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2008.12.17

柏原雄人

【特別寄稿:李のおどろき日本滞在記】 (3) 韓国人から見た日本人

韓国最大の法律事務所、KIM & CHANG (金・張 法律事務所)。現在、同事務所からビジネス留学のため日本に滞在中の李瓊宣(LEE Kyoung Sun)弁理士が、NGB ウェブサイトのために特別にエッセイを寄せて下さいました。
特別寄稿:李のおどろき日本滞在記 (3) 韓国人から見た日本人

いよいよ李のおどろき日本滞在記の最後のテーマとして日本に来てからいろいろと見て感じた「日本人観」についてを書いてみます。

1. プライベートなことは聞かないで

日本に来てやっぱり違うな・・と思ったのが何年も一緒に勤めてきた同僚であってもあまり親しい間でない限り、個人的なことは知らない場合が多いということです。例えば、「あの方何歳くらいですか?、結婚なさってますか?、子供はいますか?」など韓国ならば会社の誰でも知っているようなことを同僚の方に聞いてみても、「さあ~、そうですね」、「よく分かりません」という反応が多いですし、プライベートなことを聞かれた人も「さあ~、どうですかね」と言ってはっきりとした返事を避ける場合が多いのが不思議でした。

これに反して韓国の場合、特に男同士であれば初対面の人に何年生まれかを聞く場合が少なくありません。これは自分より一才でも年上か年下かを確認して敬語(チョンデマル)とぞんざい語(バンマル)を使い分ける必要があるからです。というのは、例えばもし自分より年上と思ってずっと敬語を使ってきたのに後で自分より年下だというのが分かった場合、何だか損したような気持ちになりますし、その反対なら年上の人にぞんざいな言葉を使ってしまってすごく申し訳ない気持ちになるからです。又、自分の個人情報を明かすのをあまりにも嫌がる人は少し怪しい人とも思われますので、同性同士でなくても韓国の会社では同僚の年齢、結婚しているか、子供はいるかは勿論、結婚前なら彼氏・彼女はいるか、その人は何をしてるのか、出会いのなれそめ等まで皆知っている場合が少なくありません。

日本ではプライベートと仕事をはっきり区別したがる人が多いのも一つの原因でしょうが、それよりもプライベートなことを聞くと失礼になると思って、お互いに遠慮しすぎているからではないでしょうか。それで、日本では私もプライベートなことはできるだけ聞かないように気をつけて、「週末は何をしましたか?、ご趣味は何ですか?、お住まいはどこですか?」程度の質問をするようにしていますが、いつも何となく物足りない気持ちがします。これはきっと相手を配慮して、なるべく傷つけないための気遣いから始まったと思うのですが、気を遣いすぎてお互いを十分に知り、理解し合う機会も失くしているのではないでしょうか。プライベートを尊重しながらもみんなもう少し個人的なことを話せばもっと理解できるようになるし親しくなっていいのではないかと思いました。

2.約束の時間は徹底的に

日本人は約束の時間をちゃんと守るのが生活全般の基本となっているようです。例えば会社の昼ごはんの時間でも少し早めに出て行く人や少し遅く戻ってくる人を殆ど見かけません。それで、日本では「五分前行動」という言葉もあるそうです。私もここではできるだけ5分前行動をするように心がけていて誰かと待ち合わせをする時はかなり余裕を持って早めに行きますが、早すぎて30分前に着いたりして時間がもったいなくなる時も少なくありません。一方、待ち合わせの相手は大体10分前でも15分前でもない、ちょうど5分前ころに来ますので、「さすが日本人」と感心します。相手を待たせることもない、自分の時間の無駄遣いもない、とてもよい習慣だと思います。

これに反して韓国には約束時間に遅れることを指す「Korean Time」という言葉があります。勿論ビジネスの場面ではそんなことはありませんが、例えば友達との約束や、同窓会、飲み会、又は勉強会などがあったりすると定時に来る人は少ないです。15分か30分くらい過ぎてやっと半分以上来たなって感じです。それは友達、同僚同士のプライベートな集まりだから少し遅くなっても大丈夫だろうという考え方があるからです。実際遅く来る人が多いので遅くなってもそれを失礼とか人に迷惑を掛けたと思う人もあまりいないのです。

日本でも最近みんな携帯を持っていて約束時間を守るのが少しルーズになったと聞きますが、ここでの数ヶ月間、いくらプライベートな約束や集まりだとしても5分前行動をしない日本人は殆ど見たことがありません。ただ、日本にも「Korean Time」と似たような「沖縄タイム」という言葉があるようですね。ここにもそういうところがあると聞いて何だか親しみを感じました。

3.車内での携帯の使用はマナー違反?

韓国では地下鉄やバスの中でも普通に電話をする人々をよく見かけます。あまりにも大きい声で長電話をする場合でなければ問題になりません。しかし、日本の電車や地下鉄ではみんな電源を切るかマナーモードにしておいて着信音さえ殆ど聞こえないし、もし電話が来ても出ないか、出たとしても手で口を覆って小さな声で「ごめん。電車の中だから後で」と言ってすぐ切ってしまいます。

この前新幹線に乗った時もある乗客が小さい声で電話をしていたら車掌さんがやってきて「車内では携帯の使用をご遠慮ください。」と注意をしました。すぐ隣にもっと大きい声で直接話をしている人たちがいたのにそちらには勿論何の注意もなく…。小さい声で用件だけさっと済ませればいいのにどうして電話を切ってわざわざ掛けなおさなければならないのでしょう。また、電車に乗っている人同士で話すのは大丈夫で、電話は小さい声でもなぜ駄目なのか不思議でした。そのうち、電車のあちこちに貼ってある 「車内での携帯はマナー違反」とのポスターと「優先席の付近では携帯の電源を切り、その以外の場所ではマナーモードに設定の上、通話はご遠慮ください」というアナウンスに接して、あぁ心臓のペースメーカのためだったんだと気づきました。それで、みんなそれをちゃんと守っていたんですね。

韓国の地下鉄でも「車内では携帯をマナーモードにしてください」とのアナウンスがないわけではないですが、それをそのまま守る人が稀なことを考えると、ルール通り携帯の使用を徹底的に控えている日本人ってさすが凄いと思いました。でもやっぱり電車での電話になれていた私には、優先席から離れたところで人にそれほど迷惑を掛けるのでなければ、たま~には短い電話くらいしてもいいのではないかなぁ・・と、どうしても思ってしまいます。

4.信義に厚い日本人

日本人には本音と建前があるとよく言われています。韓国人に比べたら自分の感情や意見をはっきり言う人は確かに少ないようです。ですから、日本へ来る前、日本人とうまく付き合えるかどうか少し不安でした。でも、日本で知り合った人々は私の不安をすぐに消してくれました。日本人は最初は見知らぬ人に警戒をしますが、一度気が合うと、又は自分が面倒を見てあげなくちゃと思った人には自分をオープンにするのは勿論、こちらが申し訳なくなるくらい細かいところまで気を遣ってくれます。お互い信頼することができて親しくなれば本音と建前の区別はもう要りません。私も日本人の心遣いには「ここまで気を遣ってくれたんだ」って感動したことが少なくありません。最初は近づきにくいですけど、腹を割って親しくなると、本当に信義に厚いと思いました。ここにいる間お世話になった方々の親切を思うととても心が温かくなってじーんときます。

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私のつたないエッセイに興味を持って読んでくださった方々に感謝します。そして、日本研修を理解し、支えてくれた家族や、今回の連載を企画しよい思い出を作ってくださったNGBの方々にも感謝します。わずか5ヶ月間という短い期間でしたが、優しい日本人の方々にめぐり合え、楽しい時間を過ごし、美味しい日本食もいっぱい食べ、日本ならではの経験をたっぷり抱えて韓国に戻ります。本当にありがとうございました。また、お会いできることを楽しみにしています。

李瓊宣 (LEE Kyoung Sun) 弁理士

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