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2013.08.22

【インドネシア訪問記2013】 後編: [知的財産総局] [知財を取り巻く汚職問題]

NGB商標部ではインドネシアのジャカルタを訪問、商標関連の情報収集・現地事務所視察を行って参りました。本稿はそのご報告の後編です。
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[知的財産総局]
前述したようにインドネシア知財局(DGIP; Directorate General of Intellectual Property Rights)はジャカルタではなく、タンゲランという国際空港近くの町にあり、非常にアクセスが悪い。

規模拡張のために土地代の高騰(2倍高騰)する中心部からタンゲランヘ移転したそう。手交が基本で様々な局面での電子化が進んでいない。発行物の受け取りや調査の為にはDGIPに出向く必要がある為、関係各所から不満が上がり、来年にもジャカルタの官庁街のクニンガンの出入国管理局跡地に移転の予定とのこと。それまでは各代理人ともに、1日1回もしくは2日に1回DGIPまで人を派遣して情報・発行物(登録証やOA通知等)を取りに出向いているので、当日期限等の至急対応には限界があることに注意をされたい。
[知財を取り巻く汚職問題]
今回の視察で是非確かめておきたいと思っていたのが、インドネシアでの賄賂・汚職事情である。裁判所・検察・警官は汚職の巣窟と言われており、インドネシアで活動を試みる外国企業にとって大きな問題となっている。近年、汚職撲滅委員会(KPK)による活動で様々な公職に付く者が逮捕されているが、この中には裁判所の裁判官も少なからず含まれている。良い例として、商事裁判所(Commercial Court)が判決を公報に掲載しない(=賄賂にて判断を変えたケースが公開できない?)と言った実状がある。因みに、商事裁判所の取り扱いの80%は商標関連だそうだ。賄賂を使わずに正攻法で攻める際には、1回戦(Commercial Court)負けは覚悟して、2回戦(Supreme Court)での勝利を目指すことも視野に入れる必要があるとの現地弁護士の弁。因みに商事裁判所での訴訟費用は150万円程度、最高裁でも同程度の費用が予測される。

以上、非常にタイトなスケジュールの中での視察となりましたが、特に身の危険を感ずることも無く、無事帰国し日常業務に戻っております。ジャカルタはもう当分のあいだ行かなくてよいかな……と振り返りつつも、今回訪問した各代理人のご協力にこの場をお借りして感謝申上げます。

(商標部 仁藤)

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