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2026.03.10
東南アジア駐在員事務所 寺岡裕芳
フィリピン特許庁(IPOPHL)は、特許審査ガイドライン(Manual for Patent Examination Procedure: MPEP)を公開しており、随時アップデートしております。
IPOPHLは、昨年(2025年)7月に、AIに関する特許・実案・意匠についての特別な審査ガイドライン(以下、「AI審査ガイドライン」)をリリースしました。
このAI審査ガイドラインの内容について、フィリピンにおける知財法律事務所CRUZ MARCELO & TENEFRANCIAが2026年2月25日付のニュース記事で概要をまとめていましたので、当該事務所の了承を得て、日本の知財実務家の皆様向けに日本語にまとめ直した形でお伝えします。
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フィリピンAI審査ガイドラインの概要
AI関連発明の分類
AI審査ガイドラインでは、AI関連発明を以下の2種類に区別する。
- Core AI Technologies(基礎AI技術)
AI技術そのものの進歩や改良に寄与するもので、AIモデル、学習アルゴリズム、訓練方法の創出または向上が発明の中心となるもの。 - Applied AI Technologies(応用AI技術)
既存のAI手法を特定の技術分野に適用して技術的効果をもたらすもの。
この区分は、発明が実施可能性(enablement)の要件を満たしているかを判断する上で重要である。
AIを発明者・出願人とみなせるか
AIそれ自体は、知的財産権を行使するための人格(民事能力)や法的能力を欠くことから、出願人または発明者になることはできない。
AIにプロンプトを入力するなどして、AIを利用して発明やデザインを生成させた人物は、出願人または発明者となり得るが、AIそれ自体を共同発明者や共同出願人とすることはできない。
AIを用いた発明やAIにより生成されたデザインの登録を禁じてはいないが、審査官は、引用されたAIの情報源を評価する際など、実体審査の過程で慎重さを保つことが推奨される。
AI関連発明の特許性(Patentability)
AI関連発明が特許可能(patentable)となるためには、既知技術に対する技術的寄与(technical contribution)または技術的効果(technical effect)を示す必要がある。
さらに、クレームされた発明の特許適格性(eligibility)の有無については、以下の5ステップのクレーム分析により判断する。
- コンピュータ実施発明でありAIの関与を含むか否か
- 公序良俗に反する対象であるか否か
- 知財法で規定する製品または方法という法定発明類に該当するか否か
- 非技術的事項を含むか否か
- すべての要素を考慮した上で、技術的性質を有するか否か
開示十分性および実施可能性(Sufficient Disclosure and Enablement)
知財法に規定されているように、発明は、当業者が実行できるように明確かつ完全に開示する必要がある。
AI関連発明の場合、必須の技術的特徴(トレーニング方法、データ処理方法、アルゴリズムなど)と、それらの特徴がどのように相互機能して目的とする技術効果を達成するのかという点が開示されている必要がある。
明確性(Clarity)
AI関連発明のクレームは、技術的に正確であり、クレーム範囲が明確であり、機能的定義が明確になされていることが要求され、実施形態の説明と整合し、曖昧さが含まれていないことが要求される。
審査官は、クレームが実施形態の説明と整合し、各技術用語について、明細書内で定義されているか、または当業者に広く理解されていることを確認する必要がある。
まとめ
このAI審査ガイドラインは、フィリピンの特許制度に関して歓迎すべき前進である。明確なルールが整備されたことにより、より多くの出願人および発明者がフィリピンで特許保護を追求する動機付けとなることは確実であり、また特許審査官に対しても、彼らが評価する技術革新とともに進化していくための適切なツールを与えるものである。
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参考情報:
フィリピン特許庁(IPOPHL)による審査ガイドライン
https://www.ipophil.gov.ph/services/patent-examination-guidelines/
CRUZ MARCELO & TENEFRANCIAよる2026年02月25日付のニュース記事
https://cruzmarcelo.com/ipophl-releases-examination-guidelines-for-ai-inventions-utility-model-and-industrial-design-applications/
QUISUMBING TORRES(BAKER & MCKENZIE)による2025年11月19日付のニュース記事
https://connectontech.bakermckenzie.com/philippines-ipophl-issues-guidelines-on-ai-related-patent-applications/

寺岡裕芳 (てらおか ひろよし)
NGB株式会社 東南アジア駐在員事務所(バンコクオフィス)
オフィスマネージャー






