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2009.08.12

■特許/MPEP§804/two-way testが自明型二重特許の拒絶に適用される基準

(In re Frits Jacobus Fallaux, et al., CAFC, 5/6/09)
 二重特許を判断する際、one-way testが普通に適用され、審査官は、出願クレームの発明クレームに対する自明性如何を審査する。two-way testが適用されるのは、自明型二重特許の拒絶を排除する場合であって、出願人がまず基本発明を出願して、後に改良発明について出願した際、出願人の責めに帰すところがない場合に、すなわち、PTOだけの責めによる遅延によって、出願がそれらの出願順に決定されるならば認可されるのに、PTOが出願の順序とは逆に基本出願を拒絶して、改良特許が基本特許よりも前に発行することになるような場合や、最初の出願より前に二番目に出願された出願を発行させてしまったような場合である。
 本件ファミリー特許より後に出願された引例特許が、本件出願より前に発行する原因となる遅延に関して、事実の問題として、出願人がすべての責めを負うものであって、PTOに帰責事由はないと認められるので、出願人は、two-way testを受けるに相当しないと審判部は決定し、記録の審理によって、この事実認定が実質的な証拠によって支持されるものと判断される以上、審決は維持される。
 出願人は、本件出願の遅延が自身の行為に起因しないと主張し、その出願手続は、ファミリーにある特許を「ビジネスの通常の流れにそって」したものであり、「不当な目的またはある利益を得る目的で、出願手続を積極的に操作した」ものではないとしたが、出願手続を操作する不正な意図に関する証明が欠如する場合には、出願人はtwo-way testを受けると示唆しているように見受けられる。出願人の審査官に対する申立てによると、「競業者の潜在的な製品に対処するために」本件出願を行なったのであるから、ファミリー出願の審査手続中に知りえたことであると自認しているのであって、特許発行のタイミングは、出願人による判断の結果であって、PTOによる行政上の遅延ではないことを示している以上、出願人に遅延の帰責事由があるのであって、PTOにはないという審判部の事実認定を支持する実質的な証拠が存在すると認められる。

事実概要
 Frits Jacobus Fallauxとその他の審判請求人(以下、総称して、Dr. Fallaux)は、2003年7月11日に出願された米国特許出願第10/618,526(以下、’526出願またはFallaux出願)の記名された発明者である。審査官は、同出願を拒絶する際、Fallaux出願のクレーム1、3乃至7、10、11、16、21乃至22、及び25に関する自明型二重特許の理由として、米国特許第6,340,595号(以下、’595特許)のクレーム43及び44並びに同第6,413,776号(以下、’776特許)のクレーム7、32、及び35(以下、総称して、Vogels特許)を挙げた。特許審判抵触審査部(Board)は、審査官の拒絶査定を確認した。Ex parte Fallaux(No. 2008-2251, 2008 WL 2463014 (B.P.A.I. June 17, 2008))参照。Dr. Fallauxは、これに控訴した。
 本件控訴は、Fallaux出願を含む特許ファミリーに関している。Fallauxファミリーは、元々は、1995年6月15日に提出された特許協力条約の優先権書類に基づいている。そのファミリーに属する最初の米国出願は、米国特許出願第08/793,170号(以下、’170出願)であって、1997年3月25日に出願されており、米国特許として1999年11月30日に発行した。後に4件の継続特許出願の内、3件が特許として、2001年、2003年、及び2006年に発行することになった。4件目の継続出願がFallaux出願であって、2003年7月11日に出願されており、1997年3月25日の出願について優先権を主張している。審判請求に係る二重特許の拒絶理由に引例特許となっているVogels特許は、Fallaux出願の単独で共通の発明者であるAbraham Boutによっているところのみに関連付けられている。尚、自明型二重特許による拒絶理由の引例として使用される特許には、出願に関する共通の発明者が存在するのであって、特定できる発明主体または共通の譲受人ではないことに関して、当事者に争いはない。Manual of Patent Examination Procedure(MPEP、特許審査便覧)は、このような拒絶を認めている。§ 804 I.A (8th ed., rev. 7, 2008)参照(「二重特許が発生することになる発行特許と出願の発明主体との関係は、その出願が同一の発明主体によって手続されたか、又は共通の発明者を有する異なる発明主体によるか、或いは共通の譲受人または所有者による場合である」)。この見解は、この争点に関するPTO見解を確定したり、保証したりするものとして、解釈されるべきものではいとされている。最初のVogels特許である’776特許は、1998年6月12日出願され、2002年7月2日に発行した。’595特許は1999年7月21日に出願され、2002年1月22日に発行した。
 審査官は、one-way test(一方向テスト)を適用して、Fallauxクレームに関する自明型あるいは非法定の二重特許のゆえに拒絶する際、’595特許のクレーム43と44並びに’776特許のクレーム7、32、及び35(Vogelsクレーム)に鑑みた。Dr. Fallauxがその拒絶を克服するために試みた主張は、自明型二重特許には、審査官は、two-way test(二方向テスト)を適用すべきであるとした。two-way testに基づいて、審査官は、別途、VogelsクレームがFallauxクレームを考慮して自明であることを示すことが要求されることになる。審査官は、two-way testによると、Fallauxクレームが自明型二重特許の拒絶に服するものではないというDr. Fallauxに同意した。しかしながら、審査官は、Dr. Fallauxがtwo-way testの利益を享受することに同意しておらず、それは、Dr. Fallauxが、本件出願より前のVogels特許発行はPTOの側による行政上の遅延に基づいているということに関して、主張していないし、ましてや証拠の提示もしていないからであるとした。特に、審査官は、Fallaux出願においてクレームされた主題は、先に発行されたFallauxファミリー特許のいかなるものにおいても、クレームされることができ、かつ発行されることができたと認定した。
 Boardに対する控訴において、Dr. Fallauxは、自らがtwo-way testを受けるに値することだけを申し立てている。Boardが審査官の拒絶査定を確認した際、認定した点として、Dr. Fallauxは、なぜFallauxクレームが、Vogels特許のいずれかより前に遡るものであって、1997年3月25日提出の’170出願のこのシリーズに関する元の出願において、出願されていないかに関する証拠または理由を提示していないことを挙げている。Ex parte Fallaux(2008 WL 2463014, slip op. at 6)参照。さらに、Boardは、出願審査の進捗がUSPTOによって決定づけられたことに関する証拠をDr. Fallauxが提示していないことを認定した。事実、記録上の証拠が明らかに示しているように、Dr. Fallauxは、Vogels特許が出願され発行されている間に、Fallaux出願の手続を遅らせて、その代わりにFallauxファミリーの他の出願を提出し審査させることを選択して、出願審査の進行に影響を与えた。
Dr. Fallauxは、適時控訴して、two-way testに依拠するのが相当である旨、申し立てている。連邦巡回区控訴裁判所は、裁判所および裁判手続に関する法律第1295条(a)(4)(A)に基づいて、裁判管轄権を有する。

認容

以下、I.P.R.誌23巻7号参照

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