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2020.12.28

【意匠NEWS】 Brexit移行期間終了後の「Address for Service」について

2020年12月31日に英国のEU離脱(Brexit)の移行期間が終了します。ご存知のお客様も多いと思いますが、欧州連合知的財産庁(EUIPO)または英国知的財産庁(UKIPO)からの通知(*1)が送られる住所(Address for Service、*2)について、以下留意点をお知らせします。

  ※本稿は、RCD等の「意匠権」に関する情報をご提供しております。
   「商標権」につきましてはこちらのページをご参照下さい。

1. RCD(Registered Community Design)に関する通知(英国代理人の場合)
2020年12月31日までに英国代理人を通じて権利取得したRCDに関する通知は、それまで英国代理人の住所がAddress for Service となっていましたが、2021年1月1日以降、英国代理人の住所はAddress for Serviceから削除され、権利者の住所(日本企業の場合、日本国内の住所。以下同じ)がAddress for Serviceに登録されます。このため、EUIPOはRCDの権利者の住所に通知を送ることとなります。  

2. RCD(Registered Community Design)に関する通知(欧州代理人の場合)
2020年12月31日までに欧州代理人(ここでは英国以外の欧州に所属する代理人を指します)を通じて権利取得したRCDに関する通知は、欧州代理人の住所がAddress for Service となっているため、引き続きEUIPOは欧州代理人の住所に通知を送ることとなります。  

3.RCDから派生した英国意匠再登録(クローン)に関する通知(英国代理人の場合)
2020年12月31日までに登録になったRCDは、2021年1月1日に英国意匠再登録(クローン)が作成されます。2020年12月31日までに英国代理人を通じてRCDを通じて権利取得した場合、その英国意匠再登録に関して、英国代理人の住所がAddress for Service となっているため、UKIPOは英国代理人の住所に通知を送ることとなります。  

4. RCDから派生した英国意匠再登録(クローン)に関する通知(欧州代理人の場合)
2020年12月31日までに登録になったRCDは、2021年1月1日に英国意匠再登録(クローン)が作成されます。2020年12月31日までに欧州代理人(ここでは英国以外の欧州に所属する代理人を指します)を通じてRCDを通じて権利取得した場合、その英国意匠再登録に関して、2021年1月1日からの3年間は引き続き欧州代理人の住所をAddress for Service として登録できますが、3年が経過した後は英国内の住所を登録する必要があります。

5.ハーグ国際意匠登録のEM指定に関する通知
2020年12月31日までにハーグ経由でEMを指定し、保護認容声明が出されたEM指定について、国際出願代理人の住所がAddress for Serviceとなり、EUIPOは国際出願代理人の住所に通知を送ることとなります。

6.ハーグ国際意匠登録のEM指定から派生した英国意匠再登録(クローン)に関する通知
2020年12月31日までにハーグ経由でEMを指定し、保護認容声明が出されたEM指定について、2021年1月1日に英国意匠再登録(ハーグの英国指定ではありません)が作成されます。この英国意匠再登録に関しては、国際意匠に登録されている権利者の住所がAddress for Serviceとなり、UKIPOは国際意匠に登録されている権利者の住所に通知を送ることとなります。

Address for Serviceまとめ

権利 出願代理人 Address For Service 備考
1 RCD 英国代理人 RCDに登録されている権利者の住所
2 RCD 欧州代理人 欧州代理人の住所
3 RCDから派生した英国再登録 英国代理人 英国代理人の住所
4 RCDから派生した英国再登録 欧州代理人 欧州代理人の住所 2021年1月から3年間経過後は英国内の住所に変更要
5 国際意匠のEM指定 国際出願代理人の住所
6 国際意匠のEM指定から派生した英国再登録 国際意匠に登録されている権利者の住所

※上記の欧州代理人は、英国以外の欧州に所属する代理人を指します

尚、当該変更手続きの詳細は2021年初めに改めてお客様にご案内する予定でございます。

また、Address for Serviceにどの住所が登録されているかは、RCD及び英国意匠再登録の年金納付手続とは関係ございません。ご参考までに、弊社で意匠年金納付管理している案件に関しては、2020年9月付弊信のとおり、弊社システム管理中のRCDおよびEM指定のハーグ国際意匠登録については、同等の英国意匠再登録のデータを新規作成し、更新管理を開始しており、今後、英国再登録の維持要否については、定期的に別途お送りする期限通知(更新要否の案内)へご回答頂く運用とさせて頂いております。

(年金管理部)

*1:EUIPO又はUKIPOからの通知は、数としては少ないと考えられますが、例えば、第三者から無効審判を提起されたときに送付されます。
*2:Address for Serviceは、庁からの通知が送られる住所であり、通常は、お客様を代理して庁に手続した代理人の住所が登録されています。

参考資料:
https://www.gov.uk/guidance/address-for-service-for-intellectual-property-rights-from-1-january-2021

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