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2023.01.12

特許部 木下遼祐

【特許・意匠ニュース】USPTO、がんムーンショット審査促進試行プログラムを発表

米国特許商標庁(USPTO)は、「がんムーンショット審査促進試行プログラム」(“Cancer Moonshot Expedited Examination Pilot Program”, 以下、本プログラム)を発表しました。本プログラムは、25年以内にがん死亡率を少なくとも50%減少させることを目標とする新たな国家取組(“Cancer Moonshot”)を支援するものです。

本プログラムの対象となる出願には特別なステータスが付与され、最初の指令書(限定要求のみを含む)が発行されるまで優先的に審査されます。なお、特別なステータスの請願書(petition to make special)に係る費用は不要です。本プログラムは2023年2月1日に開始され、2025年1月31日若しくは受理件数が1000件に到達するまでの何れか早くに終了します。

本プログラムの対象となる発明分野はオンコロジー、若しくは禁煙に関するものでなければならず、以下の方法のうち少なくとも1つがクレームに含まれている必要があります。

(A) 免疫治療化合物または組成物を用いてがんを治療、またはその発生を抑制する方法(がん免疫療法)
(B) 特定の医薬組成物の使用により、特定の遺伝子マーカーまたは変異を標的とすることでがんを治療する方法(所謂、オーダーメイド療法)
(C) 特定の医薬組成物を用いて、小児がんまたは希少がんを治療する方法
(D) がんの検出・治療に特化した医療機器を用いてがんを検出または治療する方法
(E) がんを診断する工程を含む、特定の医薬組成物を投与してがんを治療する方法
(F) 特定の医薬組成物を投与することでニコチン依存症を治療し禁煙を促進する方法

出願が、これらの方法において使用される医薬組成物や医療機器等の物クレームや装置クレームを含む場合、上記方法クレームが当該物または装置クレームの従属項であるか、または、方法クレームの範囲が当該物または装置クレームに相応する範囲である必要があります(即ち、方法クレームが物または装置クレームの全ての要件を含んでいる必要があります)。

なお、本プログラムに参加するためには、出願時に明細書、クレームおよび要約書をDOCX形式で提出すると共に、特定フォーム(PTO/SB/465)による請願書を電子的に提出する必要があります。対象となる出願種別は、通常出願のほかPCT出願の米国国内段階移行出願です。

また、発明者のいずれかが、本プログラムの申請を伴う9つを超える出願で既に発明者として掲げられている場合は本プログラムに参加できません。その他、総クレーム数が20以内(独立クレーム数は3以内)でなければならない等の要件が定められています。

本プログラムは、2023年1月31日に終了する「がん免疫療法試行プログラム」(以下、旧プログラム)に代わるものです。2023年2月1日以後は旧プログラムの申請は受理されません(旧プログラムの下、2023年1月31日以前に提出された特別なステータスの申請書が提出された出願は旧プログラムの規定に従って審査されます)。

(参考)
・USPTOの発表(https://www.uspto.gov/patents/initiatives/patent-application-initiatives/cancer-moonshot-expedited-examination
・Federal Register(https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2022-12-09/pdf/2022-26776.pdf

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