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2010.07.15

保刈宏之

■特許/37C.F.R.§1.115(a)(1)(2004)/継続出願時の参照による援用の表示

(Eliyahou Harari, et al. v. Shane C. Hollmer, et al. CAFC, 4/19/10)

 同時係属し同時に提出された出願には、いまだ願番が付与されておらず、出願日も認定されておらず、出願の名称、記名された発明者、関連出願と同日に出願された事実が、出願作成者にとって入手可能な特定する情報のすべてを構成していた場合には、この情報は曖昧ではないように特定するのに十分であり、関連出願の開示の中に、参照することによって同時係属し同時に提出された出願の開示を援用するためには十分である。
 参照による援用という文言の適格性を評価するための適正な基準は、援用された参照事項の特定内容が、提示された書面に照らして、合理的な審査官にとって明らかになっているかどうかということに関しており、合理的な審査官がもとの開示文言によって混同をきたしているかどうかであって、継続出願の送付通知と審査前補正において提示された説明にもかかわらず、審査官が、如何なる書面が参照することによって援用されるものと意図されているのかを判断することができないような場合であるかに関する。
 本件においては、援用された参照の特定内容を解読するには、外部資料について過大な審査と広範囲の難問解明を要するという言い分は、受け入れられない。審査官は、提出された書面の種別を特定する送付通知の表書きと「注釈」部分のある審査前補正を提示されており、特に後者は、如何なる書面が審査官に提示され如何様な相互関係であるかを説明している以上、文脈固有の「本願」という文言は、前後関係から解釈されて、主張される混同が生じる結果となるというような事情は存在しない。送付通知と審査前補正と併せることは、争点の文言を読み解くのに審査官に必要とされる文脈そのものを提示しており、審査前補正は、争点の文言を客観的に明らかな文言に置き換えており、当該技術の技能を有する者に後日提示される発行特許または公開出願のいかなるものも、争点の文言を含まないようになっている。

事実概要
 争われている米国特許出願第09/310,880号(以下、’880出願)は、Dr. Eliyahou HarariとSanjay Mehrotra(以下、Harariと総称)が記名された発明者であって、既に放棄されている米国特許出願第07/337,566号(以下、’566出願)に始まる特許出願の系列に優先権を主張している。’880出願は、米国特許出願第08/771,708号(以下、’708出願)の継続出願であって、これは、米国特許出願第08/174,768号の継続出願であり、これは、米国特許出願第07/963,838号の継続出願であり、これは、もとの’566出願の分割出願である。
’566出願は、米国特許出願第07/337,579号(以下、’579出願)と同日に出願され、以下の記述を含んでいる。
 最適消去実装は、同時係属している2件の米国特許出願に開示されている。それらは、同時係属している米国特許出願であって、第204,175号は、1988年6月8日にDr. Eliyahou Harariによって出願されており、「Multistate EEprom Read and Write Circuits and Techniques」と題するものであって、Sanjay MehrotraとDr. Eliyahou Harariによる本願と同日に出願されている。2件の出願の開示は、ここに参照することによって援用されている。
 前記出願は、後のパラグラフにおいて発明の名称によって’579出願にも言及している。’566出願に優先権を主張している各々の関連出願は、同様の記述を有する。
 抵触審査の手続中、Harariは、特許法第120条に基づいて、特許出願のもとの出願日の利益を求める申立を行なった。米国特許第5,828,601号に記名された発明者であるShane C. HollmerとLee E. Cleveland(以下、Hollmerと総称)は、抵触の申立を行ない、’880出願のすべてのクレームは、特許法第112条、第1パラグラフに基づく記載要件の欠如によって、特許を受けられないと主張した。抵触審査部(以下、BPAI またはBoard)は、Hollmerの申立を認めて、クレームは特許を受けられないと認定した。Boardは、Harariの申立を斥けた。その根拠は、さらに抵触審査を継続するその当事者適格を欠いているからであるとした。
 本件抵触審査の争点である’880出願に含まれている書面は、継続出願として出願されたことを示す送付通知の表書き(transmittal sheet)、原出願である’566出願のコピー、’566出願を補正する審査前補正書、および直近の先行する’708出願に提出された発明者の宣言書の写しである。送付通知の表書きが特に言及していることは、出願が直近の先行する’708出願の継続出願であって、また、提出された発明者の宣言書は、もとの親出願において提出された宣言書の写しであることに関している。
 審査前補正書は、’566出願の開示から「本願と同日」という文言を削除するために、参照することによる援用の表示を補正しており、その代りに、願番と出願日によって、’579出願に言及している。審査前補正書は、願番と出願日を、’579出願のその他の記述に同様にして加えた。さらに、審査前補正書は、’579出願からコピーして、明細書の多くのパラグラフと図面シートを挿入しており、少なくとも一部はその書面に対する新たなクレームを加えている。
 審査前補正書の注釈部において、出願人が説明していることは、本願が、’708出願の継続出願あって、チェーンを辿ると最初の親’566出願に遡ることに関している。「本願」という文言は、参照することによる援用の表示において、最初の親出願に言及しており、さらに、最初の親出願と同日に出願された’579出願を援用していると、出願人は説明している。そこで、出願人は、本願に加えられた明細書と図面は、’579出願からコピーされていると説明している。
 抵触審査を行なった審査官は、発明者の宣言書が審査前補正書に言及していないことに留意したうえで、審査前補正書を37 C.F.R. § 1.63に基づく元の開示の一部として見做さないものとした。しかしながら、37 C.F.R. § 1.115(a)(1)(2004)によると、「審査前補正書がその出願の出願日に提示されたものである場合には、かかる出願の元の開示の一部となる」と規定されている。審査官は審査前補正書を拒絶し、これが’579出願からの内容の援用であって、特許法132条に基づく新規事項であるとし、もとの開示は、参照することによって援用されたものとしての’579出願を明らかに特定するものではないと認定した。
 Harariは、BPAIに審判請求した。Boardは審査官に同意して、援用の文言が言及しているのは、’566出願と同日に提出された出願なのか、あるいは’880出願と同日のものか、いずれかは、元の開示からは明言できないとした。Boardは、援用の文言は上記のように混同しており、’880出願の審査前補正書による開示の中に、’579出願からの情報の挿入を支持することはできないと認定した。ゆえに、新規事項であるとして、審査前補正書に関する審査官の拒絶を認容した。
 Harariは、適時、連邦巡回区控訴裁判所に控訴した。CAFCは、裁判所および裁判手続に関する法律第1295条(a)(4)(A)に基づいて、裁判管轄権を有する。

破棄、差戻し

判旨

以下、I.P.R.誌第24巻第6号参照

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