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2010.04.28

【創業50年の歩みを振り返る:NGB Best 10 topics】1.海外特許情報の輸入~英国ダウエント社との代理店契約

おかげ様でNGBは2009年11月、創業50周年の節目を迎えることが出来ました。
これを記念し、NGBの役員やOBが、記憶に残る10大トピックを振り返ります。

NGB 10大トピックとは・・・
1.海外特許情報の輸入~英国ダウエント社との代理店契約
2.外国特許出願仲介業務に参入
3.大阪出張所の開設
4.霞が関ビルへの本社移転
5.アメリカ特許弁護士のNGB駐在
6.CPA社との業務提携~外国年金管理業務の発展
7.アジア・プロジェクトのスタート
8.米国特許侵害セミナー(模擬裁判)開催
9.日本ビジネス翻訳株式会社(NBT)の設立
10.北京駐在員事務所の開設

今月は第一弾として「海外特許情報の輸入~英国ダウエント社との代理店契約」をご紹介します。

1.海外特許情報の輸入~英国ダウエント社との代理店契約

 NGBと英国ダウエント社との取り引きが開始されたのは昭和34(1959)年11月の創立以前に遡ります。創立者である故西野勇を筆頭に、当時の若手社員であった諸先輩は、特許完全明細書の輸入に加え米国の特許公報(US Official Gazette)の輸入を開始すると、それ以外の国々の公報や関連特許情報誌の存在を色々な手段を使って探し出し、直接それぞれの特許庁や出版元に連絡を取ってサンプルを入手し、販売と事業を展開。そのなかの一つにダウエント社の「国別特許英文抄録誌」があったとされています。

 一方、昭和32年、三菱化成工業株式会社(現・三菱化学株式会社)の五月女正三氏が欧米を視察した際にダウエント社の特許情報に出会い、同社が購入を開始。五月女氏は、NGBに同情報(おそらく「British Patents Report」および「Belgian Patents Report」と考えられる)の取り扱いを推奨されたとの情報もあります。

 ダウエント社の国別特許英文抄録誌自体は、昭和26年にBritish Patents Reportが発刊され、その後昭和30年にBelgian Patents Reportが発刊されるまで不動の地位を築きました。これは、前述の五月女氏が当時話されている通り、ベルギー特許の早期公開性(出願後3カ月もしくは6カ月で公開)とその情報の入手困難さ(フレミッシュ語での発行+印刷物未発行・コピーのみ特許庁で閲覧可能)を克服しての英文抄録であったことが、その評価を不動のものにしたのです。同英文抄録誌は、当時NGBだけではなく、外国書籍の取扱店である丸善、紀伊国屋書店、海外出版貿易などが企業の図書室等を窓口として販売していましたが、NGBは直接企業の特許部門に販売しており、販売開始後1年でその販売部数は100部を超えました。

 ダウエント社の社長であったモンティー・ハイムス(Monty Hyams)氏は自らが化学者であり、英国特許の英文抄録誌を自身が作成・発刊。ベストセラーとなったBelgian Patents Reportも、同氏自身が英国とベルギーを往復しながら作成したという根っからの実業家であり、特許情報にかける意気込みは他を圧倒するものがあったとされています。

 NGBが総代理店契約を交わし、日本でダウエント社の特許情報誌を販売開始したのは、創立翌年の昭和35年でした。ダウエント社はその後、昭和38年に医薬分野の特許ドキュメンテーションサービスである「FARMDOC」、昭和40年には農薬分野の「AGDOC」、昭和41年には高分子分野の「PLASDOC」を次々に開発、販売開始しました。

 NGBは当時としては非常に高度ともいえる、それらの特許情報管理システムを日本の産業界におけるトップ企業に次々と販売。瞬く間に、外国特許情報の専門会社としての地歩を築いたのです。ダウエント社はそのユニークな販売手法でも他の追随を許しませんでした。当時から購読者年次総会と称してユーザーを招集し、情報を一元的に開示・配布することによりユーザーの同社システムへの理解を高めることに成功しました。また、ユーザーもシステムの活用度を向上させるため相互間での情報交換の必要性を認識し、ユーザー協議会を設立。これはダウエント社に対し様々な意見、提案を行う重要な機関でもありました。

 ダウエント社はその後も昭和45年にCPI、昭和49年にはWPI、昭和51年にはオンラインデータベースのリリースなど、つねに特許情報の世界では国際的な注目を集めるサービスを次々に展開し、世界の特許情報サービスのリーダー的役割を担っていました。NGBはダウエント社サービスの拡販、ユーザーへの各種サービスの提供を通じて、日本の特許業界において着実に根を張り、その評価を高めていきました。

 ダウエント社との代理店契約は2000年を以って終結しましたが、今日NGBがあるその一端は、その極東地区総代理店として多くの日本を代表する企業に対し様々なダウエント社サービスを提供し、それらの営業活動を通して日本の特許業界と深い繋がりを持てたことにあると信じています。

文・大槻望 (常務取締役 昭47入社)

NGBダウェント課スタッフの紹介記事「Derwent Talk」1992年6月号

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