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2007.12.15

特許/譲渡/職務発明の譲渡契約

特許を実施する権利を有する者は、侵害訴訟において必須当事者または必要当事者となる。その者が、訴訟参加を避けて非自発的に参加することができる。原告当事者または被告当事者のいずれとしてでもよく、すべての利害関係人が、裁判所に出頭して、当事者の利害が考慮されるようにする必要がある。職務発明に関する雇用契約を有する使用者が、侵害訴訟に参加しなければならない必要当事者であるかを決定するには、譲渡契約の示唆するところによって、特許に関する権利を承継しているかについて検討する。

当該譲渡契約に、「譲渡することに同意(agree to assign)」する旨、明示されている以上、現在の譲渡を規定しているのではなく、譲渡するための契約であるから、すべての発明がなされたときに、即時譲渡となるよう機能すると解釈するのは誤りである。
(IpVenture, Inc. v. ProStar Computer, Inc., et al., CAFC, 9/28/07)

事実概要
IpVenture, Inc.(以下、IpVenture)は、パーソナル・コンピュータ・システムの運用に関する発明の特許を所有し、そのライセンスを実施しており、同社は、Peter Tong氏とC. Douglass Thomas氏が所有している。2003年8月14日、IpVentureは、コンピュータ製造業者であるProStar Computer, Inc.とMidern Computer, Inc.(以下、総称して「被告」)の二社に対して、米国特許第6,216,235号(以下、’235特許、発明の名称”Thermal and Power Management for Computer Systems”、C. Douglass Thomas氏とその父Alan E. Thomas氏による共同発明)に関する侵害訴訟を提起した。

C. Douglass Thomas氏は、何年間か、Hewlett-Packard Company(以下、Hewlett-Packard)に特許弁護士として雇用されていた。その点に関連して、被告は、訴え却下の申立てを行ない、その根拠について、IpVentureには訴えの当事者適格がないことを挙げ、それは、同社が、’235特許に関する包括的な権利を所有していないからであり、Thomas氏とHewlett-Packardとの雇用契約上の義務に起因するとした。カリフォルニア中部地区連邦地方裁判所は、これに同意し、訴え却下により実体的効力がない請求であるとした。IpVenture, Inc. v. ProStar Computer, Inc.事件(No. CV03-5780-DSF (C.D. Cal. Aug. 26, 2005))参照。

IpVentureは、この却下に控訴し、被告は、交差控訴により弁護士費用を請求した。

取消し、差戻し;交差控訴棄却

判旨
企業または団体であって、ある特許に実体的なすべての権利を所有し、または管理する者は、その特許に基づく権利を実行して、被疑侵害者が、複数の訴訟に服し、責任が重複することがないようにすることができる。Independent Wireless Tel. Co. v. Radio Corp. of Am.事件(269 U.S. 459, 468 (1926))、Rite-Hite Corp. v. Kelley Co.事件(56 F.3d 1538, 1551 (Fed. Cir. 1995))大法廷)、Intellectual Property Development, Inc. v. TCI Cablevision of California, Inc.事件(248 F.3d 1333 (Fed. Cir. 2001))参照。ゆえに、当該特許を実施する独立の権利を有するすべての者は、侵害訴訟において、必須当事者または必要当事者となり、訴訟参加を避ける場合には、非自発的に参加することができ、原告当事者または被告当事者のいずれとしてでもよい。その目的として保全するところは、すべての利害関係人が、裁判所に出頭して、当事者の利害が考慮されるようにすることにある。最高裁は、Shields v. Barrow事件(58 U.S. (17 How.) 130, 141 (1854))において、以下のように説示した。

当裁判所意見が、Mallow v. Hinde事件(12 Wheat. 198)において示したように、必須当事者が裁判所に参加しない場合の事件について付言して、「当裁判所は、本件をして、裁判管轄権を根拠とするのではなく、さらにより広い根拠、すなわち衡平法裁判所に等しく適用しなければならないものであって、それらの構造となりうる裁判管轄権に関するすべてのものを根拠とするものでなければならないとした。当裁判所は、いかなる裁判所も、当事者が裁判所に現実にまたは建設的に参加することなく、直接、人の権利を解決することはできないことを根拠とする。

(…… 以下略)

*判決内容詳細については “I.P.R.”誌でご確認ください。

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