- 商標
- アジア
2026.02.16
東南アジア駐在員事務所 寺岡裕芳
こんにちは。NGBバンコクオフィス駐在員の寺岡です。
先月(2026年1月)、JETROバンコクが準備して下さったベトナムへの訪問企画に参加してきました。この企画は、ベトナムの知財系各種政府機関に訪問して現状などについてヒアリングしてくるというもので、訪問先としては、市場監視局(DMS)、ベトナム特許庁(IP Viet Nam)、ベトナム知的財産研究所(VIPRI)の3か所でした。
~ 市場監視局(Agency for Domestic Market Surveillance and Development)
この政府機関は、2018年に整備された商工省(MOIT: Ministry of Industry and Trade)傘下の機関であるDMS/GDMS(General Department of Market Surveillance)という市場取り締まり機能が、2025年3月にMOIT内の新しい局(Agency)として再編成された組織です。その機能としては、国内市場における密輸品、偽造品、禁制品、原産不明品の取り締まりや、知的財産権(商標・著作権)侵害行為の取り締まりなどを行っています。
今回の訪問では、以下のような点についてディスカッションしてきました。
・ベトナムにおける最近の模倣品の動向について
・ECプラットフォームに対する取り締まりについて。販売者情報の開示請求の可能性など
・改正電子商取引法による取り締まり実務への影響について。ソーシャルメディア上の私的な取引の把握・摘発の可能性など。
https://dms.gov.vn/
https://dms.gov.vn/chuc-nang-nhiem-vu





~ ベトナム特許庁(IP Viet Nam)
ベトナム特許庁では、政府の大号令の下、それまであった膨大な審査滞貨が2025年に一掃され、審査期間が大幅に短縮されたと言われております(特許:18か月から12か月に短縮、意匠:7か月から5か月に短縮、商標:9か月から5か月に短縮)。こうした状況を確認するとともに、査定に対する不服申立窓口の現状、エンフォースメン制度の現状などを確認し、今後の見通しについてもヒアリングしてきました。ベトナム特許庁からは、出願人側への要望として、審査滞貨が以前のように積み上がることを防止するために、最初の指令書に対する応答時に、指摘された拒絶を全て解消して欲しい、といった意見をお聞かせいただきました。





~ ベトナム知的財産研究所(VIPRI: Vietnam Intellectual Property Research Institute)
この政府機関は、ベトナム科学技術省(MOST: Ministry of Science and Technology)直属の事業体と位置付けられています。VIPRIが担う機能としては、知財に関する研究(政策・理論・実務)と教育(研修・人材育成)がありますが、注目すべきは、知財の鑑定や評価を行う専門機関であるという点です。侵害の成否判断や損害算定等の鑑定を有償で行い、行政機関や裁判所に提出するための鑑定書の作成を行うことで、ベトナム国内の知財紛争や執行実務を支える役割を備えています。
今回の訪問では、以下のような点についてディスカッションしてきました。
・VIPRI鑑定意見の実務上の活用方法および重視されるポイント
・外国企業(日本企業)によるVIPRI鑑定制度利用における実務上の留意点
・知的財産権の種類別の最近の動向および鑑定が困難とされる分野
https://www.vipri.gov.vn/(SSL通信未対応)
https://ipright.vn/vietnam-intellectual-property-research-institute-renamed-and-restructured-a-new-step-forward-in-the-national-intellectual-property-system/





ちなみに、ベトナムの首都ハノイは、大気汚染の状況がひどく、訪問日前後では汚染指数が190を超えていました(バンコクの2倍以上!)。街の空全体が、真っ白に曇っており、遠方のビル群は白くかすんで判別できないほど。また、この時期のハノイは、完全に真冬の季節だったようで、温暖なバンコクの季節感のまま脳天気に到着したら、現地の人々がみなダウンジャケットを着込んでいて面くらいました。
今回のベトナム訪問は、JETROバンコクによる企画でしたので、今回得られた知見をそのままこちらで不特定多数の皆様に共有させていただくのは控えることに致しますが、もしも興味があるよーというお客様がいらっしゃいましたら、是非個別にお問合せをいただけますようお願い致します。
また、ASEAN地域における知財に関する困りごとなどがございましたら、是非お気軽にご連絡ください。

寺岡裕芳 (てらおか ひろよし)
NGB株式会社 東南アジア駐在員事務所(バンコクオフィス)
オフィスマネージャー




