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2015.03.18

柏原 雄人

【coffee break】 ベトナム放浪記 1994 [前編]

本稿では、NGBの営業マンがおよそ20年前、観光で単身訪れたベトナムで「ひと仕事」して来た顛末をご紹介します。お仕事の合間、コーヒーブレイクに、どうぞ。
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筆者が初めてベトナムの商都、ホーチミン市を訪れたのは1994年の夏休み、手つかずの投資先として日本企業の注目をようやく集めつつあった頃だ。日本からの直行便も飛んでおらず、インターネットも普及する前ゆえ観光情報も手に入らない。バックパッカー御用達の、あの青いガイドブックにおいてさえ、「フロンティア」という別枠シリーズでの展開だったと記憶している。

そのガイドブックによれば、外国人観光客は1泊2万円もする高級ホテルにしか宿泊することが認められていないという。馬鹿正直にそれを信じた筆者は2000ドルものトラベラーズ・チェックを準備して行ったが、2泊目以降はあっさりと20ドルの格安ホテルに移動。高級ホテル滞在はたった1泊で終わるとともに、多額のチェックを使わないまま日本に持ち帰ることになった。今でもどこか、自宅押入れの隅のリュックサックに入ったままのはずだ。

さて、そんな格安ホテルをどうやって見つけられたか?ここで一人のベトナム人、本稿における重要人物を紹介する。Mr.HOA。職業不詳。妻子あり。年齢は筆者より10歳上。ついでにいえば誕生日も筆者と同じ。これらの情報は追って日を重ねるごとに判明していったことだが、初めて会ったときは「怪しい奴・・・」としか思えなかった。なにしろ露店に毛が生えたような狭い雑貨屋で「Hard Rock Cafe SAIGON」とプリントされたTシャツを売っている。ホーチミン市(旧称SAIGON)に Hard Rock Cafe レストランがオープンするのはかなり後、2010年のことだから、当然ながら正規ライセンス品ではない。そんなニセモノを会社同僚への土産として買った縁からHOAとは知り合った。

「宿は決まっているのか?」「明日以降はまだだ」・・・と、格安ホテルを紹介してもらう。「観光はどこへ行きたいんだ?」「市内観光」と答えればバイクの後部に乗せて案内してくれる。「メコンデルタ」と答えれば、どこからか車を一台、運転手ごと調達してくる。そんな調子でプライベート観光ガイドとして、メコンデルタ最大のマーケットであるカントー市場、奇妙な「カオダイ教」の教会、対仏~対米戦争を通じて掘り続けられた地下要塞のクチトンネルなどをHOAとともに訪れた(その間、雑貨屋の店番をどうやりくりしていたのかは、いまだに謎だ)。

そして、夜はビール。地元の料理を頬張りながら、毎晩、お互いの国のこと、家族のことについて語りあう。そして仕事の話題・・・しかしながら、自分は特許サービスの会社で働いていると説明しても、 この patent という単語が通じない。「いいかHOA、発明者の権利というものは、法律によって保護されるべきだろう?」。おぼつかない英語の説明を怪訝な表情で聴いていたHOAであるが、翌日には「お前が昨日 patent と言っていたのは Lisence のことだろう?」と訊いてくる。当らずとも遠からず・・・お主、やるな。ベストの回答とは言えないが、まあ的を射ている。誰か知り合いの欧米人にでも訊いて、知識を得ているようだ。

彼なら多少の無理難題を振っても何かしら答えを出してよこすかもしれない・・・そう判断した筆者は5日目の晩、ビールを飲みながらおもむろに切り出した。
「ねえHOA、ボクを Patent Office へ連れて行ってくれないか?」

=>後編に続く

(営業推進部 柏原)

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