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2009.10.02

【大学動向分析】 大学特許共同出願状況:2008年公開分

 2004年4月に国立大学は独立行政法人へと移行した。それまで、特許出願の多くが教授もしくは企業に帰属していたのに対し、独立行政法人化後は大学帰属の出願が増えている。そうした変化から5年が経過し、大学特許の傾向は量から質へと変化するに伴い、件数推移や出願技術分野に各大学の特色が表われてきているものと考えられる。
 そこで、本稿では産学連携、特に大学と企業との特許共同出願に注目し、その傾向と特色を明らかにする。
図1は大学による公開特許件数推移である。2006年まで公開件数は増加しており、2004年の独立行政法人化に伴って、2006年の公開件数は急増している(出願から公開までの1年半のブランク)。近年は横ばい傾向にあることがわかる。

 図2は大学と企業との共願件数とその割合の推移を表したものである。図1の公開件数の増加傾向と同様に、共願件数も増加している。さらに、独立行政法人化の影響として、2006年の急増傾向も同様である。公開件数全体に対する共願件数の割合は近年徐々に高まっており、2007年以降は50%を超えている。

 表1は2008年公開特許件数上位10大学を表したものであり、共願件数・割合を表している。上位大学の共願割合は60~72%となっている。これは2008年の全大学における共願割合の値(54.8%)よりも高くなっており、このことから上位大学は産学連携に対してより積極的であるという傾向が明らかになった。

 図3は2008年公開分について、国内全出願、大学全出願、大学-企業共同出願それぞれの技術分野内訳(筆頭IPCメインクラス)を表したものである。国内全出願では上位に通信や計算などの分野がきているのに対して、大学出願では医学や化学系が上位を占める。しかし共同出願では電気素子が最も多くなっており、企業側が求める技術分野の傾向が表われている。

 独立行政法人化から5年が経過し、大学特許出願の増加傾向も落ち着きを見せており、今後は横ばいもしくは減少傾向に移ると考えられる。しかし、大学と企業との共同出願の割合は今後もしばらくは増加すると予想され、特に出願数上位の大学程その傾向が顕著になっていくと考えられる。
 今後も企業が注目する技術分野は絞られてくると考えられるため、注目技術分野の動向とそれに関する共同出願の度合(件数、割合)が、今後の産学連携の進展を表す1つの指標となると考えられる。

(IP総研 技術グループ 研究員 伊藤寿)

[注意事項]
注1) TLO名義出願の扱いは以下のとおりである。
・単独の大学に帰属するTLOの場合     :帰属する大学の出願件数に含める
・地域の複数の大学を統括するTLOの場合 :特定の大学の出願件数には含めない

注2) 本稿では、”大学”と”株式会社”もしくは”有限会社”とが出願人となっているものを共同出願として扱っている(公的機関との共同出願は解析の対象に含めていない)。

表1 : 2008年国内公開特許件数の上位10大学と共同出願件数/割合

  

上) 図1 : 大学による国内公開特許件数推移
下) 図2 : 大学国内出願における企業との共同出願件数推移(公開件数/登録件数)

 

図3 :技術分野内訳(2008年公開分)

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