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2014.02.20

【特許・意匠ニュース】インド特許出願におけるProof of Rightに関する審決とその対応

インド特許出願におけるProof of Rightに関する審決とその対応
インド知財審判委員会(IPAB: Intellectual Property Appellate Board)は、インド特許法第7(2)条で要求されている”出願人としての資格の証明(Proof of Right)”に関する審決を出しました(Order No. 252/2013)。

インド特許出願の願書(Form 1)に記載されている項目のうち、「私/我々は真実かつ最先の発明者であり、以下の出願人は譲受人または法定代理人であることを宣誓する」という項目に関し、従来、関連条文や過去の特許庁の内部通達を基に「当該項目への発明者署名が必要となるのは特定の場合であり、基礎出願の出願人とインド特許出願の出願人とが同じである場合には発明者署名は不要である」と解釈して手続きを行っていたインド代理人が複数存在しておりました。

しかしながら、インド特許庁は、今回対象となっているインド特許出願では当該項目に発明者の署名が行われておらず、Proof of Rightが示されていないとして、拒絶決定を下しました。すなわち、インド特許庁は、「特許法第7(2)条に照らせばインドへの特許出願に係る発明者による宣誓(すなわち、発明者の署名)は必要である」として、発明者署名は不要とする解釈を否定しました。

その後、特許庁の拒絶決定を不服として審判が行われておりましたが、今回IPABは、特許庁の拒絶決定理由を支持しつつ、拒絶決定前に出願人に補完の機会を与えるべきとして救済措置を認める審決を下しました。

本審決を受けて、発明者署名済のForm 1を提出していないインド特許出願については、発明者署名済のForm 1、または、world-wide assignmentの英訳付notarized copy(公証済み書類)を提出するべきであるとの案内が、複数のインド代理人より届いております(なお、PCT第4.17規則に規定された「出願人としての資格に関する申立て」を国際段階で提出している場合は、Form PCT/IB/371の提出でもよいとのことです)。

本審決に鑑み、今後のインド特許出願については、発明者署名済のForm 1を提出することが必要になると思われます。また、係属中のインド特許出願にて発明者署名済のForm 1が未提出である場合、早めに発明者様ご署名済みのForm 1(または、world-wide assignmentの英訳付notarized copy)を提出することが考えられます。インド特許庁よりProof of Rightが要求された時点で対応する選択肢もございますが、現状では特許庁の審査に時間を要していることから、時間経過と共に発明者の署名を得ることが難しくなる可能性があるためです。

(記事担当:特許第1・2部 井原、鮫島)

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