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2016.02.26

上海市高級人民法院「知的財産民事事件管轄の調整に関する規定」を発表

日本技術貿易株式会社 特許第1部・特許第2部
中国弁護士・中国弁理士・日本国弁理士
張 華威

一、概要
2016年2月19日、上海市高級人民法院は、「知的財産民事事件管轄の調整に関する規定」(滬高法[2016]35号)(以下、単に「管轄調整規定」という)を発表した。同規定は、上海知的財産法院の設立に伴う等級管轄の調整、及び上海市内の行政区画の変更(静安区と閘北区が合併して新しい静安区となった)に伴う土地管轄の調整を図るものである。
上海市高級人民法院公式HP:
http://www.hshfy.sh.cn/shfy/gweb/xxnr.jsp?pa=aaWQ9NDA1NTc1JnhoPTEmbG1kbT1sbTQ2MAPdcssPdcssz&zd=xwzx

二、施行日
管轄調整規定は2016年3月1日から施行され、同時に2011年に制定された「上海市高級人民法院による第一審知的財産事件管轄に関する規定」(滬高法(審)[2011]6号)は廃止となる。

三、管轄調整規定の内容
1.基層人民法院は、法律及び司法解釈の規定により知的財産法院が管轄すべき場合を除き、著作権、商標、不正競争、技術契約、フランチャイズ契約等の第一審知的財産権民事事件を管轄する。基層人民法院が上記事件を管轄するときは、訴訟目的額の制限を受けない。
なお、「知的財産法院が管轄すべき事件」には、例えば技術秘密、コンピュータソフトウェアに関わる民事事件や馳名商標の認定に関わる民事事件等が含まれる。

2.上海知的財産法院は、以下の知的財産権民事事件を管轄する:
(1) 訴訟目的額が1億人民元以下であり且ついずれかの当事者の所在地が上海市にない又は外国、香港、マカオ、台湾に関わる事件、及び訴訟目的額が2億人民元以下であり且つすべての当事者の所在地が上海市にある事件であって、専利(特許、実用新案、意匠を含む、以下同じ)、植物新品種、集積回路の配置設計、技術秘密、コンピュータソフトウェア、独占等の第一審民事事件及び馳名商標の認定に関わる第一審民事事件。
(2) 基層人民法院が下した第一審知的財産民事判決、裁定に対する上訴事件。
(3) 基層人民法院が下した法的効力がすでに発生している知的財産権民事判決、裁定、和解調書に対する再審事件。
 
3.上海市高級人民法院は、以下の知的財産民事事件を管轄する:
(1) 訴訟目的額が2億人民元以上の事件、及び訴訟目的額が1億人民元以上であり且ついずれかの当事者の所在地が上海市にない又は外国、香港、マカオ、台湾に関わる事件であって、専利、植物新品種、集積回路の配置設計、技術秘密、コンピュータソフトウェア、独占等の第一審民事事件。
(2) 知的財産法院が下した第一審民事判決、裁定に対する上訴事件。
(3) 知的財産法院が下した法的効力がすでに発生している知的財産権民事判決、裁定、和解調書に対する再審事件。

4.土地管轄の集中管轄
(1) 浦東新区人民法院は、浦東新区の管轄地域の第一審知的財産事件を管轄する。
(2) 黄浦区人民法院は、黄浦区、長寧区の管轄地域の第一審知的財産事件を管轄する。
(3) 楊浦区人民法院は、楊浦区、虹口区、宝山区、崇明県の管轄地域の第一審知的財産事件を管轄する。
(4) 徐匯区人民法院は、徐匯区、松江区、金山区の管轄地域の第一審知的財産事件を管轄する。
(5) 閔行区人民法院は、閔行区、奉賢区の管轄地域の第一審知的財産事件を管轄する。
(6) 普陀区人民法院は、普陀区、静安区、嘉定区、青浦区の管轄地域の第一審知的財産事件を管轄する。

四、まとめ
権利行使を行う際は、地方保護主義による不平等を回避するために、北京、上海、広州、シンセンなどの大都市で訴訟を行うことが好ましいが、管轄権なき人民法院に提訴すると、訴えが受理されなかったり、相手方に管轄権の異議が申し立てられたりする場合があり、訴訟手続が円滑に進まなくなってしまう。
したがって、管轄権を有する人民法院の把握は、極めて重要である。管轄調整規定の発表により、上海市内での等級管轄と地域管轄がさらに明確となった。

以上

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