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2006.04.15

渡邊 哲史

特許/発明者以外の者が作成したラボノートによる証拠補強能力

独立の性質を有する十分な状況証拠でも発明の実施日確定を補強する証拠となり得るが、作成者によって記録ノート自体とその内容の証明がなされておらず、また、日付は記載されているが署名されておらず、証人として証明がなされていない非発明者のラボノートは、優先性証明のための実施日確定に必要な独立証拠としては不十分であり、当該記録を補強証拠として採用することはできない。

控訴審は、証拠不十分を理由に、後に出願した発明者に優先性を与える地裁判断を破棄したものの、製造プロセスを対象とする2件の特許に関する事実上の抵触が存在するという決定を支持した。
(Medichem, S.A . v. Rolabo, S.L., CAFC, 2/3/06)

事実概要
Medichem, S.A .(以下、Medichem)、Rolabo, S.L. (以下、Rolabo)は、ともにバルセロナに本拠を有する製薬会社である。いずれも、アレルギー薬品、Claritin?の活性成分であるロラタジンの製造プロセスに関する特許を保有している(Medichem:米国特許第6,804,100号、以下、「’100特許」、Rolabo:米国特許第6,093,827号、以下、「’827特許」)。特許出願日に関して、Rolabo’827特許が先行しているが、Medichemは、特許法第291条に基づき、両特許に関する事実上の抵触の存在を求めて、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所に提訴し、Rolaboよりも先に実施しているので、特許法第102条(g)に基づき、Rolaboの特許は無効であると主張した。

地裁は、非陪審審理により事実上の抵触はないと認定したが、2002年5月8日、Medichemの優先性を認めた。これに対して、CAFC連邦巡回控訴裁判所は、2003年12月23日、事実上の抵触の存在が特許法第291条に基づく管轄要件であり、地裁としては、優先性の決定をする前提条件であるとして、破棄差し戻した。差戻し審である地裁では、事実上の抵触が存在することを認定し、2004年11月22日、Medichemに対して優先性を認めた。

しかしながら、平行して特許審判抵触部においても特許法第135条に基づき審査されており、抵触審査部は、反対の結論に達し、2005年1月25日にRolaboに対して優先性を認めた。抵触審査部決定は、Medichemが発明者の証言による独立証拠に基づき発明の実施化を補強できていないことを根拠としている。

Medichemは、抵触審査部決定に関して、CAFCに対して控訴している。
一部確認、一部破棄

判旨
(1)ツーウエイテストによる自明性と事実上の抵触の認定
当裁判所は、2件の特許について事実上の抵触が存在するという地裁判断を支持する。事実上の抵触が存在するかどうかについては、Eli Lilly & Co. v. Bd. of Regents of the Univ. of Wash. 事件((334 F.3d 1264, 1268(Fed. Cir. 2003)) において確立されたツーウエイテストを適用して決定する。(…… 以下略)

*判決内容詳細については “I.P.R.”誌でご確認ください。

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