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2006.05.15

渡邊 哲史

特許/製法限定製品クレーム/新規性の判断に適用される法

先行技術によりある製品が開示されている場合、後に出願される同一製品をクレームしている製法限定製品特許は予見できる。先の特許は製造された製法にかかわりなく当該製品をクレームしているのであるから、同一製品を対象とする後願クレームは、たとえ新しい製法によって製造されることが開示されていても拒絶される。

[反対意見] 多数意見は、製品を対象とするクレームが、製法の限定によって限定されないとする「独創的な新ルール」(creative new rule)を採用している。クレーム内において、ある製法の限定によってその発明全体が先行技術と区別されている場合には、当該クレームは、その限定の全てを含まない先行技術によって、新規性を否定されない。
(SmithKline Beecham Corporation, et al. v. Apotex Corporation, et al., CAFC, 2/24/06)

事実概要

本件の争点は、SmithKline Beecham CorporationおよびSmithKline Beecham P.L.C.(以下、総称してSmithKline)が抗鬱薬剤パロキセチンに関して有する製品特許である米国特許第4,721,723(以下、’723特許)が、同様に新規な製法により製造されるパロキセチンをクレームする製法限定製品特許である同第6,113,944(以下、’944特許)の新規性を否定するか否かに関する。’723特許は、鬱病治療を目的とした医薬品をクレームしており、SmithKlineによると、’723特許は、「パロキセチンを含む錠剤形状をなす薬剤組成をクレームしている。」

1992年、SmithKline は、Paxil?という商標名で結晶質のパロキセチン塩酸塩を上市するための承認をFDA(米国食品医薬局)から得た。SmithKlineは、1994年12月14日、PCT/EP94/04164を出願し、これが後、’944特許となる。

1998年3月31日、Apotex Corporation 、Apotex Inc.、およびTorpharm, Inc.(以下、総称してApotex)は、ジェネリック医薬品製造者であり、Paxil?のジェネリック製品を上市するための承認を求めて、FDAに簡略新薬申請(以下、ANDA)をした。ANDA申請時に、Apotexは、パラグラフIV証明に関して、承認を求めるジェネリック医薬品に関する特許が無効であること、または当該ジェネリック医薬品の製造、使用および販売によって当該特許が侵害されないことに関する書面を提出し、’944特許は無効であることを主張した。

特許法第271条(e)(2)に基づき、SmithKlineは、Apotex に対して当該ANDAが特許侵害を構成するとして、ペンシルバニア東部地区連邦地方裁判所に訴訟を提起した。Apotexは、反訴において’944特許の無効を主張し、略式判決を求めた。地裁は、製法段階はクレーム限定ではなく、クレームされている製品によって製法の新規性が評価されるとの先例を採用し、’944特許の製法による製品の特徴を指摘するSmithKlineによる主張を認めず、’944特許が’723特許によって新規性がなく、’944特許の特許無効を認定した。

SmithKlineは、これに対して控訴した。

地裁判決確認
判旨
(1)CAFCの先例における抵触
本件控訴において、SmithKlineは、地裁の特許有効性判断が、’944特許に関する製法限定製品クレームの製法限定を無視している点で適当ではなく、’944特許において開示されている製法段階がクレーム限定であると地裁がみなしていたら、’723特許が’944特許の新規性を否定せず、’723特許が製法限定を開示しているか否かに関して、事実問題の真正な争点があると判断したであろうと主張する。

SmithKlineの主張は、新規性欠如の本質を取り違えている。ある製品が完全にその技術分野において開示されれば、たとえ当該製品が新規な製法によって製造されるとクレームされても、同一製品に関する後願のクレームは排除される。

製法限定製品クレームによって、発明者は、「他の方法でも特許されうる製品について、それが製造される方法以外の製法による定義を認めない製品」をクレームすることができる。In re Thorpe事件(777 F.2d 697 (Fed. Cir. 1985))参照。したがって、発明者は、ある製品についての記載が困難であるとか、その構造が十分理解しきれないというだけの理由によって、特許を受けられないというものではない。しかしながら、今日、発明が当該製法から独立して記載されていても、製法限定製品クレームは利用されている。

当裁判所の先例に鑑み、製法限定製品クレームの範囲を検討する。Scripps Clinic & Research Foundation v. Genentech, Inc.事件(927 F.2d 1565 (Fed. Cir. 1991))において、製法限定製品クレームは、クレーム内の製法段階によって限定されないとし、Atlantic Thermoplastics Co., Inc. v. Faytex Corp.事件(970 F.2d 846-47 (Fed. Cir. 1992))においては、製法限定製品クレーム内の製法段階は、クレーム限定となる旨、判断した。
(…… 以下略)

*判決内容詳細については “I.P.R.”誌でご確認ください。

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