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2015.06.17

米国ANDA訴訟の直近10年間の判決の動向分析[後編]

3. ANDA訴訟では侵害判決および特許有効判決が多く、権利行使不能判決が少ない。

直近5年に提訴された特許侵害訴訟の判決(侵害/非侵害、有効/無効、権利行使可能/不能)を分析した。更にANDA訴訟の判決については直近5年その前の5年(2006/1/1-2010/12/31)を比較した。図4(資料6頁)と図5(資料7頁)を参照。

ANDA訴訟で侵害判決となる割合(74%)は全体の平均(44%)と比べて著しく高いことが分かる。ANDA訴訟では新薬の「生物学的同等品」を後発医薬品メーカーが販売することを前提にしているので侵害判決になる割合が多くなるものと思われる。ANDA訴訟では侵害判決となる割合は直近10年度同じ傾向(74%)を示している。

ANDA訴訟で有効判決となる割合(88%)は全体の平均(64%)と比べて高いことが分かる。ANDA訴訟で有効判決となる割合は直近5年(88%)とその5年前(84%)と比べると、若干上がっていることが分かる。有効判決とは特許法101条(特許適格性)、102条(新規性)、103条(非自明性)、112条(記載要件等)等の不特許事由を鑑みて有効となった判決のことである。

ANDA訴訟で権利行使不能判決となる割合(1%)は全体の平均(6%)と比べて低いことが分かる。ANDA訴訟で権利行使不能判決となる割合は直近5年(1%)とその5年前(5%)と比べると、大きく下がっていることが分かる。権利行使不能判決とは、例えばIDS違反等の不公正行為で特許全体(クレーム全体)が権利行使不能となる判決のことで、割合は低いが一旦その判断がでれば非常に大きい影響を及ぼすものである。

(IP総研所長 折田)

図4(資料6頁)
図5(資料7頁)

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