第5 条に違反する、と最終決定されたのが昨年7 月31 日。認定されたラムバスの反競争行為を是正すべく今回下されたFTC の最終命令は、問題となったラムバス特許自体の影響の大きさもさることながら、今後さまざまな分野で展開されるであろう技術標準化工程における詐欺行為への是正措置モデルになるものとして、広く注目を集めていたのです。以下、FTCの最終命令を少し詳しく見たいと思います。

始めにFTC は、「FTCの是正権限は狭いものであり、あくまで将来の(反競争)行為に対する停止命令を出すにとどまる」とするラムバスの主張を退け、「当委員会は、是正命令を形成するに当たり、広範な裁量権が認められている( 当委員会が認定した違法な慣行と合理的に関連する範囲内においてではあるが)。……違反が認定された以上、我々は、競争を回復させ、標準化プロセスに信頼を取り戻すような救済を形成しなければならない」と述べている。

そのうえでFTC は、標準化団体に対する虚偽表示、情報隠匿など将来の行為に対する禁止とともに、現在締結済みのライセンス契約に対する実施料率の制限、同条件に基づく他者へのライセンス供与などを命じている。

将来の行為について

今後、標準化団体(SSO)のメンバーもしくは参加者である間、ラムバスは、

A.SSO もしくはそのメンバーに対し、ラムバスの特許または特許出願に関する虚偽表示や隠匿をしない。

B.ラムバスの特許または特許出願に関する完全、正確かつ適時の開示を、SSO のルール、慣行もしくは方針が要求する範囲内において、SSOもしくはそのメンバーに行う。

C.SSO がラムバス特許または特許出願およびその潜在的範囲について知らないまま、認可済みまたは将来のラムバス特許を侵害することになるような技術標準を採用するようSSO を導くような、いかなる行為をとることも禁じられる。

コンプライアンス担当役員

A.本命令が確定した後30日以内に、ラムバスは、自らの費用負担により「コンプライアンス担当役員(Compliance Officer)」を雇うか、現在の従業員に対し以下に示すコンプライアンス担当役員の責務を課すものとする。

1.コンプライアンス担当役員となる者は、当委員会(FTC)の承認を得た者でなければならない。

2.コンプライアンス担当役員は、ラムバスがメンバーもしくは参加者となっているSSO が検討中の技術標準に関連する、現存するもしくは将来成立しうるラムバスの特許権について報告する全責任を負うものとする。ただし、コンプライアンス担当役員は、当委員会の承認の下に、ここに定める責務の一部を他の従業員に移譲することができる。

B.ラムバスは、

1.本命令を遵守するうえで関連するラムバスの帳簿、記録、人員、施設および技術情報に対する完全なアクセスをコンプライアンス担当役員に提供するものとする・・・。

許容される最高実施料率

A.ラムバスは、関連米国特許*1) に基づき(米国からの輸出または輸入の場合は、関連外国特許*2)に基づき)、JEDEC準拠DRAM 製品またはJEDEC 準拠非DRAM 製品の、本命令が確定した後の製造、販売または使用に関する料金、実施料その他の対価支払いであって、「許容される最高実施料率(Maximum Allowable Royalty R ates)」*3)を超える額、その他本命令に反する額を回収する(もしくは回収を求める)あらゆる試みを停止するものとする。

B.ラムバスは、関連米国特許に基づき(米国からの輸出または輸入の場合は、関連外国特許に基づき)、JEDEC 準拠DRAM 製品またはJEDEC 準拠非DRAM 製品の、本命令が確定した後の製造、販売または使用に関する料金、実施料その他の対価支払いであって、「許容される最高実施料率(Maximum Allowable Royalty Rates )」を超える額、その他本命令に反する額を要求するライセンスの当事者が(その選択により)ペナルティーなしに当該ライセンス契約を解約することを認めるとともに、前記の超過額または本命令に反する額のさらなる支払いを免除するものとする。

*1) 1990 年4 月18 日出願の07/510898 号、または1996 年6 月17 日以前にラムバスによって出願された他の米国特許出願を優先権主張する現存または将来のすべての米国特許

*2) 1996 年月17 日以前の優先日を主張する特許であって、ラムバスに発行された現存または将来のすべての外国特許

*3) 最初の実施料率期間(本命令の日から3 年)においては以下の通り:
 a.JEDEC 準拠SDRAM 製品の(純販売額の)0.25%
 b. JEDEC 準拠DDR SDRAM 製品の(純販売額の)0.5%
 c. SDRAM 標準に従うJEDEC 準拠非DRAM 製品の(純販売額の)0.5%
 d. DDR SDRAM 標準に従うJEDEC 準拠非DRAM 製品の(純販売額の)1.0%
上記期間後の第2実施料率期間においては、JEDEC準拠DRAM 製品およびJEDEC 準拠非DRAM 製品の最高実施料率は、0.0%とする。

ライセンス供与

A.本命令が発行した後30 日以内に、ラムバスは、関連米国特許に基づきJEDEC 準拠DRAM 製品またはJEDEC 準拠非DRAM 製品を製造し、下請け製造させ、使用し、販売もしくは販売申し出をするワールドワイドの非排他的ライセンスを関心あるすべての者に申し出、利用可能にするものとする。このライセンスにおいて、許容される最高実施料率を超える料金、実施料その他の対価を回収してはならない。ただし、ライセンシーの要請によって、ラムバスがライセンシーに提供する役務の公正市場価額を越えない料金はこの限りでない。

B.(略)

C.(略)

D.本項で定めるライセンスは、関連米国特許のうち最後の特許の権利満了日まで存続するものとする・・・。

E.ラムバスは、いかなる訴訟においても、本項に基づくライセンスをライセンシーが受け入れた事実を根拠に、ライセンシーが関連米国特許や関連外国特許の無効、権利行使不能もしくは非侵害を主張することが禁じられる、と主張することはできない。

是正命令の周知および委員会への報告

A.本命令の確定後30 日以内に、ラムバスは、(1)JEDE C、(2 )ラムバスがJEDEC 準拠DRAM 製品およびJEDEC 準拠非DRAM 製品によるラムバス特許侵害の可能性を指摘して接触したJEDEC メンバー、(3)その他同様の特許侵害可能性を指摘して接触した他の者すべてに対して、本命令と本件訴状の写しを配布すること・・・。

・ラムバスは、本命令を遵守する(している)方法を詳細に記した認証済み報告書を、(1)
本命令が確定した後60 日以内、および(2) 本命令の確定日から10 年間、毎年一回、当委員会に提出するものとする。

——————–

なお、ラムバスは今回の命令を不服として、控訴する意向を表明しています。

⇒ FTC のFinal Opinion and Order その他本件記録は以下のサイトで入手できます
http://www.ftc.gov/opa/2007/02/070502rambus.htm

(渉外部・飯野)

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