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2010.03.11

アフリカ(ARIPO・OAPI・南アフリカ・エジプト)における特許出願状況[※2010.04.16データ修正]

※ARIPOの統計データに誤りがあったためデータを修正いたしました(2010.04.16)

NGB・IP総研では、アフリカ(ARIPO・OAPI・南アフリカ・エジプト)における特許出願状況について取りまとめた。

ARIPO(African Regional Intellectual Property Organization):アフリカ広域知的財産機関であり、アフリカ諸国の英語圏16ヶ国が加盟。加盟国はボツワナ、ガンビア、ガーナ、ケニヤ、レソト、マラウイ、モザンビーク、ナミビア、シエラレオネ、ソマリア、スーダン、スワジランド、タンザニア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエ

OAPI(Organisation Africaine de la Propriete Intellectuelle):アフリカ知的財産機関であり、アフリカ諸国のフランス語圏16ヶ国が加盟。加盟国はベナン、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、コンゴ共和国、コートジボワール、ガボン、ギニア、ギニアビサウ、赤道ギニア、マリ、モーリタニア、ニジェール、セネガル、チャド、トーゴ

BRICsやNEXT11といった新興国に続いて、MENA(Middle East and North Africa)といった石油資源に恵まれた北アフリカ諸国や金・ダイヤモンド・プラチナといった天然資源に恵まれている中央アフリカ・南アフリカなどに注目が集まっている。

EPO(欧州特許庁)はPAMEプロジェクト(Project for Africa and Middle East)などを通じてアフリカ各国の知的財産体制構築を支援しているが、現在、アフリカ諸国の特許情報は十分整備されているとは言えない状況である。

今回、NGBではデータベースPatBaseを用いてアフリカ(ARIPO・OAPI・南アフリカ・エジプト)における特許出願状況について調べた。ただしOAPIについては2006年7月までの情報しか収録されていないため参考として掲載している。

図1にアフリカ(ARIPO・OAPI・南アフリカ・エジプト)における特許発行件数推移を示す。

南アフリカは2006~2007年と5000件台であったが、2008年に8000件台へ大幅に発行件数が増加している。またエジプト(登録件数)は件数は低調ながら、2006年から2008年にかけて徐々に発行件数が増加していることが分かる。ARIPO(アフリカ広域知的財産機関)は500件前後でコンスタントに推移している。

図2にアフリカ(ARIPO・OAPI・南アフリカ・エジプト)における出願人・権利者ランキングを示す(図1で赤い点線で囲った部分のランキングを算出している)。OAPIについては前述のとおり、2006年分のデータでランキングを算出した。他のARIPO・南アフリカ・エジプトについては2008年発行分でランキングを算出している。

ランキングから欧米医薬品企業(アストラゼネカ・ファイザーなど)や日用品企業(ユニリーバ・P&Gなど)がアフリカへ積極的に特許出願していることが分かる。またシェルやエクソンモービルといった石油メジャーも、石油・天然ガスといった天然資源獲得を念頭に特許出願を行っている。

ランキングに登場する日本企業は南アフリカのアルゼ、エジプトの大塚製薬に留まっており、上述したような欧米の医薬品企業・日用品企業の勢いと比較すると、まだまだ少ないと言わざるを得ない。

BRICsに続く未来の成長市場として有望視されているアフリカ。昨今、中国政府および中国企業のアフリカ投資が話題になっているが、まだ特許出願状況からは中国企業の進出は確認できなかった。しかしPCT出願の2009年出願ランキング上位に華為技術(HUAWEI)や中興通信(ZTE)といった中国企業がランクインしている状況を考えると、知的財産権を武器にアフリカ諸国やNEXT11といった新興諸国でのビジネス展開を優位に進める脅威を念頭に置いておく必要があると言える。

(IP総研 コンサルティングソリューショングループ 主任研究員 野崎篤志)
 

図1 アフリカにおける特許出願件数推移
図2 アフリカにおける特許出願人・権利者ランキング(OAPIは2006年発行分対象、その他は2008年発行分対象)

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