IP NEWS知財ニュース

  • 知財情報
  • アーカイブ

2009.12.16

■商標/第1064条(3)/商業使用に関する陳述と詐欺の意図の解釈

(In re Bose Corporation, CAFC, 8/31/09)
 登録商標を取り消すには、登録が詐欺行為によって取得されたことを根拠とすることができる。詐欺行為と認められるのは、出願人が知っていながら、その出願に関連した事実について、虚偽の重大な表示を行なうときである。商標登録の詐欺行為による取得のゆえに取消しを求める場合には、重い証明責任を負う。PTOを欺くのに必要な意図がない場合には、重大な虚偽表示は、取消し原因としての詐欺に相当しない。
 更新出願時に、指定商品であるオーディオテープレコーダーとプレーヤーの製造販売を停止したことを知っていたと認められる以上、当該商品に関して商業使用されていたというのは、虚偽表示であり、PTOに対して重大な虚偽表示を行なったものと判断できる。
 しかしながら、更新出願人の信ずるところとして、既に販売された故障した指定商品を修理して、顧客に補修済みの商品を送り返すことが、「商業使用」という商標の更新要件を充たしていると思っていた場合には、虚偽表示行為が、欺く故意の意図なく、誠実な誤解または不注意によって、惹き起こされたと認められる以上、詐欺行為は存在しないことになる。
 第8条と第9条に基づく更新出願書類に署名した者は、宣誓して証言しているのであって、同氏の信ずる陳述内容は、更新出願に署名した時点で、真実である。欺もうの意図の推定を支持する証拠を指摘することができるのでなければ、詐欺の主張を確立するのに要求される明らかで確信するに足る証拠の基準を充たしていないことになる。詐欺行為を行なっていないと判断できる以上、当該標章をその全体として取り消すのは誤っている。

事実概要
 Bose Corporation(以下、Bose)は、Hexawave, Inc.(以下、Hexawave)によるHEXAWAVEの商標出願に対して異議申立を行ない、とりわけ、WAVEを含むBoseの先行する登録商標(第1,633,789号)と混同を生じるおそれがあると申し立てた。Hexawaveは、反訴請求において、BoseのWAVE標章取消しを求めて、Boseの詐欺行為を主張した。すなわち、Boseの登録更新出願において、登録の全指定商品に使用を主張したが、ある商品の製造販売を停止したことを知っていたというものである。
 Hexawaveの主張する詐欺行為は、Boseが同時にした継続使用に関する第8条の宣誓供述書と第9条の更新出願(第8条・9条更新)に関しており、書面は、Boseの法律顧問であるMark E. Sullivan(以下、Sullivan)によって署名され2001年1月8日に提出された。更新において、Boseは、WAVE標章が、オーディオテープレコーダーとプレーヤーを含む様々な商品に、まだ商業使用されていると表明した。商標審判部の認定は、以下の通りである。(1) Boseは、オーディオテープレコーダーとプレーヤーの製造販売を1996と1997の間のある時期に停止した、(2) Sullivanは、第8条・9条の更新書類に署名した際、Boseがそれら製品の製造を中止したこと知っていた。
 Sullivanが第8条・9条の更新書類に署名した時点で、Boseは、先に販売したオーディオテープレコーダーとプレーヤーの修理を継続しており、それらの中には、まだ保証期間のものもあった。Sullivanは証言において、自ら信ずるところとして、WAVE標章が商業使用されているのは、「修理の過程において、製品は、顧客に送り返されていたからである」とした。審判部は、審決において、修理と返送は、商品に関して商標登録を維持するのに十分な使用を構成するものではないとした。さらに、Sullivanの信ずる修理した商品の送付は使用を構成するというのは、合理的ではないと認定した。最後に、審判部は、第8条・9条の更新書類上の使用に関する陳述は、重要であると認めた。その結果として、審判部は、Boseが、WAVE標章の登録を維持するためにPTOを欺もうしたと判断して、BoseのWAVE標章の登録を全体として取り消すよう命令した。後に、その同じ合議体は、Boseによる再考の請求を拒絶した。Bose Corp. v. Hexawave, Inc.異議事件第91157315号(2008 WL 1741913 (T.T.A.B. Apr. 9, 2008))参照。
 Boseは、控訴した。元の被控訴人であるHexawaveは出頭しなかったので、PTOが申立てを行ない、裁判所は、被控訴人として参加するよう長官に出頭を認めた。CAFCは、商標法第1071条(a)と裁判所および裁判手続に関する法律第1295条(a)(4)(B)に基づいて、裁判管轄権を有する。

破棄、差戻し

以下、I.P.R.誌23巻11号参照

関連記事

お役立ち資料
メールマガジン