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2019.01.15

中国知財局:2018年の知的財産関連統計データを発表

日本技術貿易株式会社 顧問
中国弁護士・中国弁理士・日本付記弁理士
張 華威
2019年1月10日、中国国家知的財産権局(以下、「CNIPA」という)は記者会見を行い、2018年度の専利、商標、地理的表示、集積回路配置設計に関する統計データを発表した。

参照URL:
http://www.cnipa.gov.cn/twzb/gjzscqj2018nzygztjsjjygqkxwfbk/index.htm

発表された内容の重要な部分及び筆者の分析は以下のとおりである。

1. 特許出願受理件数は154.2万件であり、2017年の138.2万件と比べて約11.6%増との結果となった。また、いままでは増加の部分は主に国内出願人によるものであると思われてきたが、2018年は外国出願人による出願も14.8万件にまで増加し、対前年比9.1%増となった。これには、外国企業同士の訴訟及び外国企業が被告となるケースが増えてきたことが背景に挙げられる。

2. 実用新案権の登録件数は187.4万件であり、2017年の168.8万件に比べてさらに11%もの増加が見られた。中国では最近実用新案に対しても初歩的な先行技術調査を行って新規性を審査するようになり、登録にかかる期間も長期化している。また、中国の政府、団体などによる補助金、奨励金の対象から実用新案が除外されるようになっており、優遇措置を受けるためのメリットはなくなりつつある。それにもかかわらず、実用新案権登録件数の伸び率が10%以上を維持しているのは、中国では実用新案権を行使する際に十分な機能が果たせていることが挙げられる。

3. 意匠権の登録件数は66.7万件であり、2017年の62.9万件を上回った。特許や実用新案と異なり、中国では意匠権の登録件数は60万件前後で安定しており、減少する年も少なからずあったが、2018年は史上最高数を記録した。意匠についても、補助金、奨励金などにインセンティブはほとんどなく、企業の権利意識の向上と訴訟件数の増加が出願件数増加の主な原因だと思われる。

4. PCT出願受理件数は5.5万件であり、対前年比9%増となった。そのうちの5.2万件が国内出願人によるもの(対前年比9.3%増)であった。特に近年は中国政府による補助金の成果もあって、中国企業による外国(特に米国、欧州、インド)での特許出願が急激に増加している。

5. 専利復審委員会が受理した復審(拒絶査定不服審判)の請求件数は3.8万件であり、2.8万件終結した。無効審判請求件数は0.5万件であり、0.4万件終結した。

6. 全国専利行政法執行件数は7.7万件(対前年比15.9%増)に達し、そのうち専利侵害処理件数は3.5万件であり(対前年比22.8%増)、専利詐称取締件数は4.3万件(対前年比10.9%増)を記録した。なお、行政機関が侵害事件に介入する権力は今後予定されている専利法の第四次改正により更に強化される予定である。そうなれば、行政ルートによる保護はこれから一層重視されることとなる。

7. 商標出願受理件数は737.1万件(対前年比28.4%増)であり、登録件数は500.7万件に達した。これには、中国が2017年3月から出願庁費用を半額にしたことが背景にある。また、知的財産権に対する保護の強化、訴訟件数ないし損害賠償額の増加なども一つの要因となっていると思われる。

8. マドリッドプロトコルに基づく国際商標出願の登録件数は6,594件であった。

9. 商標出願の審理期間は6ヶ月まで短縮され、拒絶査定不服審判も7ヶ月以内まで短縮された。

10. 行政機関による商標違法事件取締件数は3.1万件であり、目的総額は5.5億人民元に達した。

11. 地理的表示においては、67の地理的表示保護製品が認定され、961の地理的表示商標が登録され、223の企業に地理的表示製品の専用標章の使用を認可した。

12. 集積回路配置設計の出願件数は4,431件(対前年比37.3%増)であり、登録件数は3,815件(対前年比42.9%増)であった。

以上

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