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2009.03.23

柏原 雄人

【最近よくあるご質問】 中国特許法改正について(3) [※2010.04.26修正]

お客様から頂いた各種お問合せに対し、渉外部員が当社担当部門の協力を得て、お答えします。今回のご質問は:
このたび行われた中国の特許法改正について、要点を教えて下さい。
2009年10月1日に施行される中国第3次改正特許法について主要なポイントをご説明します。
前々回前回に続く今回を以って、ひととおりのご説明を終わらせて頂きます。

医薬品臨床試験等の非侵害規定(第69条5項)
従来、後発医薬品メーカー(ジェネリック・メーカー)の試験研究を非侵害とする明文規定は存在しませんでしたが、裁判所は幾つかの事件において、侵害構成要件(第11条)を縮小解釈してジェネリック・メーカーに有利な判決を下してきました。この点について新法では、「行政審査のための情報を提供する」ための「特許薬品又は特許医療装置」の実施を「侵害とみなさない」ことが明記されました。これは日米欧を含む世界的な潮流に足並みを揃えるものではありますが、諸外国では設けられている特許期間の延長制度が今回の改正では導入されておらず、結果としてジェネリック・メーカーの利益に一方的に貢献するだけのアンバランスな改正となりました。中国においても延長制度の早期導入が望まれるところです。

強制実施許諾(第48条~第58条)
旧法では8個の条文で強制実施の定めがなされていましたが、新法ではその8ヵ条のうち3ヵ条を修正し、さらに3個の条文が新たに追加され、許諾出来るシチュエーションやその要件がより詳細に規定されました。
例えば修正された第48条1項は、特許権を付与された日から3年間かつ特許出願をした日から4年間(<-国際条約で許容されている最短期間)、正当な理由なく特許を実施していないか実施が不十分な場合、政府は第三者の申請に基づいて強制実施権を許諾出来ると規定しています。
代理人情報によれば、そもそも中国では強制実施権の設定がなされたことは今まで一度もないそうで、不釣合いに力が入った条文修正に違和感を覚えます。

[強制実施許諾の説明に誤りがあったため「旧法では、実施許諾を望む事業者は予め特許権者に許諾を求めるステップを経なければなりませんでしたが、今回の改正によってその要件が除かれました」の一文を削除しました(2010.04.26)]

損害賠償額の算定基準(第65条)
新法では損害賠償額を算定する根拠に、下記のとおり優先順位が設けられました。
 1.権利者が被った実際の損失
 2.侵害者が得た利益(1の確定が困難な場合)
 3.ライセンス料の倍数(1~2の確定が困難な場合)
 4.裁判所の裁量(1~3の確定が困難な場合)
また上記4で裁判所が裁量で算出する額(つまり最低賠償額)の上限も100万元まで引上げられ、特許権者が支出した合理的な費用(調査費用・弁護士費用)を賠償額に含めることも明記されました。

その他の主な変更点
・特許の共有者の一つは、他の共有者との事前の約定がない場合、単独で実施または第三者に通常実施権を許諾出来るようになった。(第15条)
・「公知技術の抗弁」が均等侵害のみならず、文言侵害にも適用されることが明文化された。(第62条)
・提訴前の仮処分申立を出来ることが明文化された。(第66条)
・提訴前の証拠保全申立を出来るようになった。(第67条)
・並行輸入が侵害を構成しないことが明記された(第69条1項)
・遺伝資源の保護が強化された。(第5条2項・第26条5項)

                                 以上
(渉外部 柏原)

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