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2018.03.19

【セミナー開催報告】 模擬裁判で分かる!中国企業からの侵害警告と訴訟対応 [質疑応答編]

日本技術貿易株式会社(以下、NGB)は、去る2月28日(東京)と3月1日(大阪)、中国の天達共和法律事務所(以下、天達共和)と共同で模擬裁判形式のセミナーを開催いたしました。本稿では、会場でやりとりされた質疑応答の抜粋をご報告申上げます。

=> 開催報告本編はこちら

Q1: 事例の中で実用新案評価報告書が紹介されていたが、意匠評価報告書はどのようなものが記載されるのか。
A1: 中国では意匠も実用新案と同様に実体審査がないため、評価報告書制度が適用される。意匠権の場合、意匠の登録要件に基づいて判断された結果が評価書に記載される。典型的には、新規性、非類似性(先行意匠と比べて顕著な区別がある)の有無が判断される。具体的には、先行意匠の調査結果に基づき本件意匠の要部が認定され、登録要件を満たしているか評価される。また、中国では一の意匠出願で複数の類似意匠を出願することができる。この場合は、各類似意匠ごとに登録要件が評価される。

Q2: 進歩性について。特許と実用新案では実用新案の方が進歩性のハードルが低いとのことだが、進歩性の判断基準が難しい。中国では引例を特許より少なくしているところがあると思うが、実質的には2つの組み合わせで、さらに相違点がある場合には3つ、4つ引例をひかれる場合があると聞いている。実用新案に対して引例が複数で出ている場合に、これは大丈夫で、これはダメだという基準はあるのか。
A2: 実用新案と特許の進歩性の判断における主な違いは、使用できる引用文献の技術分野と数量である。実用新案の場合は原則として同一の技術分野に属する引用例しか使用できないが、特許の場合は関連する他の技術分野の引例も使うことができる。また、実用新案の場合は引用文献の数は原則1つまたは2つであるが、特許の場合はこれに限られない。ただし、実用新案であっても、単なる寄せ集めに過ぎない場合(例えば相互に独立した機能を有する複数の部品を一つの板に取り付けたに過ぎないなど)は、3つ以上の引例を組み合わせることができる。

Q3: 無効審判や侵害訴訟で代理人以外が発言することはあるのか。また、中国語ができない場合、通訳を介して発言することができるのか。
A3: 当事者本人と代理人が共同で法廷にでる場合、当事者に何を発言させるかを事前に打ち合わせをしておくのがほとんどである。
原則は第一発言者である代理人が発言をするが、当事者には裁判官または審判官の同情を煽るような発言(例えば製品の開発にどれくらいの時間と労力を費やしたかなど)や、技術的な内容を話してもらう場合がある。
民事訴訟法では、当事者や証人が中国語を喋れない場合、必ず通訳をつけることが義務付けられている。

以上

中国訴訟情報に関するお問合せや、権利化に関するご相談など、お困りの際にはお気軽に弊社にお気軽にご相談くださいませ。

(営業推進部 神戸)

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