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- 通達・運用変更
2026.03.10
東南アジア駐在員事務所 寺岡裕芳
フィリピン特許庁(IPOPHL)は、2025年12月15日にASEANが採択した知財ロードマップである「ASEAN Intellectual Property Rights Action Plan 2026–2030(AIPRAP 2030)」の下で、知的財産行政の強化、知財意識の向上、人材能力の強化、および知財の商業化の促進に向けた各種イニシアチブを主導することを表明しました。
AIPRAP 2030は、ASEAN域内の知財制度の強化と地域経済統合の促進を目的とした中期戦略であり、イノベーション主導型の地域経済を実現するための知財エコシステムの構築を目指すアクションプランです。
ASEAN知財制度強化のための地域ロードマップ
AIPRAP 2030は、ASEAN Vision 2045およびASEAN経済共同体(AEC)の戦略計画と整合した政策的なロードマップとしてのアクションプランであり、以下の5つの戦略的重点分野を中心に構成されています。
- 各国の知的財産制度の有効性の強化
- 知財制度の調和および地域プラットフォームの整備
- 知財資産の創出・管理・商業化の促進
- 知財尊重文化の醸成および執行強化
- 持続可能かつ地域包括的な成長を支える知財活用
これらの施策を通じて、ASEAN域内における知財制度の透明性や協力体制の強化を図り、地域全体でイノベーションと事業活動を促進することが目標とされています。
フィリピンが主導する主要イニシアチブ
IPOPHLは、AIPRAP 2030の実現に際して、フィリピンが以下のような主要プロジェクトを主導する予定であると表明しました。
- ASEAN IP評価フレームワークの整備・調和
知財の経済的価値評価の共通基準を整備し、知財資産の活用や投資促進を図る - ASEAN域内IP庁職員の研修機会の拡充
各国知財庁の審査能力やサービス品質の向上を目的とした人材育成 - IP商業化拠点の整備
技術・イノベーション支援センター(TISC)や技術移転オフィスを通じて研究成果の事業化を支援 - ASEAN IP Academyの教育プログラム整備
知財教育・人材育成のためのカリキュラム開発
IPOPHLのナサニエル・アレバロ(Nathaniel S. Arevalo)代理長官は、これらの取り組みについて、「ASEAN域内でイノベーションや創作物が保護されるだけでなく、評価・活用され、国境を越えて成長機会を生み出す知財エコシステムの構築を目指すものである」と説明しています。
ASEAN知財協力ワーキンググループ(AWGIPC)
AIPRAP 2030の実現は、ASEAN各国の知財庁から構成されるワーキンググループであるASEAN Working Group on Intellectual Property Cooperation(AWGIPC)が中心となって推進しています。同ワーキンググループは、商標、特許、意匠、デジタル化などの専門タスクフォースを通じて地域協力を進めており、2026年にはフィリピンでの同会合の開催を予定しています。
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※本稿は、フィリピン特許庁(IPOPHL)による2026年02月11日付のニュース記事を日本の実務家・企業向けに再構成したものです。
ASEAN地域における知財マターに関しましては、是非弊社までお気軽にご相談ください。
参考情報:
AIPRAP 2026-2030 PDF版
https://www.aseanip.org/docs/default-source/asean-ip-publications/public-version_aiprap-2026-2030_10dec2025.pdf
フィリピン特許庁(IPOPHL)による2026年02月11日付のニュース記事
https://www.ipophil.gov.ph/news/philippines-leads-several-initiatives-under-asean-ip-rights-roadmap-2026-2030/
ASIA IPによる2026年02月19日付のニュース記事
https://www.asiaiplaw.com/section/news-analysis/philippines-leads-initiatives-under-asean-ip-rights-roadmap-2026-2030

寺岡裕芳 (てらおか ひろよし)
NGB株式会社 東南アジア駐在員事務所(バンコクオフィス)
オフィスマネージャー






