TOPページ知財情報【トロール動向ウォッチ】  トップ11社提訴件数推移

【トロール動向ウォッチ】
 トップ11社提訴件数推移

2013/06/19 特許/実案 判決/事例紹介 米国

 保有する特許に抵触している企業を見つけ、ライセンス料や巨額の賠償金の取得を狙う企業や個人を批判的な意味を込めて呼ぶ場合にパテントトロールという言葉が使われる。これに似た言葉としてNPE(Non Practicing Entity:不実施主体)という語があるが、NPEとは特許発明を実施しない者であり、大学・研究機関やDPA(Defensive Patent Aggregators:防衛的特許集約サービス提供者、例えばRPXやAllied Security Trust等)等を含むことになる。NPEから、これら大学等を除外した概念として提唱されたのが、PAE(Patent Assertion Entity: 特許主張主体)である。PAEは、自らは製品の製造・販売を実施せず、技術移転や開発を支援する目的では無く、ライセンス料や損害賠償金を得ること目的に特許を保有・行使する者である。
 本記事ではPAEにフォーカスし、主要なPAEの米国特許侵害訴訟動向を紹介する。

分析対象PAE
 各種情報をもとに、以下の11企業を主要PAEとして抽出し分析対象とした。これらのPAEは下記NPE特許保有ランキング表(黄色塗部)にあるとおり、米国特許の保有件数で上位のPAEである。分析対象としたPAEのグループ名義については別紙1(ページ下部にPDFリンクあり)のとおりである。尚、本分析ではPAEにフォーカスしており、NPEに分類される大学・研究機関(例えばWARF、CSIRO)は対象としていない。

Acacia / Intellectual Ventures / InterDigital / IPG / MOSAID / Rambus / Rockstar / Round Rock / Tessera / Walker Digital / Wi-Lan


表1. NPEs with Largest Patent Holdings(Source: PatentFreedom https://www.patentfreedom.com/about-npes/holdings/)

PAEによる特許侵害訴訟件数の増加
 主要PAEによる連邦地方裁判所への特許侵害訴訟提訴件数(図1)は年々増加の傾向にある。特にAcaciaは2000年頃から非常に多くの訴訟を繰り返しており、2012年には年間251件と急増している。これは、2011年9月に発効したAIA法によって、(基本的に)複数者を単一の訴訟で提訴することができなくなったことにより、個々の侵害行為ごとに相手を提訴する必要が出てきたことが大きな要因と考えられる。
 また、Round RockやWalker Digitalについては、2011年にまとまった件数が見られる。これは2011年9月のAIA法発効前の駆け込み提訴と見られる。
 一方で、2006年のeBay最高裁判決後、差止という武器を奪われたPAEがITC(米国国際貿易委員会)での337条提訴に流れたと言われるが、実際の提訴件数は決して多くは無い(図2)。もっとも、連邦地方裁判所への特許侵害訴訟提訴件数との件数比でみると、InterDigitalやTesseraはITCへの差止請求を行なうケースが比較的多いともとれる。


図1. 主要PAEの特許侵害訴訟提訴件数推移


図2. 主要PAEのITC提訴件数推移

PAEの最新訴訟状況(5月)
 最後に、主要PAEの最新訴訟状況(5月分)を訴因となった特許情報と併せて別紙2(ページ下部にPDFリンクあり)にて紹介する。
 別紙2のリストをご覧頂くと5月分で全24件の提訴がある。内訳としては、Acacia 20件、Intellectual Ventures 2件、Wi-Lan 2件である。Acaciaについては、Adaptix(Acaciaグループ)が原告となって通信関連企業を相手に全17件の提訴を行なっており、いずれも2件のOFDMA関連特許に基づくものである。

オバマ米大統領が6月4日の声明でパテントトロール規制強化策を発表
 新聞等でも報道されているように、オバマ米大統領は米国時間6月4日の声明の中でパテントロールを取り締まる、大統領権限に基づく実施策を公表した。このような規制強化の動きとともに、PAEがどのようなアクションをとっていくのか、今後も注視していく必要がある。

 NGB IP総研では、上記のような分析に限らず、新聞・業界紙等で知った訴訟、その他ご関心のある訴訟等についても調査サービスをご提供しております。詳細はお問合せフォームよりお問合せください。

(IP総研 中根寿浩)
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