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2025.05.19

特許部 大谷 賢佑

【2025年 米国トレーニー日記】Patent Bar Exam

弊社では、ワシントンD.C.にある法律事務所へトレーニー派遣を定期的に行っています。私(大谷)は、2025年2月下旬から約5か月間、7月下旬までの予定でワシントンD.C.に滞在しています。

ワシントンD.C.滞在中の大きな目標の一つとして、私はPatent Bar Exam(通称パテントエージェント試験)に合格することを掲げていました。この度(4月初めに)、無事パテントエージェント試験にパスすることができました。今回は、試験の概要及び当日の様子等についてお話したいと思います。

①受験資格
日本の弁理士試験には学歴等の受験資格は設けられておりませんが、パテントエージェント試験を受けるには原則として理系の大学又は大学院を卒業している必要があります。詳細はUSPTOのホームページ(https://www.uspto.gov/learning-and-resources/patent-and-trademark-practitioners/becoming-patent-practitioner/registration)をご確認ください。日本で特許に関する業務を行っている弁理士や特許技術者であれば、殆どの場合はこの学歴要件については問題ないと思います。
ただし、取得した学位の名称が学歴要件のカテゴリーA(Mechanical Engineering、General Chemistry等)に該当しない場合は、カテゴリーAに該当する申請者と同等の科学的及び技術的訓練を受けていることを証明しなければなりません(カテゴリーB)。さらに、カテゴリーAにもBにも該当しない場合は、工学基礎(Fundamentals of Engineering)試験に合格していることを証明しなければなりません(カテゴリーC)。
また、米国籍または永住権を持たない日本人がパテントエージェント試験を受けるには特定のビザを取得する必要があります。

②試験内容
パテントエージェント試験は、日本の弁理士試験と異なり短答試験のみです。試験時間は午前3時間及び午後3時間の合計6時間で、問題数は午前50問及び午後50問の合計100問です。試験は指定会場の中のPCを用いて行われ、70%以上の正答率で合格となります。
当日の試験問題ではMPEPの記載を中心に広範な知識が問われますので、日本の弁理士試験ほどではないですが、相当の勉強時間を確保する必要があります。

③試験対策
各種資格試験の勉強と同様に、まずは必要知識をインプットしてから問題演習をしました。
試験対策に使用する教材としては様々なものが知られていますので、予算や勉強に充てられる時間に応じて選択すればよいと思います。例えば、以下のようなものがあります。
・PLI(https://www.pli.edu/poec/home
・Wysebridge(https://wysebridge.com/

④試験当日
試験を受けるにはパスポート等の身分証明書が必要です。また、試験会場に入る前にボディーチェックがあり、そこで電話番号を聞かれます。アメリカで取得した電話番号を登録している場合にはしっかりと記憶しておくことをお勧めします。なお、私は電話番号を覚えていなかったので、代わりにメールアドレスを伝えて試験を受けることができました。
上述のとおり、試験は指定会場の中のPCを用いて行われます。当日は1問にかけられる時間は計算すると平均3.6分となります。試験では長文問題も複数出題されるので、3.6分は決して十分な時間とは言えないと思います。また、MPEPで検索を行っているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。よって、試験合格には知識ももちろん重要ですが、英文を素早く読み取る能力が非常に重要です。それができれば分からない問題が出てきても比較的容易にMPEPから解答を導き出すことができると思います。
長時間の試験が終わるとアンケート画面に移り、その後合否の結果が表示されます。得点は不合格の場合のみ表示され、合格の場合は表示されません。

以上、簡単ではありますがパテントエージェント試験の概要をお伝えしました。もしこれから受験される方がいらっしゃいましたら、お気軽にご相談ください。

大谷 賢佑 弁理士 米国パテントエージェント試験合格 薬剤師
国内特許事務所にて国内案件に従事した経験を持つ。NGB入社後は化学分野案件のスペシャリストとして精力的に活躍。国内及び外国特許出願業務の経験を生かしながら、知的財産権の取得や管理に関する幅広い知識を提供。理論的かつ実践的な視点でクライアントのニーズに応え、高度な専門知識が求められる特許相談や権利化戦略において、社内外から信頼を集める存在。

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