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2026.02.02

特許部 寺岡 裕芳

【特許ニュース】マレーシア、特許制度が2025年末に大幅改革 ~ 公開情報の拡充と付与後異議申立制度の導入

マレーシア特許庁(MyIPO)は、2025年10月10日付のPractice Notice No. 1/2025を昨年(2025年)末に公開し、現行の2022年改正特許法であるPatents (Amendment) Act 2022についての施行規則や実務運用を明確化しました。これにより、2022年改正特許法の条文に含まれてはいたものの、施行日や施行規則が定まっていないために未施行であった以下のような手続きや事項について、2025年12月31日をもって正式に施行され、明確化されることとなりました。
・出願書類・審査書類への第三者アクセスの拡大
・付与後異議(Post-Grant Opposition)
・利害関係人(Interested Person)という概念の導入
・Registrarの権限を制限(補正不可期間などの明確化)
これらのうち、改革の柱となるのは、「出願書類・審査書類への第三者アクセスの拡大」と、「付与後異議(Post-Grant Opposition)」となります

まず、第三者によって閲覧可能となる出願情報が大幅に拡充されました。特許出願の公開後、所定の手数料を支払うことで、出願人・代理人情報、出願明細書、出願日・優先日、指令書などの審査書類、引用文献、さらには出願人が提出した応答書類(意見書・補正書)などが第三者によって閲覧可能となります。

つぎに、今回の改革で最も実務的影響が大きいのが、付与後異議申立制度の導入です。これにより、特許付与公告日から6か月以内に、裁判ではなく行政手続として特許の有効性を争うことが可能となります。
ここで、申立人の要件としては、従来の裁判における「被害当事者(aggrieved person)」ではなく、より広い概念である「利害関係人(interested person)」と定められたため、競合他社や業界関係者など、実務上関心を有する第三者によって広く申立てが可能とされました。
手続面では、異議申立書の提出、特許権者による反論・補正請求、証拠提出、書面審理を経て、アドホック委員会の勧告を踏まえ、Registrarが最終判断を下す構造となりました。決定に対しては裁判所への不服申立も認められます。また、所定の手数料(特許の場合RM2,500)や費用担保の提供が必要となります。

さらに、異議申立や訴訟が係属中の場合、Registrarが職権で特許を補正することはできないことが明確化されました。

今回の改革により、マレーシア特許制度は「書類の透明性の向上」「第三者関与の拡大」「迅速かつコスト効率的な紛争解決」が図られた形となります。

本記事は、マレーシアを含むASEAN地域における知財法律事務所であるDREW & NAPIERからのニュースレターを元に、マレーシア特許庁(MyIPO)の公式アナウンスを弊社独自で解析して作成しました。

参考情報:
マレーシア特許庁(MyIPO)による公式アナウンス Practice Notice No. 1/2025
https://www.myipo.gov.my/practice-notice-no-1-2025-va1-2025/
DREW & NAPIER
https://www.drewnapier.com/


寺岡裕芳 (てらおか ひろよし)
NGB株式会社 東南アジア駐在員事務所(バンコクオフィス)
オフィスマネージャー

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