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2012.07.18

柏原 雄人

【中国公証役場訪問記】

NGB IP総研では、Beijing Elite Intellectual Property Service Co. Ltd (代表: 崔 暁光 弁護士) の日本代理店として、中国版インターネット情報公開サービス China-IPPublication.net の業務を本年5月よりご案内しております。 同サービスにおける最大の特徴は、インターネット上で情報を公開した後、直ちに公証人が公開日の確定公証を行い、同公証情報が公証人役場に保管される点にあります。 今回、同サービスの要となる確定公証がどのように行われているかを確認すべく、IP総研担当者2名と小職が、同社の崔社長の案内で北京市長安公証役場を訪問して参りましたので、ここにご報告申上げます。

先ず北京市長安公証役場に着いて早々、日本の公証役場と比べその規模の違いに圧倒されました。同公証役場は中国でTOP3に入る規模とのことで、公証人29名、公証人補助50名、その他の職員を含めると100名を超す大所帯。 弊社が日頃お世話になっている霞ヶ関公証役場は公証人が2名、職員が6名という規模ですから、その差は歴然です。到着したのが昼休みであったにも関わらず、ロビーには大勢の人が手続きの順番を待っていました。

先ず、調研検査部主任の陶氏の案内で役場内を視察、続いて、第6部門主任の楊氏および段氏の2名が加わり3名の公証人から以下のとおりお話を伺いました。

Q. 日本の公証役場では公証した書類の保管は原則行っていませんが、中国の公証役場では公証した書類等を保管してくれるのですか?
A. 中国の公証役場において、認証済み資料(封印物)の保管は重要な業務の一つとなっています。 北京市長安公証役場には当ビル地下3階に500平米の保管倉庫があり、ここで封印物を保管しています。 保管期間については短期で20年、長期で50年、あと永久保管も選択できます。 最近では、ネット上で提供するゲーム等についての証拠保全の依頼が急増しています。

Q. インターネット上のデータについてはどのような手続きで保管するのですか?
A. まず、当事者以外に2名の公証人が立会います。 そこで、Websiteにアクセスしてパソコン上に当該データを表示させます。 そして、例えば静止画の場合はカメラで、動画の場合はVTRにて撮影し記録媒体を封印保管します。 長安公証役場にはインターネット上のデータ(資料)の証明および保管に関して経験豊富な公証人が多数おります。 最近では北京市のホームページについても公証しました。

Q. 公証証書発行までの所用日数は?
A. 「(1)申請-(2)受理-(3)審査-(4)調査-(5)証明書作成-(6)上席者のチェック-(7)発行」のプロセスが必要のため通常は受理から7日間を要します。 尚、崔先生のように申請者との間に信頼関係が有る場合、期間短縮が可能です。

Q. 保管された封印物はどのように使用するのでしょうか?
A. 例えば、裁判において、公証済み資料が証拠として提出された場合、相手側が本当に公証されたものか疑うことがあります。このような場合、当該証拠が保管されているか確認するために当事者(相手側の弁護士)が直接公証役場に来て閲覧申請を行います。 同申請が正当なものであれば、公証人は保管する資料を開示します。

Q. 閲覧は誰でも可能ですか?
A. いいえ。弁護士、あるいは公安による申請に限ります。

Q. 実際に裁判で使用されたことは?
A. ここで公証して保管している資料はいずれも訴訟対策を目的としているわけで、例えば著作権侵害訴訟においては幾度となく利用されています。 また、裁判に入る前の交渉段階においても、当該データ(資料)が公証役場にて保管されていることを相手側に申し入れることで、相手側が諦めて早期和解に至るケースもあります。

Q. China-IPPublication.com のサービスについてどう思われますか?
A. ネット上で公開される著作物等の公開日公証申請が急増していますが、これらの申請は案件毎に個別対応しているので公証人も極めて多忙です。仕事量に応じて増員が急務となっています。 崔弁護士提案のサービスは案件をまとめて認証することになるので公証役場も大いに助かります。

中国における2011年度の特許、実用新案および意匠の出願件数は合計で約170万件、更に知的財産(特許、実用新案および意匠)関連侵害訴訟は7,000件に達するといわれており、知財大国 中国で事業を行うにあたり、他社の知的財産に対する対策は以前に比べその重要度を増していることは明白です。 そのような状況の下、自社の技術の保護等々、中国の公証制度を如何に上手く利用していくかが重要な鍵の一つであり、本件サービスが日本企業様の協力なサポートとなれるとの確信を胸に、一同帰国の途につきました。

China-IPPublication.net 及び 中国の公証制度についてのご質問は、以下までお願いいたします。
NGB IP総研
長谷川雅則/白岡 剛
e-mail: ip-soken(a)ngb.co.jp ((a)に@を入れて下さい)

[ご参考まで: 中国民事訴訟法 民事訴訟証拠規定(抜粋)]
第77条 (証明力の認定原則)
人民法院は、同一の事実に対するいくつかの証拠の証明力について、次の各号に掲げる原則に従って認定する。
(1) 国家機関、社会団体が職権により作成した公文書証の証明力は、一般に他の書証のそれよりも大きい。
(2) 物証、保存資料、鑑定の結論、検証記録または公証もしくは登記を経た書証の証明力は、一般にその他の書証、視聴覚資料及び証人の証言のそれよりも大きい。

(常務取締役 見学正道)

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記録媒体を保管する封筒と封印紙

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