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2019.09.19

【意匠・商標ニュース】BREXITに伴う欧州の商標及び意匠への影響

10月31日に再延期されている英国のEU離脱(BREXIT)の期限がまた近づいて参りました。合意なき離脱を防止するための法律が9月9日に成立したことにより、10月19日までに英国とEUが離脱条件に合意できない場合、ジョンソン英首相はEU側に2020年1月31日までの再々延期を要請することになっています。しかし、実際にどうなるのか明らかではなく、10月31日直前まで先が読めない状況が続くことが予想されます。

本稿では、英国政府がこれまでに公表しているガイダンス等(下記参考資料)に基づき、10月31日に英国が合意なき離脱となった場合の欧州連合商標(EUTM)と登録共同体意匠(RCD)への影響をまとめます。

1.BREXITの時点で『登録済』のEUTMとRCD
BREXITの時点で、権利者が何も行うことなく、英国国内の同等の権利として英国知的財産庁に再登録され、再登録番号が付与される予定です。

2.BREXITの時点で『出願係属中』のEUTMとRCD
英国での権利登録のためには、同じ商標/意匠について英国国内出願する必要があり、BREXITから9ヶ月以内であれば欧州出願日および優先日の主張が認められます。この英国国内出願には、通常の出願と同じ庁費用が発生します。

いつまでに出願すればBREXITの時点で『登録済』の状態にできるか、EUTMとRCDのいずれも明確な基準はありません。少なくとも本稿執筆時点では、RCDについてはこれからの出願でも10月31日前に『登録済』となる見込みが十分にありますので、英国での権利を希望される未出願のRCDがありましたら早めに出願されることをお勧めします。

弊社の外国出願サポートサービスのご案内をご希望の場合には、問合せフォーム(https://www.ngb.co.jp/inquiry/form.php)よりご連絡ください。

なお、欧州特許については、欧州特許条約(EPC)がEU加盟国に限定されない欧州諸国間の条約であることから、BREXITの影響はありません。EU加盟国を前提としている欧州統一特許制度につきましては、BREXIT前の実現は困難との見方が強まっています。

参考資料:
– BBCニュース
https://www.bbc.com/japanese/topics/f94293fd-ff83-400e-8bc0-89ec01930fce
– 英国知的財産庁Guidance(2019年4月2日更新)https://www.gov.uk/government/publications/ip-and-brexit-the-facts/ip-and-brexit
– 英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省、欧州連合離脱省、知的財産庁Guidance(2019年3月22日公表)https://www.gov.uk/government/publications/changes-to-design-and-trade-mark-law-if-the-uk-leaves-the-eu-without-a-deal/changes-to-registered-design-design-right-and-international-design-and-trade-mark-law-if-the-uk-leaves-the-eu-without-a-deal
– 英国知的財産庁Notice(2019年3月18日公表)https://www.gov.uk/government/publications/numbering-for-designs-and-international-trade-marks/numbering-for-registered-community-designs-and-international-trade-marks
– Kluwer Patent Blog(2019年8月16日付)
http://patentblog.kluweriplaw.com/2019/08/16/germany-will-not-ratify-upca-as-long-as-consequences-brexit-are-not-known/
– Managing Intellectual Property Article(2019年8月30日付)
https://www.managingip.com/Article/3891533/UKIPO-joining-UPC-before-Brexit-no-longer-possible.html

(記事担当:特許第1部 高橋)

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