IP NEWS知財ニュース

  • 知財情報
  • アーカイブ

2007.09.15

渡邊 哲史

商標/第1052条(d)/混同のおそれに関する審査基準

標章は、全体として比較しなければならず、類似する部分の記述的な性質ではなく、標章を全体としてみたときに引き出される総体的な商業上の印象が重要である。また、標章の支配的な特徴に重きを置くべきであり、当該部分を無視して、その後に、単に残りの部分を比較することは、正当ではない。

指定商品として、電気マッサージ器に係る標章において使用されるCHIの語は、中国語において、「気」を意味する標章の不可欠な部分であり、適正な重きが置かれなければならない。CHIの語は、主な構成要素であり、重みのある文字として記述されている。その標章の類似性は、消費者をして、それら製品の出所が同一であると信じ込ませるおそれが非常に強く、CHIの語に追加した「PLUS」の語は、通常は、関連するより優れた製品であって、出所が違う製品であるとの観念はなく、混同を回避し、抑制することはありそうもない。
(China Healthways Institute, Inc. v. Xiaoming Wang, CAFC, 6/22/07)

事実概要
China Healthways Institute, Inc.(以下、Chi Institute)は、電気治療マッサージ器を製造販売し、商標CHIを使用している。商標登録の図案は、以下の通りである。登録によると、最初の商業使用は、1993年である。

*****図(CHI)*****

Xiaoming Wang(以下、Wang)は、標章CHI PLUSに関して、「電気マッサージ器具」を指定して登録出願し、2002年7月26日の出願日を擬制使用として認められたが、実際の使用の証拠はない。出願に示された標章は以下の通り。

*****図(Chi PLUS)*****

Chi Instituteは、米国特許商標庁商標審判部(以下、Board)に対して、Wangの出願に係る商標「Chi PLUS」に関する登録に異議の申立てを行った。その根拠は、上記二件の標章は非常に類似しており、使用対象も同一種類の製品であり、混同または誤認を生じ、あるいは欺瞞するおそれがあるとした。
Boardは、混同は生じてないとして、異議申立を斥けた。
Chi Instituteは、異議申立を斥ける決定に対して控訴した。

破棄

判旨
混同のおそれに関する判断は、内在する事実に基づく法律問題である。Specialty Brands, Inc. v. Coffee Bean Distribs., Inc.事件(748 F.2d 669, 671 (Fed. Cir. 1984))参照。行政手続法5 U.S.C. 706の基準を適用して、当裁判所は、混同のおそれがない旨、Boardが下した法律的な結論を全体的に審理する。In re Int’l Flavors & Fragrances, Inc.事件(183 F.3d 1361, 1365 (Fed. Cir. 1999))参照。本質的な証拠による支持の基準に基づいて、Boardによる事実認定を審理する。On-Line Careline Inc. v. Am. Online Inc.事件(229 F.3d 1080, 1085 (Fed. Cir. 2000))参照。

Boardの認定によると、出願人と異議申立人の商品は、法律上、同一であり、取引上、同一の経路を移動して、同じ類の消費者に到達する。しかしながら、Boardは、「CHI」が標章間の構成要素として弱く、他の構成要素は十分識別力があるとした。「chi」を同じくして使用することが、ほとんど意味がないか、重要ではないとの立場を支持するのに、Boardは、辞書の定義を引用して、「chi」の意味は、中国の思想(道教、その他の思想)および医術において、気および生命力であるとした。THE AMERICAN HERITAGE DICTIONARY OF THE ENGLISH LANGUAGE (Fourth Edition)、MERRIAM-WEBSTER’S COLLEGIATE DICTIONARY (Eleventh Ed. 2003)参照。Boardの結論は、「chiは、東洋医学療法について詳しい者の間では、よく知られた意味を有する」とし、また、「単に、記述的でなくとも、指定商品に関して使用される場合には、少なくとも非常に示唆に富む」ものであるとした。この根拠に基づき、Boardの決定理由は、通常のCHIの構成要素は、両標章において、商標の状態に対して、相対的に弱い力を与えるものであるとし、また、両標章の類似性ではなくして、相違点に基づき、混同のおそれを分析した。ゆえに、Boardがその分析を集中させた点は、Chi Instituteの標章にある図案化された「I」の文字と、Wangの標章にある「PLUS」の語との相違である。その結果、両標章が、「識別される点は、それらの個別に追加されたものによる」と判断した。

当裁判所の結論では、Boardは、その分析において誤っており、単語として、CHIは、それら標章を全体として見るとき、標章の顕著な構成要素である。標章は、全体として比較しなければならず、少なくとも、総体的な商業上の印象が、合理的に標章の全体に基づいている場合には、そうである。Herbko Intern., Inc. v. Kappa Books, Inc.事件(308 F.3d 1156, 1165 (Fed. Cir. 2002))参照。(DuPont事件の要素に関して見てみると、「標章全体の類似性または非類似性」は、有力な審査方式であり、その方式は、外観、称呼、観念、および商業上の印象を含む標章の関連する特徴を審査する。標章を全体において審査するが、比較するのは、合理的な理由として、多かれ少なかれ、標章の支配的な特徴に重きを置いている。)

(…… 以下略)

*判決内容詳細については “I.P.R.”誌でご確認ください。

関連記事

お役立ち資料
メールマガジン