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2018.07.23

【商標NEWS】 アルゼンチン、異議申立に関する新制度を定めた規則を公示

アルゼンチン
2018年7月19日 異議申立に関する新制度を定めた規則の公示

本年1月12日に、アルゼンチン政府は、行政の効率化を目的とする170にも及ぶ措置を緊急大統領令として官報に公示しました。その中に知的財産制度の簡素化・迅速化が含まれていましたが、商標に関しても種々の制度変更が盛り込まれており、とりわけ極めて特殊な異議申立制度が大きく改善されることに注目が集まっていました。

本年7月19日、アルゼンチン特許庁は、商標の異議申立に関する新制度を定めた規則を官報に公示しました。この規則は、本年9月17日に発効し、異議申立制度は下記の3つの点が大きく変わります。

1. 異議決定機関の変更
これまで特許庁は、異議申立を審理・決定する権限を有しておらず、1年間のクーリング・オフの期間中に和解が成立しなかった場合、出願人は訴訟を提起して争う必要がありました。新制度では、特許庁が異議申立を審理し異議決定を出すこととなります。

2. クーリング・オフ期間の変更
これまでのクーリング・オフ期間は、異議申立後1年間でしたが、新制度により特許庁による異議公告から60日プラス3ヵ月に短縮されます。この期間に和解が成立しなかった場合は、特許庁による異議手続が開始されます。

3. 前置仲裁手続の廃止
これまで出願人は、1年間のクーリング・オフ期間が満了する前に、和解が成立していない場合、仲裁手続を実施しなければ訴訟を提起することはできませんでしたが、新制度によりこの前置仲裁手続は廃止となりました。

新制度における異議申立手続フローの概要は、以下の通りです。

異議理由補充
新制度では、60日プラス3ヵ月のクーリング・オフ期間満了までに和解が成立していない場合、特許庁は異議申立人に対して異議申立を承認する通知とともに、営業日15日以内に異議理由を補充提出すること、及びオフィシャルフィー(約US$300)を支払うことを指令します。

答弁書提出
特許庁は、出願人に対して異議申立を承認したことを通知するとともに、営業日15日以内に答弁書を提出するよう指令します。

証拠提出
上記答弁書提出期間満了後、特許庁は、異議申立人及び出願人に対して営業日40日以内に証拠を提出するよう指令します。

争点整理書面
上記の証拠提出期間満了後、特許庁は、異議申立人及び出願人に対して営業日10日以内に争点整理書面を提出するよう指令します。

異議決定
争点整理書面の提出期間満了後、特許庁は、異議決定を送達します。

尚、異議申立に関する新制度を定めた上記規則は9月17日に発効しますが、特許庁の非公式な運用により、最近の異議申立に対しては、既に新制度が適用されています。

(商標部 研壁)

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