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2015.04.20

柏原 雄人

【Cases & Trends】 先取り(?)2015年 米国通商代表部スペシャル301条レポート - IPOコメントから中国・インドの知財問題を整理 –

短かった(寒かった)春も過ぎ、今年も間もなくあれが出て来る時期となりました。そうです、米USTR(通商代表部)が毎年4月30日に発表する通称「スペシャル301条レポート」です。自分の国のことはさておき、知的財産保護が不十分、不適切だと考える国々を列挙するレポート…少々皮肉めいた言い方をしてしまったのは、アメリカ自身あれだけの「パテント・トロール」問題を発生させて(輸出もして)いる国であり、その対策法案もまた甚だ不評で、「特許を悪者にし過ぎ。逆にイノベーションを阻害する」といった反論が溢れ、かなりの混乱状態にある様子だからです。

とはいえ、やはりスペシャル301条レポートは現存する各国の知財保護の問題点、論点を整理する上でとても役に立つ資料になります。リストアップされた国々の言い分はともかく、収集された客観的事実部分はしっかり押さえておきたいと思います。

本稿では、4月30日のレポート発表を前に、USTRのパブコメ募集に応じて提出された米IPO(IP Owners Association)のコメントから、とりわけ日本企業の関心も高く、同レポートにおける「優先監視国」(Priority Watch List)の常連である中国とインドの問題点を、先取りしてみておこうと思います。以下、中国欄で最初に指摘された職務発明条例案へのコメント内容を紹介し、あとは各項目見出しのみを列挙します。

IPO
February 6, 2015
Re: USTR 2015 Special 301 Review, Request for Public Comments

中国
・職務発明条例案がもたらしかねない負の影響

 「…現在の条例案のままでは、在中の米企業自身が従業員の動機づけをし、また発生した成果を使用、処理する最良の方法を決定する能力に悪影響を及ぼしかねない。例えば、条例案では、従業員発明者への報償金に関する独自の契約や規程を定めることが可能なようであるが、依然企業側にリスクが残る。発明者の権利をないがしろにし、『不当な条件』を課す契約や社内規程は無効とみなす、という規定が残っている。… 業界により、市場の条件により、また各企業の状況によって、企業が社内イノベーションを促進し、報いる方法は様々だ。それを画一的に決めようとする本条例案、とりわけ、最低補償金額の要件は、それぞれの経験と知識に基づく企業の知恵を台無しにするものだ…」
その他、発明者に対する報奨金の根拠(特許製品による収益情報)の開示義務や、「特許されない発明」や「技術秘密」を本条例の対象とすることによる「営業秘密」の漏えいリスク、また行政機関による企業の実態調査権限などを残る問題点として指摘しています。

・営業秘密 進歩続くがなお改善余地多し
・最近の商標法改正がもたらした新たな課題
・知財権行使を制限する知財権濫用条例案
・特許と技術標準
・政府調達と自主創新政策分離の不徹底
・特許権行使と第四次専利法改正
・医薬保護における中国独特の課題
・外国出願人に対する中国特許代理人利用の強制

インド
・国家知的財産政策ドラフト
・追加された特許要件
・強制実施を命ずる、または奨励する最近の方針
・規制当局によるデータ保護の欠如
・営業秘密保護を改善すべき必要性
・外国出願に関する開示要件
・多国間条約におけるインドのスタンス

USTRにはIPO以外の団体からもコメントが提出されています。これらを踏まえて、USTRがどのような最終レポートを4月30日に発表するのか・・・次回【Cases & Trends】をどうぞお楽しみに。

(営業推進部 飯野)

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