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2014.08.23

【ASEANプロジェクト2014】[ 3 ] ベトナム、インドネシア 訪問記 前篇: ベトナム特許出願/早期権利化への取組とその実態

NGBでは、お客様の関心が高まる東南アジア諸国の知財情報をアップデートするため、ASEANプロジェクト2014を立ち上げました。各部実務スタッフ総勢19名が訪問団を結成、5つのチームに分かれて各加盟国をまわっています。

第3チームは外国特許出願実務スタッフ4名と特許年金管理スタッフ2名の混成部隊。本稿では、前・中・後の3パートに分けて各々有益な情報をお届けします。
  [前篇] ベトナム特許出願
  [中篇] インドネシア特許出願
  [後篇] インドネシア年金管理

[前篇] ベトナム特許出願

[ベトナム雑感]
ベトナム社会主義共和国、通称ベトナムは、インドシナ半島の太平洋岸に南北に伸びた国土を有する。公用語はベトナム語である。筆者(中村)は同僚の高橋・上田・平林とともに、ベトナム特許庁(NOIP: National Office of Intellectual Property of Vietnam)及び複数の現地特許事務所を訪問し、早期権利化の実務を主に確認するために、ベトナム北部にあるハノイを訪れた。

ハノイの街には、フランス統治時代のヨーロッパ調の建物や教会、ハノイ市民の憩いの場でもあるホアンキエム湖がある。最も印象に残ったのは、とにかくバイクの数が多かったことである。街には信号が存在しない交差点が数多くあり、道路を歩いて横断するときには、向かってくるバイクや車を見ながら、ゆっくりと渡るのがコツであるらしい。急に走ったりすると、バイクが歩行者の動きを予測できないので大変危険とのことである。車で移動しているときには、バイクの集団が車の前にいきなり割り込んでくる。そのため、至るところでクラクションが鳴っている。某ベトナム代理人によると、ベトナムでは、バイクや車の割り込みに対してクラクションを猛烈な勢いで連打するのは反射的な動作であり、ドライバーはまったく怒っていないとのことである。確かにドライバーの顔は無表情であった。

[早期権利化の実務]
早期権利化を図る場合には、Article 9.3 of Vietnamese Circular No. 01/2007/TT-BKHCNに基づき、審査開始前又は審査請求時に、(1)費用、(2)早期審査の請求、(3)対応外国出願の認可情報等、(4)対応外国出願の認可クレームに本願クレームを合わせる補正をした補正書、の書面を提出することによって、審査の促進を図るための早期審査の請求が可能である。特許庁長官及び担当審査官によってこの請求が承認されると、出願の公開日又は審査請求日の遅い方から18か月の期間を過ぎる前に審査が完了される。しかし、この請求は、承認されないケースがままあり、その理由として、一説には2005年から2007年の審査の未処理分(バックログ問題)であると事前に聞いていた。実際に現地で確認すると、特許庁のバックログ問題に起因して、2014年1月1日から早期審査の請求が全て承認されていないことが判明した。早期審査の請求が、いつから承認されるようになるかは現時点で不明である。ただし、担当審査官とコンタクトを図り、対応外国出願の認可クレームに合わせる補正を行い、審査の促進を図ることは可能とのベトナム弁理士の意見があった。

[ベトナム特許庁訪問]
今回の訪問では、出願人側の立場にあるベトナムの弁理士の意見だけでなく、特許庁の審査官の見解を伺うことができた。ベトナム特許庁では、審査第1部部長(Invention Division No.1, Director)であるMr. Phan Ngan Son及び副長官(Deputy Director General)であるMr. Pham Phi Anhと別個にミーティングを持つ機会が得られた。「ASPECの枠組みはうまく機能しているか」、「NOIPの審査官はどのような手順で審査を行うか」、「対応外国出願において複数の国で特許になっている場合にどの国の認可クレームにあわせるべきか、また、権利範囲が異なる場合はどうすべきか」、「バックログ問題の状況や特許庁としての取り組みを知りたい」などの我々の立て続けの質問に全て答えてくれたMr. Son及びMr. Anhに心から感謝したい。

[特許第1部 中村友則 (ベトナム記事担当)]
大量のバイク
ベトナム特許庁
特許庁にて、審査第1部部長と
特許庁にて、特許庁副長官と

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