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2026.02.16
特許部 寺岡 裕芳
― Regulation 47/2025(Permenkum No.47 of 2025)の概要と実務上の影響 ―
2025年12月4日、インドネシア法務省は、Regulation No.47 of 2025(Permenkum 47/2025)を制定し、電子システム上で行われる知的財産権侵害に対する新たな対応制度を導入しました。この規則Regulationは、オンラインマーケットプレイス、ECサイト、SNS、ウェブサイト等における知財侵害行為への対処を制度化するものであり、インドネシアで知財権利を有する外国企業にとっても重要な意味を持つ規則であると言えます。
1. 規則の概要
Permenkum 47/2025は、知財侵害の「申立て(report)」の受理から対応までの手続を定めるもので、権利者または正当な利害関係人が、インドネシア知的財産総局(DGIP)に対して、電子システム上の侵害行為を報告できる枠組みを整備する規則となります。
対象となる知的財産権は、商標、著作権、特許、意匠等を含み、特にオンライン環境での侵害が問題となるケースを強く意識した内容となっています。
2. DGIPの権限強化
本規則の特徴は、DGIPが単なる受理機関にとどまらず、侵害の蓋然性があると判断した場合、関係当局に対し以下の措置を「勧告」できる点にあります。
▶ 問題となるウェブサイトへのアクセス遮断(blocking)
▶ オンラインマーケットプレイス上の出品・アカウントの停止
▶ 電子システム運営者に対する是正対応の要請
これにより、従来は時間を要していたオンライン侵害への対応が、行政主導で比較的迅速に行われる可能性が高まりました。
3. 手続きとスピード感
インドネシアの法律事務所であるHHP Law Firmによるニュース記事を始めとするいくつかのニュース記事によると、DGIPは、申立てを受理した後、形式要件および実体的な侵害の有無を確認し、要件を満たす場合には速やかに対応を進めるとされています。
特にデジタル環境における被害拡大を防ぐ観点から、短期間での判断・対応が想定されており、日本企業にとっても実効的な救済手段となり得ると期待されます。
4. まとめ
Permenkum 47/2025は、インドネシアにおけるオンライン知財保護を一段階引き上げる規則であり、権利行使の実務を変える可能性を有しています。
日本企業がインドネシア市場でブランド展開やECビジネスを行う場合、侵害発生後の「裁判前」の対応手段として、本規則を如何に活用するかが重要となりそうです。
一方で、電子システム運営者側にとっては、第三者からの申立てを受けて迅速な対応を求められるリスクもあり、運営ポリシーや契約条件の見直しが必要となる可能性があるかもしれません。
今後は、実際の運用事例やDGIPの判断基準の蓄積を注視しつつ、「行政ルートによるオンライン侵害対応」という新たな選択肢として本規則を理解しておくことが望まれます。
参考情報:
インドネシア政府の法令ポータルサイト掲載ページ(インドネシア語)
https://peraturan.go.id/id/permenkum-no-47-tahun-2025
インドネシア知的財産総局(DGIIP;DJKI)による発表(インドネシア語)
https://www.dgip.go.id/artikel/detail-artikel-berita/permenkum-472025-disahkan-djki-berwenang-rekomendasikan-pemblokiran-situs-dan-merchant-pelanggar-ki
HHP Law Firm (Baker & McKenzie)によるニュース記事
https://www.hhp.co.id/en/alerts/2026/intellectual-property-infringement-electronic-systems
MAULANA and Partnersによるニュース記事
https://maulanalawfirm.com/report-ip-infringement-regulation-mol-47-2025/

寺岡裕芳 (てらおか ひろよし)
NGB株式会社 東南アジア駐在員事務所(バンコクオフィス)
オフィスマネージャー



