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2011.09.01

【コラム】 特許表示とクラシック・カー

過日、普段から世話になっている自動車整備工場を訪ねたときのこと、一台のクラッシック・カーが入庫しているのが目にとまりました。 車は1947年製のオースチンセブン。 今から60年以上前に英国で生産された当時の大衆車です。 小職は古い車には何しろ目が無いもので、早速サスペンションの構造やら小さなエンジンやらを拝見、しかる後に室内に目を移すとインパネの中央に鎮座している立派な真鍮製銘板が目にとまりました。これはいったい何だろうと近づいて見ると “PATENTS EMBODIED ON THE AUSTIN SEVEN” のタイトルの下、23件の特許番号と発明の名称が整然と刻印されているではありませんか。 なんと、当時は自動車でも特許表示が行われていたんですね! 工業先進国であった当時の英国では、企業(製品)の技術力を示す重要かつ有効な手段としてこの特許表示が利用されていたことがこの立派な銘板から知ることができます。 きっと、車好きの英国人たちは、車を購入するにあたり、その車にはどんな特許技術が使用されているか銘板を見ながら確認していたんでしょう。
もっとも、現代の車には何万件もの特許技術が使用されているでしょうし、ましてや安全性やら何やらでインパネには所狭しと電子機器が組み込まれているのですべての特許をインパネ上で表示することはもはや不可能ですね。 ということでいつ頃からこの特許表示が成されなくなったのか、機会があれば調べて見たいと思っております。

昨今米国では、マーキングトロールなどと呼ばれる輩が特許表示違反を理由に企業を訴えるケースが急増しているとか。 特許表示をネタに企業を訴えるなんて当時のエンジニアは考えもしなかったことでしょう。 現在の状況を知ったらどう思うのか….そんなことに思いを馳せつつ、この重厚な真鍮製銘板をしばし見つめておりました。

(常務取締役 見学)

[以下ご参考までに]
 Patents embodied on the Austin seven
 200236   frame and suspension
 199540   Connecting rod lubrication
 200243   Steering gear
 200465   Steering gear
 202361   Detachable wheels
 202039   Brake drums
 200907   Improved clip (steering column)
 200908   Front axle and brakes
 197517   Torque rod ball joint
 199574   Change speed gear
 202682   Radiator and body
 203753   Tappet guide
 204360   Torque tubes
 206892   Change speed mechanism
 216007   Bonnet rest Beading
 280402   Door catch (Saloon)
 281495   Adjustment of rear axle pinion
 7347    Bonnet hinge
 20379   Bonnet hinge
 173360   Windscreen cramping device
 169632   Improvement to windscreen
 171867   Improvement to windscreen
 324181   Improvement to Hoods

 The Austin Motor Co., Ltd.

整備中のオースチンセブン(1947年製)
インパネの中央に真鍮板を発見
特許番号・発明の名称を表示

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