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2010.04.20

【世界の知財プロに聞く】第13回 イタリア&ヨーロッパ特許弁理士Claudio Germinario氏、イタリア商標弁理士Andrea Klein氏

今回は豪華に2名の知財プロにお話を伺うことができました。イタリア及びヨーロッパ特許弁理士のGerminario氏は、EPOで審判官を勤めたこともあり経験豊か。また、イタリア商標弁理士であるKlein氏からは日本びいきの素敵なメッセージも頂きました。
*お2人はSocieta Italiana Brevetti事務所所属
Q1.ご出身地について教えて下さい。
Germinario氏: イタリア出身、ローマ在住です。ローマは約300万人が住む、古代ローマ文明やキリスト教の中心として有名な街です。そして長い歴史の間に生まれた素晴らしい芸術や建築を誇る、世界で最も美しい街の1つでもあります。
Klein氏: 私はエチオピアで生まれたのですが、幼い頃からローマに住んでいます。ローマは非常に古い都市として有名であり、ローマ時代の遺跡が今もきちんと残っています。

Q2.大学では何を専攻されましたか?
Germinario氏: 薬化学と技術工学です。
Klein氏: 私は政治学と法学です。

Q3.知財業界に興味を持った理由を教えて下さい。
Germinario氏: 大学を卒業した後、私は製薬業界で研究員になりました。ですがすぐに、特許の専門家となることで、世界中とネットワークを持ち、最上の研究に触れることができると気づきました。そして約20年ヨーロッパ特許庁で働き、その後約10年特許弁理士として働いた今も、この選択は正しかったと確信しています。
Klein氏: 私の卒業論文のテーマは競争法だったので、知的財産と少し関係がありました。しかし、知財業界に入ったのは偶然で、新聞広告を見て応募したことです。でもこの仕事が天職だとすぐに気がつきました。

Q4.現在知財ビジネスで興味のあることは何ですか?
Germinario氏: ヨーロッパ特許庁の審判官として以前働いていたこともあり、EPOや国内でなされる侵害裁判など、法の解釈に関わる様々な活動に興味を持っています。
Klein氏: ヨーロッパの判例法と、訴訟手続きです。

Q5.イタリアの産業について教えて下さい。
Germinario氏: イタリアは電気機械の産業が強いです。バイオやナノテクノロジーにも強いと思います。しかし残念ながら、イタリアの企業はあまり知的財産に対して敏感とは言えません。知的財産は未だ、経営戦略としてマイナーなものと考えられています。そういうわけで、知的財産権保護に熱心なのは、「イタリア製」に欠かせないファッションやデザインの分野で、商標が主になります。しかし他方で、医療器具や装置を生産している医薬の分野では特許の取得に熱心です。
Klein氏: 伝統的な機械の分野(デュカティ、フェラーリ、フィアット等)以外ではファッション産業が安定的に成長しています。残念ながら、イタリアのビジネス界は、知的財産への意識は低いと思います。Germinario氏も言っているように、知財戦略はまだマイナーです。知的財産権取得がさかんなのは、ファッションやデザインの分野です。

Q6.イタリアでは企業は一般的にどのように知的財産を扱っていますか?多くの会社に知的財産部がありますか?
Germinario氏: イタリアの産業は、中小の会社がバックボーンになっているため、私たちのような民間の知的財産を扱う事務所にアウトソーシングするのが最も一般的だと思います。知的財産部を社内に持っているのは、限られた大企業だけですね。
Klein氏: この点についてもGerminario氏の意見に同意します。私たちのような、特許事務所に依頼するのが普通です。 限られた大企業だけが知的財産部を社内に持っています。

Q7.欧米や日本など、外国企業のイタリアにおける知的財産保護活動はさかんですか?
Germinario氏: もちろん!イタリアはヨーロッパで最も魅力的なマーケットの1つですから。ほとんどの大きな多国籍企業は、イタリアで知的財産の権利を獲得するだけでなく、侵害の申し立てによる仮差し止めや、無効の判断に対する反訴といった戦略についても非常に積極的なんです。

Q8.知的財産に関する教育についてはどうですか?
Germinario氏: 法科大学や工科大学で、知的財産、特に特許に関する様々なコースが設けられています。知的財産分野での博士課程もたくさんありますが、イタリアの知財専門家の多くは、シュトラスバーグ(フランス)、ジュネーブ(スイス)、あるいはロンドン(イギリス)で教育を受けています。

Q9.イタリアでの特許弁理士の資格制度について教えて下さい。
Germinario氏: 私自身はイタリア特許弁理士と、ヨーロッパ特許弁理士両方の資格を持っているのですが、イタリアの特許弁理士試験を受けるには、大卒である必要があります。また、ヨーロッパ特許弁理士になるには、そのための資格試験があります。試験内容は、全ての加盟国で共通です。
Klein氏: イタリアの商標弁理士になるためには、大学教育を受けており、2年以上の実務経験があった上で、イタリア商標弁理士試験に合格する必要があります。
また、イタリア商標弁理士は、自動的にヨーロッパ商標弁理士となり、OHIM(欧州共同体商標意匠庁)に対して顧客の代理人を勤めることが可能です。

Q10.読者の方にメッセージをお願いします。
Germinario氏: Societa Italiana Brevetti(SIB)は、125年以上もの歴史を持つイタリアの知的財産事務所です。SIBで働く全てのヨーロッパ特許弁理士は、ヨーロッパ特許庁とのコンタクトを保ち、様々なEPOの行うトレーニング活動にも貢献しています。
私はミュンヘンのEP特許庁に20年勤めて、審査官、そして審判官となりましたが、SIBの多くの特許弁護士が、あらゆる技術分野において同じような経験を積んでいます。こうした経験から、私たちはお客様に対し、ベストなサービスを提供できているのです。
Klein氏: イタリア人は日本のことが大好きです。日本には非常に古い文化がありますから。それに私たちの習慣はそんなに大きく違わないと思います。例えば、イタリア人も日本人も、食卓につく時間を楽しみますし、それぞれが素晴らしい人生の中で、大事な役割を担っているのです。また私たちは世界中にいる仕事仲間を誇りに思っています。

(記事担当:特許部 横倉)

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イタリア商標弁理士、Klein氏
イタリア&ヨーロッパ特許弁理士、Germinario氏

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