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2026.01.13
東南アジア駐在員事務所 寺岡裕芳
こんにちは。NGBバンコクオフィス駐在員の寺岡です。先日、弊社のYouTubeチャンネルに標記のテーマに関する動画を2本アップしましたので、こちらのコラムでも簡潔にまとめておきたいと思います。
当該動画は、昨年(2025年)11月に開催されたAPAAカンファレンスに参加するため、マレーシアのクアラルンプールを訪問したときに収録しました。
また、当該動画の作成にあたっては、マレーシアのRAJA, DARRYL & LOHという法律事務所とコラボさせていただきました。後編動画の最後に、当該事務所の概要についてもご紹介しておりますので、是非、弊社のYouTubeチャンネルもご参照ください。
~マレーシアにおける商標の税関登録について~
マレーシアには、他国にみられるような、登録した商標に基づいて税関当局が自発的に摘発を行ってくれる「税関登録」の制度が整備されていないが、税関登録の代わりとなるような、以下の2つの枠組みが存在する。
>Border Measures(国境措置・水際対策)
商標法(Trademarks Act 2019)で規定された枠組み。
商標登録局(Registrar of Trademarks)に対して、個別に被疑侵害品の申請・情報提供を行うことで、商標登録局が税関当局と連携し、税関当局に検査や差し止めといった対応を求める。
利用申請するには、摘発対象とする貨物の詳細に関する情報が必要なため、あまり利用が進んでいない。
必要な費用としては、押収品の保管費用、真贋判定チームの派遣費用など。
>Brand of Baskets(KPDNによるブランド支援プログラム)
2011年に開始されたプログラムであり、マレーシアの中央省庁のひとつであるMinistry of Domestic Trade and Cost of Living(「国内取引・生活費省」通称KPDN)という省庁に属する執行部(Enforcement Division)という組織によって、登録された商標を自発的に監視してくれる。
KPDNは、マレーシア特許庁(MyIPO)とも連携して、知的財産権の促進や支援にも関わっている。
プログラムへの参加、監視対象とする商標の登録、のための費用は少なくて済むが、権利者が摘発活動に協力するとコミットした書面の提出が必要とされる点がデメリット。
このコミットメントにより、マレーシア各地で予測不能な形で発生する摘発・押収に対する協力の代償として、代理人や真贋判定チームを派遣することが要求され、上記のBorder Measuresの場合と同様な保管費用や派遣費用が、予測不能な規模で予測不能な時期に必要となる。
協力の拒否が続くと、ブラックリストに登録されて摘発支援がされなくなる虞もある。
プログラムへの参加登録をしなくても、執行部(Enforcement Division)に対して個別の押収要請を行うことも可能。
~マレーシアにおける税関トレーニングについて~
マレーシアにおいても、商標権に基づく摘発を行うKPDNの執行部(Enforcement Division)や税関当局の職員に対するトレーニングセッションが実施されることがある。
執行部(ED)は、マレーシアの各州に分散しているため、マレーシア全域をカバーするようなセッションを実施するためには、相応の費用や時間を要する。
製品の流通地域を見極めて、スポット的にトレーニングセッションを行うことも有効。
~マレーシアにおける地名を含む商標について~
特定のワード、とりわけ、国名、都市名、地方名などの地名を含む商標については、拒絶対象となり、拒絶を解消するためには、そうした地名の関係当局の許可や同意があることを示すことが要求される。
マレーシア特許庁(MyIPO)は、「許可や同意」に関するガイドラインを特に設けていないが、「許可や同意」の裏付けを示す書類を、なるべく早い段階で用意して提出しておいた方が良い。
書類の例としては、法律の条文、地方自治体の同意書、他国での商標登録証などが挙げられる。
広域な地域名(ヨーロッパ、アジア、中東)は対象外であるが、「アセアン」は拒絶対象になる。
以上、ご参考になれば幸いです。
また、下記の前編動画・後編動画を併せてご視聴いただくと、ご理解を深めていただけることと思いますので、是非ご覧くださいますようお願い申し上げます。
ASEAN地域における知財に関する困りごとなどがございましたら、是非お気軽にご連絡ください。
※ RAJA, DARRYL & LOH
※ 前編動画「税関登録・税関トレーニング」は[こちら]をご参照ください
※ 後編動画「地名を含む商標」は[こちら]をご参照ください
※ APAA参加に関するコラム記事は[こちら]をご参照ください
※ 弊社バンコクオフィスへのご連絡は、[こちら]からお願い致します。
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寺岡裕芳 (てらおか ひろよし)
NGB株式会社 東南アジア駐在員事務所(バンコクオフィス)
オフィスマネージャー




