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2010.05.21

【商標 NEWS】中国、メキシコ

中国
2010年4月25日 行政訴訟に関する最高裁の意見公布

本年4月25日に、「最高裁判所による商標の権利付与・権利確定に係る行政訴訟の諸問題に関する意見」が公布され、商標に関する行政訴訟の審理について、はじめて司法審査基準に関する指導的意見が公文書として配布されました。当該意見は全部で20条ありますが、特に下記条項が重要と思われます。

11条(著名商標の保護範囲)
中国で周知となっている既登録の著名商標について、非類似商品への保護範囲を認定する場合、その著名性の程度に応じて、より広い範囲の保護を与えるべきであるという意見が述べられています。従いまして、中国で著名度の高い登録商標は、今後はより広い範囲の非類似商品まで保護される可能性があります。

18条(不正登録の禁止)
他人が既に使用し且つ一定の影響力を有する商標であることを知っていた場合又は知り得た場合に、他人の当該商標を先に出願することは不正手段による出願であると認定できるという意見が述べられています。これにより、今後は、不正出願・登録に対して、中国国内での使用実績に基づく異議申立や取消請求が認められやすくなる可能性が期待されます。

20条(登録商標の使用)
三年間の不使用取消事件に関し、実際に使用されている商標と登録商標がわずかな差異であり顕著な特徴が変わらない場合、登録商標の使用と見なすことができるという意見です。これまで実際の使用態様と登録商標の同一性が厳しく判断されていましたが、今後は同一性の判断が多少緩くなる可能性があります。

今回の最高裁の意見では、上記11条や18条のように、真の商標権者の保護が強化される傾向がみられますが、具体的な基準は依然として不明確であるため、今後の行政訴訟の判決に注目すべきでしょう。

メキシコ
2010年4月1日 代理人委任状に関する法改正の実施

工業所有権法第181条の改正により、本年4月1日よりメキシコ特許庁に対して代理人委任状の提出が不要となり、各種申請書の中で代理人が代理権を付与されていることを宣誓するのみでよいこととなりました。この改正は、商標等の標章に係る新規出願、更新出願、譲渡申請、名義又は住所変更申請、使用権設定登録申請に適用されます。然しながら、特許庁に対して代理人委任状を提出する必要はなくなったものの、代理権の存在を証明すべき事態に備え、複数のメキシコ代理人から代理人自身の保管用として委任状を提供すべきであると強く推奨されています。弊社としても、安全を考慮し、従来どおり代理人委任状を送付することをお勧めします。

注:上記の改正は、特許、実用新案、意匠には適用されませんのでご注意下さい。

(商標部 研壁)

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