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2015.06.17

米国ANDA訴訟の直近10年間の判決の動向分析[前編]

筆者は日本企業の米国特許訴訟関与状況2014-原告編において、医薬品メーカが原告として上位に並んでいる分析結果を紹介した。本稿では直近5年(2011/1/1-2015/6/3)の米国特許侵害訴訟データを分析しANDA訴訟の特徴的な傾向を紹介する。更にANDA訴訟については直近10年(2006/1/1-2015/6/3)のデータを分析し、その動向を紹介する。データベースは以前紹介したLexMachinaを使用した。

  *ANDA訴訟は簡略化製造承認申請をする後発医薬品メーカーに対して
  先発医薬品メーカーが提訴する特許侵害訴訟のこと。

具体的にはANDA訴訟の提訴数の割合、侵害判決の割合、有効判決の割合、権利行使不能判決になる割合を、米国特許侵害訴訟全体の結果と比べることで、ANDA訴訟の特徴的傾向を見出すことができたので紹介する。

1. 米国特許侵害訴訟におけるANDA訴訟の割合は6.3%、直近10年でANDA訴訟は増加傾向

2014年の米国特許侵害訴訟数は2013年に比べて若干減少したが、ANDA訴訟は2014年に増加傾向を示している。直近5年の累積提訴数をみると、米国特許侵害訴訟(22,689件)におけるANDA訴訟(1,423件)の割合は6.3%であることが分かる。図1(資料3頁)と図2(資料4頁)を参照。

直近10年のANDA訴訟数をみると、直近5年(実質4年半)で1,423件、その前の5年(2006/1/1-2010/12/31)で1070件であり、直近5年で33%増加していること、特に2014年に大きく提訴数(436件)が伸びていることが分かる。図2(資料4頁)と図3(資料5頁)を参照。
2. ANDA訴訟の裁判地はデラウェア州連邦地裁とニュージャージ州連邦地裁が多い

直近5年のANDA訴訟の裁判地はデラウェア州連邦地裁(D.Del.)が40%、ニュージャージー州連邦地裁(D.N.J.)が34%とこの二つの地裁での争いが多いことが分かる。ANDA訴訟の被告である後発品メーカーの拠点等がこの地区に集まっているのが理由と思われる。米国特許侵害訴訟全体で裁判地としては多いのは、テキサス州東部地区連邦地裁(E.D.Tex)が25%、D.Delが18%であり、これはNPE訴訟がこの2裁判所に集まっているのが一因と思われる。図1(資料3頁)と図2(資料4頁)を参照。

(IP総研所長 折田)

=>後編に続く

図1(資料3頁)
図2(資料4頁)
図3(資料5頁)

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