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2009.11.27

野崎篤志

日本の知財戦略のグローバル化~知財立国表明から7年経って~

2002年2月4日、第154回国会において当時の小泉内閣総理大臣が施政方針演説で、日本が知財立国を目指すことを表明してから7年半が経過し、様々な施策が実行され知的財産制度面の充実が図られてきている。日本企業も知的財産を経営資産として重視して、知的財産戦略に力を入れるようになってきているが、グローバル経済化が進む昨今の状況下で、日本企業は果たして真の知財立社を成し遂げているのだろうか?

本コラムでは小泉元首相の知財立国表明から7年経過した日本企業の知的財産戦略について、海外特許出願マクロデータから概観したい。

2002年2月の小泉元首相の施政方針演説以降、

 2002年3月 知的財産戦略会議 発足
 2002年7月 知的財産戦略大綱 決定
 2002年11月 知的財産基本法 成立
 2003年3月 知的財産戦略本部 発足
 2003年7月 知的財産推進計画 決定

と矢継ぎ早に知財立国化に向けた施策が実行されてきた。

知的財産制度面については、日本よりも20年以上早くプロパテントを表明した米国にキャッチアップしたと言えるが、日本は真の意味で知財立国化していると言えるのだろうか?研究開発費の約80%を民間が負担している日本では(文部科学省・科学技術要覧より)、事業戦略・技術戦略・知財戦略の三位一体を具現化して、日本企業は真のグローバル化を成し遂げているだろうか?

図1はデータベースDWPIにより検索した日米欧出願人の各国最先出願レコード数および国外出願比率である(EP・イギリス・フランス・ドイツを優先権主張国とするものを欧州としている)。2002年・2007年最先出願分の比較している。

図1より明らかなことは、日本は日米欧3極において出願件数は突出しているが、海外出願比率が米国・欧州に比べて圧倒的に低いことである。

日米欧の先進国では既にGDP成長率も成長から成熟へとシフトしており、企業の利益の源泉を今後の成長市場であるBRICsやNEXT11といった新興国に求める必要がある。

事実、通商白書2008年版に依れば、日本の上場企業の海外売上比率(=全売上高に占める国内会社の輸出売上高・海外子会社の海外での売上高)は全産業で着実に増大しているが、特に製造業の海外売上高比率の拡大が顕著であり、2006年度では40.4%に達している(通商白書2008年版・第2-2-15表)。

海外売上高の増加と比例して、海外出願比率も増加しているがその増加率は欧米と比べて鈍いと言わざるを得ない状況である。

次に図2に日米欧の各国最先特許出願レコードのうち、1パテントファミリーで8カ国以上の国へ出願しているレコード数およびその比率を示す(PCT出願は除いている。日本・米国・EP・BRICs出願で7カ国であることから、8カ国以上の特許出願レコードは全世界での事業展開を念頭に置いた特許出願であると仮定した)。

図2より欧州最先出願では全出願の30%近くが8カ国以上に出願されていることが分かる。それに対して日本最先出願では、その比率が3%にとどまっており2002年・2007年と比較してもその比率に変動はない。

上述の通り、今後日本企業が生き残っていくためには国内市場だけではなく積極的に海外市場を開拓していく必要がある。その際に進出先での特許権を含めた知的財産権の確保は必須である。しかし、本コラムで示したデータから、欧米と比べるとグローバル化へ向けた知的財産戦略へシフトしていることは読み取れない。

2002年から推進されてきた知財立国化への歩みで、日本国内の知財立国は達成できたのかもしれないが、あくまでも知財立国の狙いはグローバル市場において知的財産権を基に日本が存在感を示すことにある。このままでは製品・サービスだけではなく知財面でもガラパゴス化してしまうと感じてしまうのは杞憂であろうか。

(IP総研 [IPアーキテクト] 主任研究員 野崎篤志)

図1:日米欧出願人の各国最先出願レコード数および国外出願比率(データベース:DWPI)
図2:日米欧出願人の8カ国以上出願レコード数および比率(データベース:DWPI)

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