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2009.01.16

柏原 雄人

【最近よくあるご質問】 中国特許法改正について(1)

お客様から頂いた各種お問合せに対し、渉外部員が担当部門の協力を得て、お答えします。
今回のご質問は:
このたび行われた中国の特許法改正について、要点を教えて下さい。
1984年3月に初めて採択されて以来、中国の特許法は、その市場経済への移行と歩調を揃えるかのごとく、1992年に第1次、2000年に第2次と、ほぼ8年サイクルの改正を経過してきました。そして2008年12月27日、中国国会(全国人民代表大会)は第3次改正特許法を採択し、2009年10月1日より施行することを正式に決定しました。今回の改正ではその立法主旨も「社会主義現代化の要請に応えるため」から「経済社会の発展を促進する要請に応えるため」と修正されており(第1条)、混迷する世界経済を支える矜持と自信のほどがうかがえます。本コーナーでは、今回の改正の主要なポイントと日本企業の中国知財実務に及ぼす影響について、回を分けてご説明していきます。
なお、[意匠・商標NEWS]でも中国意匠に関する改正ポイントをご説明していますので、併せてご参照下さい。

絶対新規性の採用(第22条)
旧法では相対新規性、即ち“世界公知・国内公用”が採用されているため、外国(例えば日本)のみにおいて公に実施されている技術が、中国出願の新規性に影響を及ぼすことはありませんでした。この点、改正法では、新規性の一つの要件として「出願日前に国内外で公衆に知られている技術に該当しない」ことを明記し、絶対新規性の採用に踏み切りました。日本における実施が中国出願の新規性に影響しかねない点では注意を要しますが、むしろ、今までは無策にも近かった中国人による冒認出願(及び不当な権利行使)に対する無効化のチャンスが生まれる点で、日本企業にとって大きな進歩であると思われます。

中国で為された発明の取り扱い(第20条)
中国国内で発明が完成した場合、旧法では中国第1ヵ国出願が義務づけられる一方、違反した場合の罰則規定が設けられておらず、同義務の解釈・運用には揺れ幅がありました。今回の改正において、中国第1ヵ国出願義務が撤廃され、代わりに(何ヶ国目かであるかに関わらず)日本を含む外国出願を行う場合に、国務院の秘密保持審査を受けなければならないとの定めが加わりました。本改正点のメリット・デメリットは、秘密保持審査の実態がどのようなものかという点に依ります。秘密保持審査に多くの時間がかかるようであれば、従来どおり速やかに中国へ第1ヵ国出願を行って優先権を確保した方が好ましいかもしれません。なお、秘密保持審査を受けずに(若しくは審査の結果に違背して)外国出願を行った場合は、同発明の中国出願には権利が付与されないという罰則規定が設けられています。

渉外代理権(資格の廃止)(第19条)
旧法下では渉外代理権、即ち外国企業の中国出願を受任出来る権利を、「国務院特許行政部門」が代理人に付与する体裁をとっていましたが、改正法ではこのような「資格内資格」が無くなり、全ての代理人が外国企業の依頼を受けることが可能になります。これによって、従来はアクセスすることすら難しかったドメスティックな代理人も発注先の選択肢として浮上してくることになり、私たちNGBでもこの点に期待はしていますが、現在175ヶ所ある渉外代理人の中ですら満足度の高い仕事を提供してくる事務所が一部であることを考慮すると、今すぐただちに大きな変化が生じる可能性は低いと思われます。

                                        つづく
(渉外部 柏原)

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