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2016.10.26

【中国視察2016】 [2] 北京知識産権法院 (知的財産裁判所)

NGBは、日本企業様10社のご参加を得て、9月18日 (日) – 23日 (金) の日程にて中国視察ツアーを催行した。 本稿では、視察先の一つである北京知識産権法院(知財裁判所)の訪問記録をご紹介する。

昨年9月に続き2回目の訪問となる北京知識産権法院では、副院長の宋魚水様ほか5名の裁判官ならびに裁判官補佐の方々にご対応を頂いた。 中には昨年メインでご対応を頂いた張庭長のお顔もあり、「ご無沙汰です」と握手を交わす。 今年は日本からの訪問団のみならず、現地(中国IPG)で知財法院研究をテーマとされている日本企業のご担当者様お二人にもお声をかけて、同法院訪問の機会をご提供差し上げることが出来たことが喜ばしい。

■技術調査室
昨年の訪問では、法院設立から1年を経過しておらず、技術調査官の人材不足が問題だとお話を聞いていたため、その後は順調に改善がなされているのか大いに気になるところであった。 今回は、昨年10月、つまりNGB訪問の直後に、「法院内に常設の技術調査室を設立した」との説明を得られた。 技術調査員と技術専門家、合計64名が在籍し、審理の場において当事者に意見を求め、その見解を裁判官に進言する立場にある模様。 質疑応答の中で、ご参加企業様から日本の弁論準備手続き、即ち審理に入る前の技術的論点摺合せの機会が日本の裁判にはあることを説明したところ、裁判官の方々が「それは良いアイデアです」と大いに関心を示していた点が興味深い。

■判決の妥当性・公平性
技術調査室の導入と併せて、裁判官の方々が主張していたのは、判決文を公平に判り易く書くよう、いかに心がけているかであった。 法律用語を並べただけの解りにくいものではなく、誰が読んでも納得出来るような理屈にあっている判決書。 少数意見も盛り込み、様々な角度から一つの結論が導かれるような論旨。 そのためにも判例指導を徹底して審理の統一性を保つ努力も継続的に行っているとのご説明もあった。いずれの裁判官も、司法公開主義の原則に沿って正確な審理を行っていきたいとの高い志をお持ちの方ばかりであった。

■ボランティア
昨年の訪問時には説明がなく、また迂闊にも気がつかなかったことであるが、同法院では2015年3月以降、ボランティアスタッフの活用を積極的に行っているとのこと。 常時40名程度の法学部生や一般社会人が、訴訟資料の準備やファイルの整理、簡単な文書作成を行ったり、或いは政府機関や企業に行って知財に関する啓蒙活動を行ったりしているそう。 ボランティアの活動を表敬する専用の小部屋には、胸に「志願者」と記された青色のベストが展示されている。なるほど、ロビーの受付(案内所)には、お揃いの水色ベストを着用した女性スタッフが2名いたことを改めて思い出した。

■一周年記念誌
さて、訪問者全員にお土産として配布された、2015年11月発行の同法院設立一周年記念誌(下左写真)。 その一年間の「国際交流」の実績を紹介するページにおいて、「美国(米国)専利商標局」とか「欧州専利局上訴委員会」とか、そうそうたる訪問団体が20ほど掲載される中、我らが「日本技術貿易株式会社等企業代表団」も写真付きで紹介されていることを発見する(下右写真)。

同誌への掲載についてNGB取締役の神山より丁重にお礼を述べるとともに、今後の相互交流の継続を約し、また祈りつつ、北京知識産権法院を後にした。

(営業推進部 柏原)

中央の女性が宋副院長
視察団一行

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