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2011.02.07

【米国トレーニー日記】第2回:Patent Agent試験について

 米国で特許庁に対して手続きを行うにはPatent Bar試験 (Patent Agent試験)に合格し、登録する必要があります。 米国の特許事務所で案件を担当している方の多くはロースクールを卒業した弁護士(Attorney)ですが、特許庁に対して出願、指令書対応等の業務を行うために、弁護士もこの試験に合格し、登録しています。 このPatent Bar試験は、特許庁に対する郵便、FAX送信に関することから、宣誓書の要件、指令書応答期限の設定、IDS、新規性・進歩性に関する内容まで、多岐にわたります。

 このPatent Agent試験は受験に際して理系の学位が要求されるものの、弁護士資格がなくても合格すれば特許庁に対する手続きが可能です。 私はトレイニーとしての米国滞在中に、このPatent Agent試験を受けました。 今回は、私の受験経験を通してPatent Agent試験についてお話ししたいと思います。

 特許庁に試験を申し込むと、3週間位で受験資格と3ヶ月の受験期間が与えられます(特に問題がなければ)。 受験は与えられた期間内の好きな日にできます。 会場は特許庁ではなく、PrometricセンターというTOEFL等の一般的な試験も受けられる施設です。 DC周辺でも数か所あります。

 試験は1日がかりで、午前50問(3時間)+午後50問(3時間)の合計100問、いずれもA)-E)5つの選択肢から一つ回答を選ぶ「五択問題」です。 100問のうち10問は採点の対象とならず、残りの90問中70%(63問)の正解で合格となります。 みなさんもおそらく一度はご覧になったことがあるでしょう審査基準・便覧(MPEP)に基づいて出題されます。 数千とも言われる問題のプールの中からランダムに100問が出題されるそうです。

 試験勉強の仕方はいろいろあるようです。 過去の問題を入手して解いたり、1週間の勉強コースがあったり、CD教材があったりします。 受験した人が「xxの問題が出た」と投稿する掲示板もあります。

 それでは、次に試験当日の様子です。

7:40 会場の係の人に何の試験を受けるか聞かれて、案内される。
7:45 貴重品はロッカー、大きな荷物は適当に置く場所がある。
7:50 実際の試験場所に入る前には、指紋、顔の写真を撮る、ポケットの中を確認したり、かなり厳重。カンニングは当然不可。トイレに行くにも鍵を借りる必要あり。 公平を期すためか、時計も外す。
7:55 パーティションで区切られた自分のブースがあり、パソコンが用意されている。パソコンには自分の名前が既に登録されている。
8:00 受験の仕方について15分のチュートリアル時間が与えられる。
    (http://www.prometric.com/demos/uspto/starthere.htmに具体例)
8:10 チュートリアルを終えて(15分以内)「END」を押すと突然試験が開始、ディスプレイの右上に表示された時間が3時間からカウントダウン。

午前中の50問。 何も書いていない紙と鉛筆が準備されており、メモが可能。

11:10 午前中終了。 1時間の休憩時間が与えられる。右上の時間が1時間からカウントダウン。 続きの試験は1時間以内に開始すれば、いつ始めてもよい。
11:50 試験場に戻る。再度、指紋と写真をとる。

午後の50問

14:50 試験が終わると、結果がすぐ出るのかと思うと、アンケート画面がでる。(係の人は親切ですか?等)
14:55 アンケートが終わると、パソコンがブーンという音をたてすぐに結果が表示。
めでたく「合格!」

 試験は、過去に出題された問題が多く出ます。そのような問題が認識できた場合は、選択肢を確認するだけで回答が可能です。 判らない問題は章毎に分かれたPDFのMPEPで検索しながら回答します。 検索は、「回答がありそうな章を特定」->「目次から大体のページを特定」->「回答を探す」というような流れです。 この試験を受けて良かったなと思うことはいくつかありますが、一番は、何か疑問に思ったことがあったときに、それが、どの法規(特許法、施行規則、MPEP)の大体どの辺に書いてあるか予想ができることになったことでしょうか。

 最後に、試しにPatent Agent試験から例題を。新規性102(e)項に該当する文献はどれか?という問題です(2003年)。正解は次回!

(特許部 中辻)

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