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2016.01.07

【セミナー開催報告】 アフリカ商標セミナー [2015年11月]

NGBでは2015年11月18日 (大阪会場) ・ 20日(東京会場)の両日、アフリカ商標セミナーを開催しました。講師として、カメルーンにオフィスを構えるINLEX Africa事務所のFrank SOUTOUL氏、Jeremy GIACOPAZZI氏を招き、サハラ砂漠以南のアフリカ諸国へ商標出願を行う際の有効な方法や、模倣品対策にスポットライトを当てて、講義頂きました。

広大な国土と増加する人口、潜在的な購買力と急速な経済成長がアフリカの魅力であることは疑いのないところですが、当日もそれらの点が現地への商標出願を推奨する理由として挙げられていました。積極的に商品名や役務名として使用される場合はもちろんのこと、模倣品対策という観点でも、商標権を確保する必要性が高まっているという印象を受けました。

旧英国領の国々から構成されるARIPOにおいては、大まかに言って、マドプロ出願と同様な審査方式が採用されています。1つの出願番号・登録番号で複数の加盟国の権利を管理できる点、審査期限が指定国への通報から12か月と定められており、審査結果の出される時期が予想できる点、必ずFiling Receiptが発行される点は、各加盟国に直接商標出願を行う場合と比べてメリットと考えられます。一方で各加盟国の国内法が整備されていない中、ARIPO出願により登録となった商標権の有効性については疑義が生じているため、この制度を積極的に活用することについては現時点では疑問視されるとの説明がなされました。
またブランド戦略の観点では、アフリカ諸国における識字率の低さから、商標態様の類比判断において文字商標と文字を図案化した商標の類似性が低いと判断される可能性があり、文字商標と図形商標を比較した場合、明らかに図形商標の方が識別力を発揮する点を必ず考慮すべきであると感じました。

さらに、模倣品対応を含む係争対応においては、必ず現地の人間を交渉役に立て、話し合いでの解決を優先することが重要であり、権利行使を行うことは、必ずしも費用対効果の面で好ましいとは言えないとのアドバイスがありました。海外の方が現地の方と交渉しようとしても、肌の色の違いから相手にされないケースや、警告状送付により権利行使を示唆した交渉は身の危険を伴う可能性があるため、まず現地の方の仲介で話し合いを持ち掛け、和解案についてフランクに交渉を重ねて合意に至ることが最善の策である、とのアドバイスは非常に印象的でした。

Frank SOUTOUL氏には、数年前に、フランス商標セミナーの講師も務めて頂きました。Jeremy GIACOPAZZI氏は、フランス人であるものの、OAPI代理人の資格を取得し、パリからカメルーンに移住して、INLEX Africa事務所に勤めているとのことでした。CTM制度という広域商標制度の浸透により、欧州各国への直接出願が少なくなる中で、ビジネスチャンスをアフリカに求め、実際に行動に移すバイタリティに、尊敬の念を頂くとともに、厳しい競争の現実を垣間見た気がします。

 セミナーにご参加頂きました皆様には改めて御礼申し上げますと共に、ご参加者アンケートの結果から、セミナー内容を高く評価して頂けましたことにも感謝申し上げます。NGBでは、今後もお客様のご興味に即応すべく、様々なセミナーを企画・開催する予定でございます。セミナーについてのご要望等がございましたら、ぜひお問合せフォームよりご連絡を頂けますようお願い致します。

(商標部 草野)

GDPの伸び率
ARIPO出願のタイムライン(タンガニーカ、リベリア、ウガンダを指定国として説明)

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