IP NEWS知財ニュース

  • 知財情報
  • アーカイブ

2008.07.04

渡邊 哲史

【世界の知財プロに聞く】第2回 ANDREW BLATTMAN氏(オーストラリア弁理士)

世界各国から毎日のようにNGBを訪れる知財プロフェッショナルたちの素顔に迫るコーナー。
第2回ゲストはオーストラリア弁理士BLATTMAN氏。

BLATTMAN氏はオーストラリア政府系機関により委託された『バイオテクノロジ知財管理マニュアル』の共著者で、シドニー工科大学において特許制度の講師をされている心優しいサイエンス・ドクター。BLATTMAN氏のNGB訪問時、オーストラリアの知財事情についてお話を伺いました。

※BLATTMAN氏は、SPRUSON & FERGUSON PATENT AND TRADE MARK ATTORNEYS所属

Q1. ご訪問ありがとうございます。
東京はいかがですか?
今東京にいるのをとてもラッキーだと思っています。
東京は世界の大都市の一つで、訪問するのをいつも楽しみにしています。また、日本の人々、文化、そして特に食べ物に興味を持っています。

Q2. シドニーについて簡単に教えてください。
シドニーはオーストラリア最大の都市で、その景観 (シドニー港のオペラハウス、ボンダイビーチ)、フレンドリーな人々、そして日光の良く降り注ぐ場所として知られた街です。私どもの事務所も120年以上の間、本拠地を置いております。

Q3. いつもご家族とどんな趣味を楽しまれていますか?
個人的にはすべての球技、特にラクビー・ユニオン(15人制)とクリケットが好きです。また、私の3人の娘はサッカーをするのが大好きです。

Q4. オーストラリアの産業について簡単に教えてください。
オーストラリアは幸運にも資源に富んだ国です。これは最近の力強い経済発展の原動力となっていましたが、技術的観点からは、太陽光発電、風力発電のような代替エネルギーも発展が見込まれる面白い分野だと思います。また、伝統的に電子産業そして生物医薬品産業、特にこれら分野の新興企業が権利取得に意欲的です。

Q5. 大学時代何を勉強されましたか?
私は農業の分野で理学士号を取得し、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)で働きながら分子遺伝学の分野で博士号を取得しました。また、博士課程修了後、特別研究員としてアメリカのウィスコンシン大学で18ヶ月過ごしました。

Q6. 研究者から弁理士に転進したきっかけは何でしたか?
1990年代前半、アメリカでの研究において自分自身の発明品を開発していた際、この職業を紹介してくれた弁理士に出会ったことです。

Q7. 今、知財ビジネスにおいて何に興味を持たれていますか?
バイオテクノロジ分野のシニア・パートナーとして、成長技術のすべてのフェーズにおける業務を楽しんでいます。特に、オーストラリアの主要な大学および研究所と広範囲に渡って仕事をしており、発明の発掘、保護、そしてバイオテクノロジ分野でのそれらの発明の商品化において、オーストラリアのトップクラスの研究者と共に働けることに非常に満足を感じています。これは広範囲におよぶ明細書作成と海外出願実務も含んでいます。

Q8. オーストラリアの企業は一般的にどのように知財を取扱っていますか?
大学の研究から生れた知財は大学研究・商業化事務所(University Research Commercialization Office)により取扱われており、新興企業のケースでは、多くの場合直接CEOに報告する知財マネージャーがすべての知財事項の責任を持っています。

Q9. 新しい発明の商品化を知財の観点からどのようにサポートされていますか?
私たちは特許可能な発明を発掘するため積極的にクライアントと協働し、商品化プロセスの間は、その技術に関する価値を最大化するよう、一連の知財(ポートフォリオ)を組上げるよう努めています。

Q10. オーストラリアのビジネスにおける知財に対する意識はどのようなものですか?
新興企業の多くが知財は彼らにとっての唯一の成果物であると意識しており、それ故に彼らの知財に対する意識は非常に高いです。また、私どもの事務所も業界紙の発行、研修会の実施、教材の執筆に大変積極的です。また知財は科学、ビジネスにおける学部課程においても学ばれています。

Q11. オーストラリアにおける知財教育の現状について教えて頂けませんか?
多くの場合、弁理士登録試験が全国各地の大学でPostgraduateプログラムの一環として行なわれております。例えば、私は過去8年の間知財教育に従事しており、シドニー工科大学における産業財産権プログラムにおいて、特許制度の講師を務めています。また、私どもの事務所のパートナーも、商標、職業上の行為、有効性・侵害鑑定の講義を受け持っています。多くの人が弁理士の職に就きたいと考えているため、これらの大学のクラスは徐々に人気が出てきました。

Q12. 共著である『バイオテクノロジ知財管理マニュアル』について教えてください。
皆さまに『バイオテクノロジ知財管理マニュアル』を一読することをお勧めしたいと思います。このマニュアルは、オーストラリア政府系機関であるバイオテクノロジオーストラリアと共催したバイオテクノロジ知財管理トレーニングコースの教材として2001年後半に発行されたものです。このマニュアルはそのコースの教材としての目的で準備されましたが、貴重な情報源としてオーストラリアにおいて現在評価を得ており、定期的に参照されています。

『バイオテクノロジ知財管理マニュアル』 
(SPRUOSON & FERGUSON HPより)

Q13. オーストラリアとニュージーランドの弁理士試験制度について教えてください。
私はオーストラリアの弁理士(特許・商標)、そしてニュージーランドの弁理士(特許)の資格を持っています。オーストラリアの弁理士(特許)資格を取得するためには、志願者は特許法、商標法、意匠法、そしてオーストラリア特許庁及び国際特許庁(WIPO)に対する実務手続きに関する一連の試験に加えて、明細書作成、有効性・侵害鑑定における基礎技能試験に合格しなければなりません。

法律試験、基礎技能試験を通過する必要がある点において、オーストラリア弁理士(特許)とニュージーランド弁理士(特許)の資格条件には多くの類似点がありますが、いくつかの重要な違いがあります。一つの重要な違いは、オーストラリア弁理士(特許)は工学または科学、応用科学の大学レベル(Tertiary)の学位を要求されるのに対して、ニュージーランド弁理士(特許)はそのような学位は要求されない点です。

Q14. オーストラリアにおける最近の知財ニュースを一つ教えてください。
オーストラリア特許庁は2007年10月下旬オーストラリア特許手続きにおける情報開示義務を廃止しました。

Q15. 関心がある日本の知財トピックを教えてください。
医療方法、そして密接な関係がある遺伝子配列・たんぱく質配列の特許性に特に興味があります。また、日本特許庁に対する進歩性拒絶回避の一般的戦略を学びたいと思っています。

Q16. この機会を利用して読者にメッセージをお願い致します。
SPRUSON & FERGUSON はNGBと長年に渡る関係を有しており、私たちそれぞれの国における知財保護及び商業化におけるリーダーとしての歴史を共有していることに誇りを持っております。私たちはNGBとそのクライアントすべての未来における活躍と繁栄を願っています。

(記事担当:特許部 渡邊)

免責事項
このウェブページに含まれる情報は海外知的財産専門家により提供されたものであり、情報提供のみを目的としております。NGBは正確な翻訳を提供することに努めておりますが、情報の内容を保証するものではありません。

関連記事

お役立ち資料
メールマガジン