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2016.03.17

柏原 雄人

中国、専利権侵害における行政処理の整備に向けてパブコメ募集 [2016年3月4日-4月5日]

日本技術貿易株式会社 特許第1部・特許第2部
中国弁護士・中国弁理士・日本国弁理士
張 華威

I. 概要
中国において、専利権の権利行使の手段として、主に、裁判所に侵害訴訟を提起する方法と専利行政部門に処分・調停を求める方法がある。
行政処分の方法では、専利行政部門が当事者の提出した証拠に基づいて侵害が成立するか否かを判断し、侵害が成立する場合は、侵害者に差止めが命じられる。しかしながら、専利行政部門の処分決定は、当事者が自ら直接人民法院に強制執行を請求することができず、侵害者が処分通知を受け取った日から15日以内に行政訴訟を提起せず且つ侵害行為を停止しなかった場合に、専利行政部門が人民法院に強制執行を請求することになる。また、損害賠償については行政処分で判断することはできず、和解が成立しない場合は別途侵害訴訟で解決することになる。そのため、現在では司法ルートによる保護が主流となっている。しかしながら、行政処分・調停の手続は訴訟に比べて簡易であり、専利行政部門は事件を受理した日から3月以内に処分決定を出さなければならないため、迅速に決着をつけることができ、コストも低い。したがって、専利行政部門による処分・調停手続も一定数利用されている。
中国国家知識産権局(以下、「SIPO」という)は、専利行政部門による処分・調停の手続を整備するため、2016年3月4日にその公式HPにおいて「専利権侵害行為認定指南(意見聴取稿)」、「専利行政法律執行証拠規則の手引き(意見聴取稿)」、「その他専利紛争行政調停指南(意見聴取稿)」を発表し、意見聴取を開始した。これらの意見聴取稿はSIPOの公式HPからダウンロードすることができる。

II. 意見聴取期間及び意見提出方法
聴取期間:2016年3月4日から2016年4月5日まで
聴取対象:何人も可
提出方法:
1. eメール:zhifa@sipo.gov.cn
2. fax:(+86)10-62083091
3. 書簡:中国北京市海澱区西土城路6号 国家知識産権局専利管理司執法管理処

III. 各規定についての簡単な説明
(1)「専利権侵害行為認定指南」
専利行政部門は、処分決定を行う際に、どのような行為が専利権の侵害を構成するのかを明確にしなければならない。専利法11条には、専利権の実施態様として、「製造、販売の申出、販売、使用、輸入」を挙げているが、それぞれ具体的にどのような行為を指しているのかが明らかになっていない。
そこで、「専利権侵害行為認定指南」は、第1章において専利の実施行為(製造、販売の申出、販売、使用、輸入)の具体的な態様が明らかにした上で、第2章において侵害とならない典型的なケースを列挙・説明し、第3章において物を製造する方法についての拡張保護及び共同侵害について具体的に規定している。

(2)「専利行政法律執行証拠規則の手引き」
 専利行政部門が行政処分を行う際の証拠の取扱方法について定めるものである。行政処分手続は、訴訟と同様に、当事者によって証拠が提出され(「挙証」という)、提出された証拠の真実性、関連性、合法性について互いに意見を述べ(「質証」という)、行政部門がその証拠を採用できるかどうかの判断をする(「認証」という)。
「専利行政法律執行証拠規則の手引き」は、第1章において証拠規則の概論を説明した上で、第2章において挙証及び証拠収集、第3章において証拠交換及び質証、第4章において証拠の審査と認証についてそれぞれ規定している。

(3)「その他専利紛争行政調停指南」
行政調停は、専利権の侵害における損害賠償額の紛争だけでなく、専利出願権・専利権の帰属をめぐる紛争、発明者や考案者の資格をめぐる紛争、職務発明の発明者・考案者の奨励・報酬をめぐる紛争、特許の補償金請求権の金額をめぐる紛争についても行うことができる。なお、和解が成立しない場合は、別途民事訴訟で争うことになる。
「その他専利紛争行政調停指南」は、第1章において、調停手続の概論について規定した上で、第2章において専利出願権・専利権の帰属に関する紛争の調停、第3章において、発明者または考案者の署名権をめぐる紛争の調停、第4章において専利の奨励・報酬をめぐる紛争の調停、第5章において特許の補償金請求権の金額をめぐる紛争の調停、第6章において専利権侵害における損害賠償額の計算についてそれぞれ規定している。

以上

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