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2007.04.15

渡邊 哲史

特許/第100条(c)、第154条(a)(1)/米国外市場の製品に対する反トラスト請求

Sherman法第2条に規定の独占または独占の企てを証明するには、当該製品の上市関連市場に関する条件に照らして、違法な特許クレームに関する排他力を評価する必要がある。

米国特許の排他力は、特許法第100条(c)、第154条(a)(1)により、米国内に限定される。侵害製品市場に関して、国際市場についてのみ主張し、国内市場について言及していない場合には、侵害製品の製造販売について主張していないことになる。(Hydril Company L.P., et al. v. Grant Prideco L.P., et al., CAFC, 1/25/07)

事実概要
Grant Prideco, Inc.(以下、Grant Prideco)が有する米国特許第6,244,631号(以下、’631特許)は、未加工のパイプの継ぎ手に関し、かかるパイプに適合する特定の直径と接合部を有するものを対象としている。

Hydril Company L.P.とHydril U.K. Ltd.(以下、Hydrilと総称)は、米国再発行特許第34,467号(以下、’467特許)を有し、「wedge thread(楔形V字ネジ)」技術と呼ばれ、隣接するパイプ、チューブ、または導管の各部分を接合する高トルクの継ぎ手を製造する技術を対象としている。

Hydrilは、油井とガス井戸を掘削するのに使用される掘削パイプの連結長に用いるネジ接続を製造しているが、Hydril自身は、掘削パイプを製造しておらず、米国外において、時折、他人が製造した当該継ぎ手とパイプを使用する掘削パイプの完成品を販売している。Grant Pridecoは、掘削パイプとその一連の継ぎ手を製造販売している。

Hydrilが一般に販売するその継ぎ手は、掘削パイプ配給業者に渡り、掘削パイプの完成品として組み立てられ、主に掘削業者か大手石油会社のエンドユーザに販売される。掘削パイプの完成品は、通常、エンドユーザの注文に応じて、個別に製造される。本件は、直径5 ?インチの掘削パイプに関し、Hydrilの主張によると、ある特定の掘削に用いる他に類を見ない特徴を有する製品に関する。

1980年代後半、Hydrilのwedge thread技術に関する広範な知識を有するHydrilの元従業員は、同社を退社し、XLS Holding, Inc.とXL Systems, Inc.(以下、XLSと総称)を創立した。XLSが、Hydrilの知的財産を使用する許諾を得ずに、wedge thread継ぎ手を販売し始めた後、Hydrilは、XLSに対して、トレードシークレットとノウハウの不正使用、および特許侵害により提訴したが、1994年に秘密条項に基づき和解し、HydrilはXLS株式比率を保有した。引き続いて、和解契約の一環として、XLSは、wedge thread技術に関して、大きめの直径(20インチ以上)の継ぎ手を対象とし、Hydrilは、小さめの直径(20インチ未満)のものに製造を絞り込んだ。

1997年8月、Hydrilを含むXLSの所有者は、同社株式比率をGrant Pridecoの系列会社に売却した(以下、Merger Agreement)が、Grant Pridecoとその他の系列会社は、従来、wedge thread技術を取り扱っていなかった。したがって、取引に伴い、Hydril、Grant Prideco、および多くの関係会社は、Wedge Thread License Agreement(以下、Wedge Agreement)として知られるライセンス提携契約を締結した。

Wedge Agreementに基づき、Hydrilは、Grant Pridecoに対して、Hydrilが有する知的財産を使用する排他的な権利を付与しており、大きめの直径の継ぎ手を製造するwedge技術に関する守秘義務のあるノウハウとトレードシークレットを含んでいるため、Grant Pridecoは、実質的に、XLSの大直径継ぎ手のビジネスを承継することになった。

交換条件として、Grant Pridecoは、Hydrilに対して、小さめの直径の継ぎ手を製造するために、XLSのwedge thread特許、トレードシークレット、およびノウハウを使用する排他的なライセンスを設定した。

Wedge Agreementの排他条項に基づき、Grant Pridecoは、許諾された知的財産およびノウハウを使用することを妨げられ、小直径継ぎ手を開発するために大直径継ぎ手のビジネスをすることができない。Hydrilは、同様に、大直径継ぎ手を開発するために小直径継ぎ手のビジネスをすることができない。

上記の条項に基づき、いずれの当事者も、その他の分野の製品を開発することはできるが、完全に独立して、自ら有するビジネスに関する知的財産およびノウハウを実施することが条件となる。

Grant Pridecoは、実質的に、そのWedge Agreementに基づく義務に反して、合意の上で、Grant Pridecoが小直径継ぎ手を開発する役割を担う条件下の大直径継ぎ手にのみ使用されるはずの知的財産を不適切に開示・使用している。Grant Pridecoによる多くの行為は、Wedge Agreementの守秘義務条項に関する被疑違反を構成している。

Grant Pridecoによる前記活動は、Wedge Agreementに対する実質的な違反を構成し、Hydril特許、トレードシークレット、およびノウハウに関するGrant Pridecoの使用分野ライセンスを終了させる。したがって、Hydrilは、Wedge Agreement解除の結果、Grant Pridecoの行為は、Hydrilの’467特許を侵害することになると主張した。

テキサス南部地区連邦地方裁判所は、連邦民事訴訟規則第12条(b)(6)に基づき、救済を請求する有効な主張がなされていないとして、反トラストおよび特許に基づく請求を斥けた。

反トラスト請求を斥けるに際して、地裁は、Grant Pridecoによる実施活動が、Grant PridecoのHydrilに対する’631特許の実施を意図する客観的に合理的な懸念を生じさせていることに関して、Hydrilが、主張できていないとして、原告は、Grant Pridecoに対して、Walker Process Equipment, Inc. v. Food Machinery & Chemical Corp.事件(382 U.S. 172 (1965))に基づく請求を表明するのに必要な最低限の実施について主張できていないことになると判断した。裁判所の見解によると、Grant Pridecoによる実施活動が、Hydrilに対して、Grant Pridecoによる特許侵害訴訟の提起を可能にし、客観的に合理的な懸念を生じさせていることに関して、いずれの原告も主張しておらず、また、2003年1月のOMSCO宛書簡は、状況を全体的にみて、Grant PridecoのHydrilに対する特許侵害訴訟提起を可能にする客観的に合理的な懸念をHydrilの側に生じさせる明示的な脅迫またはその他の文言を含んでいない。Grant Pridecoまたはその代理人から送付されたパイプおよび掘削業界関係者宛のいかなる同様の書簡にも、より明示的にあるいは他の方法によって、Hydrilまたは他の者に対し’631特許を実施するGrant Pridecoの意図が示されているという主張は存在しない。

地裁は、特許に基づく請求を斥けて、HydrilとGrant Prideco間の1997年Merger Agreement条項、第12.12において、当事者は、本契約に関する特許侵害訴訟を提起する権利を放棄しており、かかる請求の救済に関する契約違反のみを提示しているとその根拠を示した。地裁は、Hydrilが、Merger Agreement条項、第12.12(a)において、Grant Pridecoに対して、’467特許に関する法律上の権利を実施する権利を放棄する旨、合意していると結論づけた。さらに、地裁は、権利を妨げることなく、原告が州裁判所に契約に基づく請求の州法違反を再度提起することを否定して、当該州法違反に関する付加的管轄権の行使を拒絶した。
一部破棄、一部取消し、差戻し

判旨
i) Sherman法第2条違反に関する先例
Walker Process Equipment, Inc. v. Food Machinery & Chemical Corp.事件(382 U.S. 174 (1965))において、連邦最高裁判所は、「特許庁において詐欺により取得した特許の実施が、Sherman法第2条違反に相当するのは、第2条に関する事件に要するその他の要素が示される場合である」と判示し、Food Machineryは、特許庁に対して、悪意かつ故意に、事実を偽って特許を取得した旨、Walker Processが主張したことに付言している。かかる主張による証明は、反トラスト法上、Food Machineryに当該特許による適用除外を妨げるのに十分である。最高裁は、Sherman法第2条に規定の独占または独占の企てを証明するには、当該製品の上市関連市場に関する条件に照らして、違法な特許クレームに関する排他力を評価する必要があることを指摘している。
(…… 以下略)

*判決内容詳細については “I.P.R.”誌でご確認ください。

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