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2010.12.24

欧州特許庁 (EPO) における先行技術の提出義務

欧州特許条約 (EPC) の改正Rule 141および新Rule 70bにより、2011年1月1日以降、EP出願においては、優先権主張の基礎となる出願が提出された庁 (office of first filing (OFF)) により行われたサーチ結果を提出する義務が生じます。

対象となる出願は、2011年1月1日以降に出願されたEP出願 (分割出願を含む) およびEPを指定したPCT出願です。但し、日本、英国あるいは米国における優先権を主張したEP出願に対しては、日本、英国あるいは米国でのサーチ結果を提出する義務は免除されます (2010年12月9日付のEPOの発表)。

EPOへ提出すべき書類は、優先権主張された先の出願が提出された庁 (OFF) のサーチ結果のコピーとなります。サーチ結果としては、サーチレポート、先行技術文献のリスト、拒絶理由通知書の関連部分が例示されています。調査結果はOFFが発行した書類のコピーを提出する必要があり、出願人自らが作成した先行技術文献のリストの提出では要件を充たしていないことになります。また、複数の優先権主張を行っている場合は、すべての先の出願のOFFのサーチ結果のコピーを提出する必要があります。

サーチ結果がEPOの公用語以外で記載された場合であっても、OFFのサーチ結果の翻訳文の提出は必要ありません。また、先行技術文献のコピーも提出不要です。さらに、優先権主張された先の出願の他の国における対応出願のサーチ結果を、出願人が自発的に提出することも要求されておりません (但し、EPOは従来通り、出願人にサーチ結果の提出を要求することも可能です)。

提出時期は、EP出願時、または、EPを指定したPCT出願の場合はEP移行時となります。この時点でサーチ結果が入手できない場合には、出願人はサーチ結果を入手後に遅滞無く(without delay) EPOへ提出する必要があります。また、サーチ結果の提出は、EP出願が係属中である限り出願人の義務となります。

EPの分割出願においては、親出願で既にサーチ結果のコピーが提出されている場合には、EPの分割出願においてサーチ結果のコピーを再度EPOへ提出する必要はありません。

サーチ結果が提出されていない場合は、審査段階において、EPOは、2か月以内 (延長不可) に以下の書類を提出するように出願人に要求することができます。本要求に対して回答を行わない場合には、EP出願は取り下げられたものとみなされます。
(a) サーチ結果のコピー、または
(b) サーチ結果が入手できないことを示すStatement (例:出願人がサーチ結果をまだ入手していない、あるいは、優先権主張された先の出願に関してOFFがサーチを行わない)

今回のルール改正によりEP出願を行う出願人は先行技術提出の義務を負うことになりますが、例えば、日本出願のみを優先権主張してEP出願を行う場合は、上記の先行技術提出義務の免除により、出願手続き上の変更は生じないことになります。

以上

(特許部 小林栄一)

<参考資料>
改正Rule 141および新Rule 70bの具体的運用についてのEPO長官の決定
http://www.epo.org/patents/law/legal-texts/journal/president/archive/20101020.html?update=law

改正Rule 141と新Rule 70bの各条文
http://archive.epo.org/epo/pubs/oj009/12_09/12_5859.pdf

改正規則141と新Rule 70bに関するEPOからの通知
http://archive.epo.org/epo/pubs/oj010/08_10/08_4100.pdf

日本、英国あるいは米国のサーチ結果は、提出義務を免除することについてのEPO長官の決定
http://www.epo.org/patents/law/legal-texts/journal/president/archive/20101209.html?update=law

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