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2025.05.15

NGB株式会社 アドバイザー 張 華威

中国最高人民法院が2024年度知財訴訟統計報告書を発表 ~特許と商標の民事訴訟は微減するも高水準を維持~

2025年4月21日、中国最高人民法院は「中国法院知的財産司法保護状況(2024年)」(以下「白書」という)を発表した。「白書」によれば、2024年の全国人民法院の各種知的財産関連事件(第一審,第二審,再審を含む)の新受件数は529,370件(対前年比2.67%減)であり、既済件数(前年からの繰越事件を含む、以下同じ)は543,911件(対前年比0.001%増)であった。

全国裁判所の民事第一審事件の新受件数と既済件数はそれぞれ449,923件(対前年比2.65%減)と457,315件(対前年比0.65%減)であり、内訳は以下のとおりであった。
* 専利(特許権、実用新案権、意匠権を含む)は44,255件(対前年比1.02%減)
* 商標は124,918件(対前年比4.95%減)
* 著作権は247,149件(対前年比1.8%減)
* 技術契約は8,320件(対前年比28.16%増)
* 競争関連民事事件は10,567件(対前年比3.29%増)
* その他知的財産民事紛争事件14,714件(対前年比16.53%減)

上記統計データを示すグラフは以下のとおりである。

2024年は、特許権にかかる訴訟件数は10年以上ぶりに微減であったものの、依然として44,000件台を維持した。商標は昨年に大きく跳ね上がった反動で約5%の減少を見せたが、依然として一昨年より高い水準を維持している。一方、技術契約関連の事件は28%以上の増加となっており、ライセンスや技術移転に関する紛争が増えていることが分かる。

このような状況の中、最近は中国における訴訟、行政摘発、侵害実態調査、証拠収集、鑑定、技術契約等の出願以外のサービスについての需要が高まっている。当社では、顧客の中国の公証役場を利用した防衛公開の証拠保存サービスや、中国で圧倒的なシェアを有するトラステッド・タイムスタンプ(中国名「可信时间戳®」)の日本語版プラットホームも提供している(https://jp.tsa.cn/)。当該プラットホームは、2024年にアップデートされ、ウェブブラウザ上で電子データに対してタイムスタンプを付与する従来型のサービスに加えて、URLに基づくウェブ版の機能も追加され、実用性が大幅に向上した。

証拠保存サービス及びトラステッド・タイムスタンプに関するお問い合わせは、trusted.timestamp@ngb.co.jpまでお送りください。

以上

張 華威
NGB株式会社アドバイザー、柳瀋律師事務所パートナー
日本を拠点に日本企業の中国における知財活動を幅広くサポート
中国弁護士、中国弁理士、日本弁理士(特定侵害訴訟代理業務付記)、日本外国法事務弁護士

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